ネット炎上予防

SNS炎上を防ぐ採用活動や採用担当者のふるまいとは

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今まで対面での面接やインターンが当たり前だった採用活動もWEBが中心になった企業も少なくないのではないでしょうか。

求職者もWEBから得られる情報を基に就業先を決定することも容易に予想することが出来ます。

このような背景で企業の採用活動や担当者がSNS等で炎上してしまうのは、企業経営にとって大きなリスクです。

ネガティブな印象がインターネット上に拡散するのを防ぐためにどのようなポイント押さえればよいのか、事例と合わせて解説します。

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採用活動とSNS炎上

採用炎上002SNSを利用した採用活動、いわゆるソーシャルリクルーティングはスマートフォンやSNSの普及に伴い、徐々に普及してきました。

採用活動にSNSを利用することは求職者にも企業側にもメリットがあります。中でも双方向で1対1のコミュニケーションが取れることが大きなメリットとされてり、SNS利用率が高い世代などには非常にアプローチしやすい方法といえるでしょう。

実際に2019年に調査されたデータによると、就業者世代(20~50代)のSNS平均利用率は約80%となっており、SNSを通じたコミュケーションやSNSを通じたトラブルはありとあらゆる世代に届いてしまう時代となりました。

採用炎上007
出典:総務省『令和2年度版情報通信白書』
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252120.html

その中でも特に採用活動にかかわるネガティブなSNS炎上は注意する必要があります。

SNS上炎上しないためにも、採用担当者がどのように見られているのか、またどのように振る舞うべきなのかを見ていきましょう。

採用活動・担当者のSNS炎上事例

採用炎上003採用活動や採用担当者がSNS炎上する理由は、SNSを利用する上で当然気を付けるべきことを怠っていた場合や、思わぬところから火種が発生した場合など様々です。

色々な事例に触れてポイントを押さえていきましょう。

採用面接をWEB上でリアルタイム中継して炎上

N社では2011年、採用担当者があるWEBサービスを利用して採用面接をリアルタイム中継しました。

その中でその採用担当者は30代男性の応募者に対してこのような発言を繰り返し、ネット上で大騒ぎとなりました。

30歳の年齢で専門学校を今度卒業に来る人が新卒の面接に来た…どうしようw

「えっと、昔は営業をやらせていぃたぁだいたのですが、体を壊しちゃって、ボクには合ってないなぁと思い、IT系に行きたいと思って学校にははいりました」文章が噛みまくっているがまじだぜ。

職歴と学歴にある5年のブランクは不問にしてるwwどうせニートだろうからww

間もなく、問題の男性社員の実名や写真が次々と公開されバッシングが過熱します。

当のN社からは架空の面接実況だったとプレスがあったものの、採用担当者のモラルはもちろん、企業の個人情報の取り扱いに不信感が高まりました。

採用担当者の電話対応がSNSに拡散され炎上

D社ではインターンシップに参加する学生への対応がSNSに拡散されてしまいました。

騒動の流れは以下のようです。

  • 学生がインターンシップ日程の変更連絡を電話で依頼
  • 人事担当者が”高圧的な口調”で依頼を拒否
  • 学生が電話でのやりとりをSNSに投稿

投稿のなかでインターンシップ先がD社であることも開示されており、多くの反響が生まれました。中には「いい印象の企業だったのに意外」「全体的に高圧的な人が多い社風なのではないか」などの反応もありました。

実際に高圧的な口調で対応していたかは不明ですが、SNSに投稿拡散されたことでD社のイメージダウンにつながってしまったことは間違いありません。

応募者へのメールが拡散されて炎上

最後にT社の事例を紹介します。

T社は2011年の東日本大震災の直後に応募者の学生に宛てたメールがあまりにも道徳にかけているとして炎上を招きました。

T社の人事担当者が東日本大震災発生2日後の2011年3月13日に送信したメールがこちらです。

こんにちは、T社の〇〇です。改めて地震の方は大丈夫でしたか?

このメールを配信した中には、被災されている方が多数いると思います。
直接的な力にはなれないですが、私自身、都内から自宅のある埼玉まで徒歩で8時間かけて帰宅して、実際の東北の方に比べる程のものではないですが被災の怖さを感じました。

さて、先日は咄嗟のメールだったので、返信しなくても大丈夫ですからね。
会社は大丈夫です。揺れは大きかったですが、今のところ大きな事故・怪我の連絡は入っていないです。

本当は週明けに全員に送ろうと思っていたメールです。
こんなことくらいしか出来ませんが、履歴書とESをお送りします。

ただ、非常に厳しい条件をつけさせていただきます。
その条件とは1点だけです。

書類選考を希望される方は、添付の専用履歴書とエントリーシートをご確認いただき、3月15日(火)消印有効でその2枚をセットにし、下記までご郵送ください。

直前に説明会へ予約が出来た場合は、ひとまず書類持参でお越しください。
会場で通り一遍等の説明・指示はします。
その指示が難しい場合は・・・その先は言う必要ないですよね。
自分で考えてみてください。

皆様にも言いたいこと、不満があるのは重々承知していました。
全部ではありませんが、私も様々な心の奥にある声を見て・聞いています。

被災者に対する配慮を欠いた内容、(隙あらば自分語りをする)人事担当者の姿勢がSNSや匿名掲示板を中心に大炎上を招くことになりました。

しかし、T社の〇〇さんの上司である××さんが後日送信したメールは「SNS炎上に対するお手本のような文章」として今でも絶賛されています。

その内容が下記の通りです。

3月13日付 件名「T社選考専用履歴書・エントリー送付」に関するお詫び
学生の皆様へ

平成23年3月14日

T社 △△部ゼネラルマネージャー
氏名:××

日頃から弊社へ格別のご理解を賜りまして深く御礼申し上げます。

さて、平成23年3月13日付で、弊社人事グループ担当社員より発信しました弊社採用活動に関する文書の中に、不適切かつ配慮に欠く表現が多々ありましたことを深くお詫び申し上げます。

