ネット炎上予防

コンプライアンス研修のテーマや話題はどうしたらいい?|目的と内容、実施方法のポイントを解説

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従業員の不適切な行動や企業の不祥事など、コンプライアンス違反が社会問題となることが増えた現在では、従業員、会社を守るためのコンプライアンス研修は必須級の研修科目といえます。

しかしながら一般論になりがちなコンプライアンス研修は参加者の満足を得られない場合もあります。

またスマートフォンやSNSが普及している今では、企業はコンプライアンス違反のリスクを就業時間内だけでなく24時間365日かかえることになっています。

ここではコンプライアンス研修のポイントと国民総SNS時代の今だからこそ周知しなければならない内容を合わせて解説します。

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そもそもコンプライアンスとは

コンプライアンス研修02コンプライアンスとはもともとcomply(応じる・従う・守る)という動詞の名詞形で一般的に「法令遵守」と訳されます。「法令遵守」と聞くと法律を守ればいいと捉えられがちです。しかしコンプライアンスとは単純に法律を守ればいいというわけではありません。

法令を遵守することは当たり前で最低限のことです。

近年ではコンプライアンスとは法令順守に加え、「明文化されていないが社会的規範に従って企業活動を行う」ことを意味することを指します。

企業研修におけるコンプライアンスとは

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企業経営において、コンプライアンス重視が叫ばれるようになったのは2000年代に入ってからです。この頃から企業の不祥事がニュースなどで取り上げられるようになりました。

代表的な例として、2000年および2004年の三菱自動車リコール隠し、2002年の牛肉偽装事などが挙げられます。

また、2000年12月に閣議決定された「行政改革大綱」の方針のもと、関連法の改正も行われてきました。

2006年5月に行われた会社法の改正では、「資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の企業は、適正な業務の遂行を確保するための体制の構築」を義務付けています。2006年4月に施行された公益通報者保護法は、企業内部からその不正を告発した者に対し、解雇をはじめとした不利益な扱いが為されないよう企業に求めています。

このようにして、企業による不祥事、行政方針の変更、法改正などがあり、企業にコンプライアンス重視の姿勢を求める世論が形成されていきます。

近年においてはスマートフォン、SNSの普及により従業員個人が問題を起こし企業にまで悪影響を及ぼすことも増えているため、コンプライアンス研修の項目としてSNS教育を実施する企業も増えてきています。

なぜコプライアンス研修が必要なのか?2つの目的

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説明するまでもありませんが、コンプライアンス違反による企業イメージやブランド毀損の影響は計り知れません。

「知らなかった」「社内でみんなやっているので」なんて言い訳は通用しません。

そのような要因から発生するコンプライアンス違反のリスクを最小限にするために必要なのがコンプライアンス研修です。

社会人としての最低限のルールを身に着ける

コンプライアンス研修は新入社員に対しても多く実施されています。彼らは会社の一員としても、また社会人としてもまだ必要な知識や経験が身についていない状態です。そこで社会人としての基本的なルールを身に着け、企業人としてふさわしい振る舞いや態度ができるようにするのも、研修のひとつの目的となります。

例えば、法令や企業規則だけでなく、社会人として常識と良識のあるSNSの取り扱い、取引先との適切なやり取りなども研修テーマの中に含まれています。

法令や社会的規範の意味を理解し問題発生のリスクマネジメントをする

会社の業種や担当業務について、法令や社会的規範の意味を理解し再確認する機会を作るのも非常に重要です。

これらのルールは意識して振り返る機会がなければ、現場の必要性に引っ張られた独自の慣行が横行し、正しいルールが運用されなくなってしまいます。

ご存知の通り、誰もが名前を知る大企業でも粉飾決算や偽装などの不祥事が次々と報道されています。もちろん不祥事が起きてしまうこと自体も十分大きな問題なのですが、このように事実が明るみに出れば会社の社会的信用が落ちてしまいます。

このようなコンプライアンス違反が原因で会社が倒産してしまった例も存在します。過労死や違法残業など、労働に関する問題についてもたびたび報道されています。

会社としての利益を優先するあまり労働基準法を無視して労働者を不当に扱えば法的な制裁を受けるだけでなく、世間からブラック企業と判断される社会的制裁も受けてしまうでしょう。会社がブラック企業として知られてしまえば採用活動に影響が出るのはもちろん取引先や顧客からの信用も失ってしまいます。

特に最近はブログやSNSなどのメディアを通じ、誰もが手元のスマートフォン1台で情報を発信できる時代になりました。たとえ大手のメディアに取り上げられなかったとしても急速に情報が拡散されてしまう恐れがあるので要注意です。

コンプライアンス研修で絶対に実施したい2つの内容

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ではコンプライアンス研修において絶対に実施したい内容とはなんでしょうか?

