誹謗中傷・風評対策

従業員や退職者がSNSや掲示板で会社の誹謗中傷をしている場合の対処法

会社誹謗中傷01

インターネット上にはTwitterをはじめとするSNS、匿名掲示板や転職サイトなど匿名で気軽に会社の評判を書き込めるプラットフォームが多数存在します。匿名で気軽に投稿できるからこそ悪口や誹謗中傷が中心になってしまうケースも少なくありません。

Twitterの告発で企業イメージを損ねてしまったニュースを見たことある方や社内で転職サイトに書き込みが話題になったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここでは従業員や退職者が会社への誹謗中傷を行っているケースを想定して
どのような罪を問える可能性があるのか?どのような対処法があるのか?
を紹介します。

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会社への誹謗中傷による影響

会社誹謗中傷02会社への誹謗中傷の恐ろしさは誹謗中傷を受けた事実よりもそれによる影響によるところが大きいです。実際にどのような影響がでるのでしょうか?

商品、サービスへの影響

会社がインターネット上で誹謗中傷された際に影響を受ける最も大きな部分は商品やサービスの価値が毀損され売れなくなってしまうことです。

例えば飲食店などで「産地を偽装している」「店員が暴力団関係者」「衛生状態が悪く虫が何匹も飛んでいる」などと書かれてしまい、それが拡散されることになったら客足はみるみる減っていくことでしょう。

社内のモチベーションへの影響

会社への誹謗中傷がインターネットの世界飛び越えテレビや新聞で取り上げられるようになると、当然の様に従業員にもその情報が行き渡ることになります。

従業員のモチベーションが低下することは言うまでもありません。希望退職者が出てしまうなど会社のパワーが大きく低下してしまうかもしれません。

今後の採用活動への影響

「この会社はブラック企業」「上司によるパワハラセクハラが横行している」「経営陣が反社会的勢力とつながっている」などの書き込みが転職サイトに書かれたりすると新卒や中途の求職希望者が減ってしまいます。

モチベーションの低下と合わせて会社のパワーを低下させる原因となってしまいます。

従業員や退職者による会社への誹謗中傷によって発生する法的責任とは

会社誹謗中傷03様々な負の影響をもたらす会社への誹謗中傷は、条件を満たせば刑事罰が適応される場合があります。

また誹謗中傷によって会社に損害が生じたと裁判所が判断すれば民事上の賠償責任を問われる場合もあります。

主なものについて下記で紹介します。

名誉毀損罪(刑法230条)

名誉棄損は刑法にて下記の様に記されています。

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

引用:電子政府の総合窓口(e-Gov) 刑法 第二百三十条

インターネット上のSNSや口コミサイトなどの不特定多数の人物が知りうる状況で、相手の社会的評価、つまり評判を下げることがこれに当たります。

例えば、「営業部の〇〇主任は受付の××さんと不倫している」「経理部の〇〇さんは経費を着服している」などは名誉毀損に当たる可能性があります。

信用毀損、及び業務妨害罪(刑法233条)

信用毀損、業務妨害は刑法にて下記の様に記されています。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用:電子政府の総合窓口(e-Gov) 刑法 第二百三十三条

虚偽のうわさを流したり、相手を欺くことで業務を妨害したり、信用を害することを指しています。

例えば「〇〇社は工場の廃液を××川に垂れ流している」「〇〇という商品にはよく小バエが混入している」などは業務妨害罪や信用毀損罪に当たる可能性があります。

侮辱罪(刑法231条)

侮辱罪は刑法にて下記の様に記されています。

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

引用:電子政府の総合窓口(e-Gov) 刑法 第二百三十一条

インターネット上のSNSや口コミサイトなどの不特定多数の人物が知りうる状況で、事実と関係ない抽象的な意見などで相手を侮辱することで社会的評価を下げるものがこれに当たります。

例えば「〇〇課長はいつもイヤラシイ目で女性を見ている」「××社はブラック企業」などは侮辱罪に当たる可能性があります。

不法行為による損害賠償(民法第709条)