先ず、東日本大震災発生の2日後に、罹災した地域への配慮を欠いたかたちで書類選考用紙等をメールし、締切を15日消印有効としたことは言語道断であります。

また、随所に平等を欠く表現もありました。さらに、弊社担当者の立場上の驕り昂ぶりが現れた言葉遣いが随所にあり、重ね重ねお詫び申し上げます。

つきましては、平成23年3月16日に開催を予定していました会社説明会は延期させていただくことにいたしました。

理由は、電力問題でライフラインに支障をきたす危険があるためです。そのため15日の消印有効としました書類送付締切も無効とさせていただきます。

会社説明会の実施日は決定次第ご連絡申し上げます。

弊社は人材の発掘に努めており、定時採用をたいへん重んじております。

書類選考の段階から役職者が加わり、最終選考では役員が加わり、全社的に平等かつ公平にこれを運用しておりますが、採用担当者の発信文書の管理に問題がありました

早速、公に発信する文書の事前社内校閲ルールを設置し、再発を防止してまいりますと同時に、当該担当者を厳しく指導しました。

改めてこの度、不適切かつ配慮に欠く文書を発行しましたことを深くお詫び申し上げます。

この謝罪文のポイント
  • 最初に責任者の氏名を公表
  • 「言語道断」や「弊社担当者の立場上の驕り昂り」といった言葉を使い部下に対する怒りを表現
  • 問題の原因と再発防止策への言及

謝罪の手法や内容が非常に的確で、上司の××さんはネット上で大絶賛されることになります。この後も大きな炎上はなく、約2日で騒動は鎮火することになりました。

しかし事件から10年たった今でも未だにT社の名前を検索すると〇〇さんの名前のフルネームと共に事件に関する記事が多数ヒットします。

毎年3月11日になるとSNSを中心に話題が繰り返される事件でもあり、人事担当者個人の判断が長い期間に渡って企業のイメージを大きく損ねる結果となってしまいました。

SNS炎上を防ぐ採用活動のポイント

採用炎上004これらの事例からSNS炎上を防ぐ採用活動のポイントを考えていきましょう。

リアルなコミュニケーションもSNSに晒される可能性を意識する

D社の事例でも見たように採用担当者はSNS上の振る舞いだけでなく、リアルな場でのコミュケーションも見られていることも意識する必要があります。

メールやチャットなどのネット上での1対1のコミュニケーションも同様です。

SNS上の発信ややりとりだけでなく、面接時や説明会での発言や振る舞いもSNS炎上の対象であることを強く意識しましょう。

リアルなコミュニケーションは発信者の都合で情報が切り取られることが多く、受け手に誤解を与えてしまうこともあります。ちょっとした些細な行動や態度が、企業のイメージを大きく損ねる可能性があることを肝に銘じましょう。

採用担当者向けのSNS研修を実施する

採用に関わるSNS炎上を未然に防ぐにはSNSに関する教育研修を実施するのが非常に有効です。

SNSならではのトラブルやコミュニケーションを特化して学ぶ機会は通常業務ではあまりないことです。質の高いコンテンツを提供したり、ユーザーと適切な関係を築いたりするためにSNSに関する教育研修は必須と言えるでしょう。

研修の実施は自社リソースでも問題ありませんが、炎上やSNSリスクリテラシーに精通した専門家に依頼するのがより効果的です。

また、教育研修と合わせてSNSの運用ルールを策定すると効果を最大化することが出来ます。

SNS社内規定01
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もし採用活動や担当がSNS炎上してしまったら

採用炎上005SNS炎上に気を付けて採用活動を行っていても、思わぬところから炎上が起きてしまうことはあり得ないことではありません。

SNS炎上は下記の通り1次、2次、3次と燃え広がるもので、2次炎上が起きる前に食い止めればすぐに風化してしまいます。
SNSリスクマネジメント07

採用活動や担当者がSNS炎上した際には「素早い謝罪」と「原因と再発防止策への言及」が有効です。

先述のT社の××上司のメールはお手本のような内容なのでぜひ参考にしてみてください。

また、再発防止策の一環で繰り返し教育研修を行うこともとても大切です。具体的な対応の方法などをワークショップ形式で学ぶとより実践的に学習することが出来ます。

まとめ|採用担当者は常に評価される側だという意識を持とう

採用炎上006スマートフォンの爆発的な普及に伴い、企業の採用活動とSNSは切っても切り離せない関係になりました。合わせて冒頭に述べた通り新型コロナウイルス感染拡大を契機として、採用活動は大きなゲームチェンジのときを迎えているのかもしれません。

SNSは上手に活用すればとても効果的に採用活動をすすめられる一方、一歩間違えれば企業のイメージを大きくダウンさせるリスクを孕んでいます。

まずはSNSに関する教育研修やガイドライン、ポリシーの策定を行うことが重要です。

そして採用の担当者は常に自分たちは企業の看板を背負い、人から見られ評価される立場だという意識を持って自社の魅力の発信や応募者とコミュケーションをとるとよいでしょう。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007 年弁護士登録(旧60期)。2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebook、Instagramに対する開示請求について、それぞれ日本第1号事案を担当。 主要著書として、「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル[第3版]」(弘文堂)、「企業を守る ネット炎上対応の実務」(学陽書房)を出版している。