先述の通りコンプライアンスといっても様々な切り取り方がありすべてを網羅するのは現実的に不可能です。ここでは基本的な法令順守、社会的規範以外のトレンド色の強い内容を紹介します。

ハラスメント研修

最近のコンプライアンス研修で欠かすことのできない要素になったのがハラスメント研修です。

パワハラ、セクハラなどのメジャーなものはもちろん、最近ではマタハラ、パタハラ、アルハラ、ロジハラなど新たな概念が日々出現しています。

ハラスメント(Harassment)とは、「嫌がらせ」という意味で相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることを指します。ハラスメントを定義するにあたり重要なのが、行為者がどう思っているのかは関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになることです。ただし、客観的に正当性が認められる場合はハラスメントにはなりません。

このような性質上、加害者にも被害者にもならないためにハラスメント研修は必要不可欠になっています。

社員それぞれがハラスメントについての知識を少し持っているだけでもハラスメントは減る上に、社員がお互いに尊重し合う良い職場環境が生まれます。

情報リテラシー研修

PCやスマートフォン、サーバーやクラウドシステムなど企業活動においてITは切っても切れない存在です。

全ての業務にコンピュータが関係し、多くの顧客情報・経営情報がそこで管理されている現代の企業にとって、情報セキュリティは最も重要なコンプライアンスです。

特に顧客情報の外部への漏えいは大きな損失につながるだけでなく社会的批判を浴びるものです。社員個人のデバイスに情報がずさんな形で管理されている例も多く、情報管理に関するコンプライアンス意識の研修は多くのプログラムに含まれています。

また後述にて詳しく解説しますが、最近ではSNS利用に関わるコンプライアンス研修を重視している企業も少なくありません。

コンプライアンス研修実施の3つのポイント

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実際にコンプライアンス研修を実施したとしても効果がなければ意味がありません。

コンプライアンス研修の成果を確かなものにするには下記の3つのポイントを踏まえることが重要です。

  • 研修実施のタイミング
  • 研修対象者に合わせたテーマ設定
  • 実施しやすい環境づくり

研修実施のタイミング

定期的な研修でコンプライアンス意識の徹底を行うことも大事ですが、適切なタイミングで行うことにとって効果を最大化することが可能です。

  • 社内で重大なコンプライアンス違反が発生したとき
  • 重大ではないがヒヤリハットレベルのコンプライアンス違反が連続したとき
  • 同業他社で社会的批判を浴びたコンプライアンス違反が発生したとき
  • 大きな組織変更や社内規定の変更があったとき

などが実施のおすすめのタイミングです。もちろん新入社員の入社時に研修を行うことは言うまでもありません。

研修対象者に合わせたテーマ設定

研修者に合わせて最適なテーマを設定することも重要です。階層別や担当業務別に分けてテーマを設定するのがおすすめです。

◆新入社員◆
コンプライアンスの基礎について

◆主任・リーダー層◆
コンプライアンス違反への対処法と部下とのコミュニケーションについて

◆課長などのマネジメント層◆
組織内でコンプライアンス意識を機能させるノウハウと実践法について

◆経営者役員層◆
企業としてのコンプライアンス意識の醸成と社会的責任について

実施しやすい環境づくり

せっかくコンプライアンス研修を企画実施しても参加してもらわなければ意味がありません。

事前に関係各所との調整を行い、社員が参加しやすい環境づくりを行いましょう。

SNSをテーマにしたコンプライアンス研修ニーズの高まり

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2018年の総務省の調査によると、2017年におけるスマートフォンの世帯保有率は80%弱となっており、特に60代から下の世代では平均95%近い数字となっています。

つまり現代の生活においてわたしたちはスマートフォンとは切っても切れない関係といっても過言ではなく、コンプライアンス研修の業界でも「SNSとスマートフォン」というテーマはトレンドになっています。
参考:総務省『情報通信白書平成30年度版』

