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企業コンプライアンスとは?正しく理解し、より良い企業活動に活かそう

企業コンプライアンスとは?正しく理解し、より良い企業活動に活かそう

企業で働く従業員であれば、コンプライアンスという言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。

企業コンプライアンスは、経営者側でも、企業活動を行う上で重要な経営課題の一つとして捉えています。

コンプライアンス違反が企業に及ぼす影響は深刻で、ニュース等に取り上げられるたび、身近で起こり得ることも多いと感じるのではないでしょうか?

この記事では、企業コンプライアンスの基礎的な知識はもちろん、コンプライアンス違反が起きてしまう原因や起こさないための対策方法を事例を交えて解説します。

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企業コンプライアンスって何?

企業コンプライアンスって何?

企業コンプライアンス(Corporation compliance)とは、企業が法律や条例、就業規則等を守り、企業活動を行うことです。

法令遵守以外にも、社会的規範やモラルを守ることも含まれる場合があります。

例えば、長期休暇制度を利用した社員を、復帰後に妥当性に欠く理由で急に配置転換を命じた企業が、SNSで暴露され炎上したケースがありました。

企業側は、法律違反を行ったわけではないにもかかわらず、世論によって社会的な制裁を受けることもあるのです。

また、企業が守るべきコンプライアンスの内容は、時代の流れによっても多様な変化を求められ、その範囲は限定的なものではないことを認識しておきましょう。

企業コンプライアンスが注目されるようになった理由

企業コンプライアンスが注目されるようになった理由

現代において、企業コンプライアンスに対する意識が高まってきた理由として、企業が起こす不祥事の急増があげられます。

高度経済成長期の1980年代に、規制緩和による自由競争が起こり、バブル崩壊後の1990年代以降から、不況の最中で不祥事や不正行為が多発しました。

そして、2000年代を過ぎた半ば頃から、コンプライアンスという言葉が世間で一気に注目され始めます。

当初は直訳の通り、「法令遵守」の意味で使われていましたが、社会の変化に伴い、現在は広い意味合いを持つようになってきたのです。

CSRやコーポレートガバナンスとの違い

CSRやコーポレートガバナンスとの違い

コンプライアンスの他に、関連する言葉として「CSR」や「コーポレートガバナンス」があります。その違いや特徴についても、明確に把握しておきましょう。

CSRとは

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、主に企業が負う社会的責任を意味します。

自社と利害関係にある、従業員や顧客、取引先、株主等に対して果たすべき責任や社会全般に対する貢献といった、幅広い定義を持つ言葉です。

CSRは、社会全体の求めるニーズに応えるための取り組みでもあり、コンプライアンスは、その取り組みの中のほんの一部ということになります。

CSRの取り組みの一例

  • 環境問題
  • 雇用創出
  • 地域貢献
  • 品質管理
  • コンプライアンス

コーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンス(Corporate Governance)とは、企業が経営活動を行う上での管理・監督する仕組みを作り、組織ぐるみでの不祥事等を防ぎ、株主への利益最大化を目的とするものです。

コンプライアンスとガバナンスは、本来の意味は違えど、同義で使われることも多く、コンプライアンスを持続、改善していくための管理体制をガバナンスと理解しておくと良いでしょう。

コンプライアンス違反が起こる原因

コンプライアンス違反が起こる原因

これだけ声高に企業コンプライアンスが叫ばれる昨今、なぜ、大きな不祥事が後を立たないのでしょうか?

個人レベルの倫理観まで含めるとキリがなくなるので、企業側の課題や問題点について、顕著なものをご紹介します。

社内環境の問題

例えば、ノルマ意識の高い企業の場合は、日々のプレッシャーや業務負担を軽減させるために、現場が法律や社内規程等を意図的に違反してしまうケースがあります。

また、経営層や管理職が違反行為を黙認し、企業ぐるみで違反が常態化している企業は、外部機関にも相談する必要があるでしょう。

知識不足による問題

自社の従業員が、法律関係やコンプライアンスに対する知識を十分に持ち合わせていない場合、知らずのうちにコンプライアンス違反を行っているケースもあります。

社内で十分な周知や教育が行われないと、従業員の意識を変えることが難しいのです。

内部体制や管理体制が不十分

コンプライアンス専門の部署や社内の相談窓口、情報セキュリティ関連の部署等、企業内部の管理体制が脆弱で、違反やトラブルに対する抑止や対応策が十分に取れないことも、コンプライアンス違反が起きる大きな原因の一つとなります。