会社への誹謗中傷をした人物を特定できれば民事訴訟が可能です。裁判所が「不法行為(民法第709条)」に当たると判断すれば賠償責任を負わせることが出来ます。

名誉毀損によって会社に損害があることが証明できれば損害賠償責任を負わせることが可能です。

会社への誹謗中傷への対処法

会社誹謗中傷04では実際に自分や会社や同僚や先輩などが誹謗中傷の標的にされていた場合、どのような対応すればよいのでしょうか?詳しく解説していきます。

当該記事や書き込みの削除の依頼

インターネット上に会社への誹謗中傷の書き込みを見つけた場合はまずは削除の依頼をしてみましょう。ただし、自分で削除することは不可能なので基本的には「サイトの運営者に削除依頼を行う」ことになります。

削除申請の方法は、各サイトによって異なりますが大まかに言えばサイト内の「お問い合わせフォーム」や「削除申請フォーム」などから、削除して欲しい投稿の情報(レスNo.や投稿のURL)と削除申請理由、削除すべき根拠などを送ります。

根拠に関しては各媒体のガイドラインに則して申請すると削除されやすいです。

例えばTwitterではTwitterルールが定められており、これに違反する場合は〇〇の記述に違反しているツイートなので削除を希望しますなどと申請するのがおすすめです。

発信者情報開示請求よる犯人の特定

削除申請と並行して、損害賠償や刑事告訴を考えている場合は誹謗中傷を行っている相手を特定する必要があります。

基本的な流れは下記の通りです。

犯人の特定の流れ

・媒体の運営者に対する発信者の「IPアドレス開示」の請求
・開示されたIPアドレスを基にプロバイダに対して「個人情報開示」の請求

請求が認められれば、発信者(プロバイダ契約者)の氏名住所などの情報が開示されることになります。

発信者のIPアドレスの開示請求

媒体運営者へのIPアドレスの開示請求は個人情報保護の観点からメールや問い合わせフォームで申請しても応じてもらえることはまずありません。

この場合は裁判所を通じて「発信者の情報を開示するよう命じる」という決定(発信者情報開示の仮処分)の手続きを行うのが一般的です。

プロバイダに対する発信者の個人情報開示請求

仮処分が認められてSNSやブログの運営者から発信者のIPアドレスが開示されたら、IPアドレスを元に発信者が利用したプロバイダを特定し、プロバイダへ誹謗中傷を行った人物の個人情報開示の請求を行います。

ただ、プロバイダには電気通信事業法上、通信の秘密を保護する義務があるため、原則として、開示を命じる判決がなければ開示をしません。

判決で開示が命じられればプロバイダから発信者の氏名や住所が開示されることになります。

発信者特定後の対処法

会社への誹謗中傷を行っていた犯人が特定できた場合、次にとるべきアクションは何があるのでしょうか?

基本的には損害賠償請求や刑事告訴に進むことになります。

損害賠償請求

損害賠償請求は、裁判を使わずに請求することもできます。相手が請求に応じてくれば合意書などを作り、今後の中傷を抑止することも考えるとよいでしょう。

応じてもらえない場合や、最初から厳格な対応をしたいと考える場合は、裁判所に訴訟提起をしていくのがよいでしょう。

刑事告訴

先述の名誉毀損や侮辱財は、親告罪といって告訴がなければ起訴ができない犯罪とされています。そこで告訴状を用意し、警察に相談していくのがよいでしょう。

ただし、インターネット上の誹謗中傷は、刑事告訴がなかなか認められないケースもありますし、告訴状の作成は法律の専門知識が必要になります。そのため、専門家である弁護士に相談するのがいいでしょう。

悪質な会社への誹謗中傷は弁護士や専門コンサルタントに相談

会社誹謗中傷05今回は従業員や退職者がSNSや掲示板で会社の誹謗中傷をしている場合の対処法についてお話ししました。

匿名性が高く気軽に書き込める一方、情報の信頼性は担保されていません。しかしそれを見た第三者は信じてしまう傾向にあります。特に人間はポジティブなものよりネガティブな情報を求めてしまうものです。

このようなお悩みを持っている方はまずは法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。また、法律ではなく技術で誹謗中傷の対策を行っているコンサルタントも選択肢の一つです。

両方に相談して納得のできる対策をしてもらうことをおすすめします。

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ネットの誹謗中傷、風評対策のプロがお悩みを伺います。

風評サイトやサジェストのお悩みのほか、SNSや口コミサイトの監視など、幅広くご対応可能です。

監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007 年弁護士登録(旧60期)。2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebook、Instagramに対する開示請求について、それぞれ日本第1号事案を担当。 主要著書として、「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル[第3版]」(弘文堂)、「企業を守る ネット炎上対応の実務」(学陽書房)を出版している。