特に最近ではSNSの発信を発端とした企業ブランドイメージの毀損や個人利用のトラブルから企業が特定され炎上に繋がるなどの事件も多発しています。

SNS利用と企業コンプライアンスについて

では実際にSNS利用から企業コンプライアンスを問われ炎上に繋がってしまった例を紹介します。

飲食店従業員の不適切な投稿が炎上

いちばんイメージのしやすい、いわゆるバイトテロです。

某回転すしチェーン店のアルバイト男性2名が店内キッチンで調理中に、一度ごみ箱に捨てた魚を再びまな板に戻して調理する動画をSNSに投稿して炎上しました。

この結果ネットの炎上だけではとどまらずTVなどでも大々的に取り上げられ、このすしチェーン店のイメージ、株価は急落し時価総額27億円の損失が発生しました。

またアルバイト男性たちに対しても刑事・民事での法的措置を検討したことも大きく世間を賑わせました。

ハラスメント被害をTwitterで告発され炎上

先述のハラスメントに関わる炎上事例です。

某素材メーカーに努める男性の妻と思われるアカウントが男性へのパタハラ、及びパワハラ被害を社名つきで告発しました。

告発された企業の言い訳としか思えない対応が火に油を注ぎ続け、連日ワイドショーやTwitterを賑わせました。

やはり結果この企業のイメージや株価は急落し、一時は時価総額624億円相当の損失が生じたとされています。

SNSコンプライアンス研修ニーズ増加の背景

このような事態を防ぐべく、数多くの企業がSNSをテーマとしたコンプライアンス研修を実施するようになってきました。

事例にもある通り炎上は起きてからでは遅く、企業の対応も少し間違えると更なる炎上を招いてしまいます。

企業としての実施ニーズは下記の3点にあるようです。

個人の炎上から企業イメージの低下へ

紹介した事例やニュースなどからでも分かりますが、個人利用の炎上は個人に留まらなくなりました。

個人のSNSが炎上した場合でも、勤務先が特定されて社名も一緒に拡散されてしまうことが非常に多いです。業務に関わる投稿を禁止することももちろんですが、SNS上で実名や勤務先を明かすことのリスクを伝える必要もあります。

また業務に関わる内容の文章や社名を投稿していなくても、写真や動画から情報が判明してしまうことも多いです。

業務時間外であっても、制服や名札、社員証などを身につけた状態で撮影することのリスクについてもコンプライアンス研修で伝えるべき内容です。

民法上の使用者責任

従業員の不法行為は民法715条で定められている使用者責任に問われる可能性があります。条件があるため全てが該当するわけではありませんが、該当した場合雇い主側の企業に直接的な過失がなくても損害賠償などの請求をされてしまう恐れがあります。

第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

あらゆるコンプライアンス違反の火種になる恐れがある

居酒屋での迷惑行為や騒音問題、歩きたばこなどの公共の場所での迷惑行為はSNSで拡散されがちです。社員同士の飲み会は社員が大勢集まっているだけで目立つ上に、社外秘の情報をうっかり口にしてしまうことも珍しくありません。

そのような行為や発言が同じ居酒屋にいた第三者によって拡散されることもあります。SNSを通じてルール違反を全世界に発信してされてしまうことのリスクは計り知れません。

またSNSを通じたコンプライアンスは必ず故意であるとは限りません。メッセージを送信する相手を間違えたり、アカウントを切り替え間違えたりする誤爆は多くの企業アカウントで発生しています。

「知らなかった」「そんなつもりがなかった」が理由の悪意がないコンプライアンス違反をなくすのがSNSコンプライアンス研修の大きな目的とも言えます。

まとめ|コンプライアンス研修はトレンドに合わせたテーマや話題を盛り込もう

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コンプライアンス研修と一口にいってもテーマや実施方法は様々です。また企業によって正解が異なり、あまり真面目に聞いてくれる社員もいないため研修担当者は毎年頭を悩ませているものです。

しかしご紹介した通りコンプライアンス違反による企業へのダメージは凄まじいものがあります。

ひとりひとりへの意識の醸成のためにもテーマ設定の際はハラスメントやSNSなどのトレンドを踏まえたものを取り入れ、それを通じて大きなコンプライアンス意識定着を図る研修を策定することをおすすめします。

受講者満足度98%以上!炎上リスクに備える研修
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大企業、官公庁を含め1500名以上が受講した、SNSリスクリテラシー研修。

企業の風評対策実績10年以上のプロフェッショナルが、炎上を知り、未然に防ぐための社員研修を代行致します。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007 年弁護士登録(旧60期)。2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebook、Instagramに対する開示請求について、それぞれ日本第1号事案を担当。 主要著書として、「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル[第3版]」(弘文堂)、「企業を守る ネット炎上対応の実務」(学陽書房)を出版している。