企業コンプライアンスの違反事例の紹介

企業コンプライアンスの違反事例の紹介

コンプライアンス違反の種類は多数ありますが、その中でも代表的な違反事例やニュース等でも話題となった事件を中心に紹介します。

自社で同じ様なことが起こり得ないか、どのようにすれば未然に防げたか等考えてみるのも良いかと思います。

製品偽装

2007年に、食品加工会社が起こした事件です。

当時、自社で加工販売していたひき肉に豚肉を混ぜ、牛ミンチと表記して出荷していたことが、内部告発によって明るみになり、大きな問題となりました。

影響や事後の対応
  • 原料を使用していた会社は、問題となった製品の販売自粛、自主回収
  • 企業側は、賞味期限の改ざんや産地偽装等、複数の問題が発覚し、廃業

参考記事:ミートホープ社による食肉偽装問題に関する質問主意書:質問本文:参議院

情報漏洩

個人情報保護法が施行される以前の2004年に、大手通信会社が起こした、大規模な個人情報流出事件です。

元従業員が、社内セキュリティの甘さを突いて、外部から同社の顧客データベースにアクセスし、約1000万件以上の個人情報を流出させました。

更に実行犯は、同社に恐喝未遂を起こす騒ぎとなりました。

影響や事後の対応
  • 同社サービスを利用していた会員が民事訴訟を起こし、慰謝料の支払い
  • 全会員に対して、謝罪を行い金券を配る
  • 被害総額は100億円以上

参考記事:2004年に起きたYahoo!BB(ソフトバンクBB)の個人情報流出事件について|サイバーセキュリティ.com

ハラスメント

大手広告会社の従業員が長時間労働を強いられ、精神疾患を患った末に過労自殺をした事件です。

企業側は、実際の残業時間よりも実働時間を過少申告するように指示していたそうです。

本人のSNSでは、日々の業務の過酷さや、一日20時間以上の労働時間を送っていたこと、上司からのパワハラ発言について等も綴られていました。

影響や事後の対応
  • 労働基準法違反の判決を受け、遺族に対して慰謝料の支払い
  • 同様の問題再発防止を目的とする、社内部門を発足

参考記事:娘が亡くなって5年…電通過労自殺、母「風化を感じる」:朝日新聞デジタル

その他、こちらの記事でも違反事例が紹介されていますので参考にしてください。

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企業が取り組むべきコンプライアンス対策

企業が取り組むべきコンプライアンス対策

企業がコンプライアンス違反を起こさないために、特に重要な対策方法を紹介します。

コンプライアンス対策は、ルールの策定と体制作り、従業員の意識改革等、一朝一夕で実行できるものではありません。

まずは、社内で取り組むべきことに優先順位を付けて実施していきましょう。

社内規定等の整備

社内規程(就業規則)、業務マニュアルを作成する際は、自社に合った規定であるか、法令に則した内容であるか等、しっかり確認しましょう。

また、策定にあたって、法律やコンプライアンスの知見がある専門家に、内容をチェックしてもらう等の対応も重要です。

内部通報制度の設置

企業の規模感によって、設置自体が難しい場合もありますが、社内にコンプライアンスの相談窓口や制度があることで、違反者に対する適切な措置や違反の抑止にもつながります。

また、「公益通報者保護法」という法律があるので、内部通報を行った社員が、不当な扱いを受けないように保護される仕組みになっています。

コンプライアンス教育と研修

ルールやガイドラインは策定するだけでは意味がないので、周知、徹底を促すための社員教育と研修は必須となります。

また、正しい知識と理解によって、コンプライアンス違反そのものへの意識の変化も期待できます。

コンプライアンス意識の統一化やリテラシー自体の底上げをはかることもできるので、教育は特に重要なコンプライアンス対策といえるでしょう。

その他のコンプライアンス対策や実施優先度について、更に詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください

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【まとめ】企業コンプライアンスの強化は理解と教育から

まとめ|企業コンプライアンスの強化は理解と教育から

企業コンプライアンスについて、言葉の意味だけでなく、背景や役割、違反することへのリスク等、基礎的な部分は理解頂けましたか?

コンプライアンス対策を行う上で、社内規程の策定と教育研修は必ずセットで実施しましょう。

また、SDG’sの取り組みを始め、企業に対する環境への配慮も求められる現代。

CSRやガバナンスの意味も理解し、社会全体への貢献に対する視野を広げ、健全な企業活動を行っていきたいですね。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007 年弁護士登録(旧60期)。2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebook、Instagramに対する開示請求について、それぞれ日本第1号事案を担当。 主要著書として、「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル[第3版]」(弘文堂)、「企業を守る ネット炎上対応の実務」(学陽書房)を出版している。