企業のWeb集客手法の一つとして、サジェストPR(別名:サジェスト広告)対策があります。
近年、Web広告やSEO対策、SNS運用など、集客方法が多様化する中で、サジェストPRは低コストで高い集客効果が期待できる施策として注目されています。
マーケティング担当者の中には、「Web広告やSEO対策を実施しているが、成果が思うように出ない。」や「新しい集客施策を探しているが、適切なものが見つからない。」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。
サジェストPRはこうした悩みを解決する有力な手段となり得ます。
本記事では、サジェストPR対策の仕組みやメリット・デメリット、提供会社の選び方、どのような企業に適しているかを詳しく解説します。
サジェスト対策とは
サジェストPRを解説する前に、まずはサジェスト対策の基本について説明します。
サジェスト対策とは、特定のサジェストキーワードを表示させたり非表示にさせたりする対策のことです。
※サジェストキーワード:Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンで検索窓に文字を入力した際に予測変換として表示されるキーワードを指します。
サジェスト対策には、表示施策の「サジェストPR対策」と非表示施策の「サジェスト非表示対策」があり、サジェストPRは集客支援、サジェスト非表示対策はWeb上の風評被害対策として利用されます。
ここでは、各施策の概要を解説します。
サジェストPR対策
サジェストPR施策は、特定のキーワードを検索エンジンで検索する際に、サジェストキーワードとして会社名やサービス名を表示させる施策です。
※主に広告目的で用いられるため、「サジェスト広告」と呼ばれることもあります。
例えば、掃除機メーカーがサジェストPR対策を行う場合、「掃除機 おすすめ」というキーワードで検索した際に、予測変換として特定の商品名を表示させることができます。
キーワードの表示例:「掃除機 おすすめ 商品名」
サジェスト枠に会社名やサービス名、商品名が表示されると、ユーザーがそのキーワードをクリックした後、検索結果に会社のHPやGoogleマップの店舗情報が表示されます。
これにより、ユーザーを自然に会社のHPや店舗情報へ誘導する導線を作ることができます。
サジェスト非表示対策
サジェスト非表示対策とは、検索窓に会社名や個人名を入力した際に、予測変換にネガティブなキーワードが表示される場合、そのキーワードを非表示にする施策です。
例として、会社名で検索した際に予測変換に「ブラック」といったネガティブキーワードが表示される場合、「会社名 ブラック」が表示されないように対策を行います。
本記事ではサジェストPRについて詳しく解説しますので、サジェスト非表示対策については以下の記事をご参照ください。
サジェストPRのメリット・デメリット
サジェストPRのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
サジェストPRのメリット
サジェストPRのメリットは主に5つあります。
- 企業ブランディングになる
- リスティング広告やSEO対策と異なり検索前の段階で対策できる
- SEO・MEO対策と併用できる
- 安価で実施できる
- 成果が早い
ここでは、これらのメリットについて詳細を解説します。
メリット①:企業ブランディングになる
サジェスト枠に社名やサービス名が表示されることで、多くの人が検索しているというイメージが生まれ、信頼感や安心感を与えるとともに、企業のブランディングにもつながります。
さらに、検索回数が多いキーワードで表示されると、企業名やサービス名の認知拡大を効果的に行うことができます。
メリット②:広告やSEO対策と異なり検索前の段階で対策ができる
サジェストPRはリスティング広告やSEO対策と異なり検索前の段階で対策ができます。
リスティング広告やSEO対策は検索後の検索結果画面でアプローチする施策ですが、サジェストPRは検索前に予測変換にキーワードを表示する施策です。
これにより、検索結果画面にアクセスする前に会社名やサービス名を表示できるため、広告やSEO対策では対応が難しい検索前の部分でのブランディングやHPへの導線作りに有効です。
メリット③:SEO・MEO対策と併用できる
サジェストPRは、検索結果での上位化を目指すSEO対策や、Googleマップでの検索上位化を目的とするMEO対策と併用できます。
SEO・MEO対策で検索ボリュームが多く上位化が難しいキーワードでも、サジェストPRを実施することでサジェスト枠にキーワードを表示できる場合があります。
また、SEO・MEO対策とサジェストPRを併用すると、検索前と検索後の両方で対策ができ、効率的に集客が可能です。
メリット④:安価で実施できる
SEO対策やリスティング広告の相場感は月額10万〜50万ですが、サジェストPRの相場は月5万円〜10万程度のため、比較的安価で実施できる施策です。
また、リスティング広告でクリック単価が高いキーワードでも、サジェストPRでは安価で対策ができるケースもあります。
10万円以内で実施できる施策を探している場合、サジェストPRは有力な選択肢の一つになるでしょう。
メリット⑤:成果が早い
SEO対策などに比べ、早く成果が出る点がサジェストPRのメリットです。
SEO対策は成果が出るまで早くても3カ月〜6カ月、場合によっては1年以上かかることもあります。
一方で、サジェストPRは最短でYahoo!は1週間〜1カ月・Googleは1カ月〜2カ月程度で成果が出るケースが多いので、短期間で成果を出したい場合に適しています。
サジェストPRのデメリット
サジェストPRのデメリットは主に2つあります。
- Googleのアップデートの影響で、安定したキーワードの表示が難しい場合がある
- サジェストPRを実施後の効果測定が難しい
ここでは、これらのデメリットについて詳細に解説します。
デメリット①:Googleのアルゴリズムのアップデートによる影響を受けやすい
Googleのアルゴリズムは定期的にアップデートされ、その影響でサジェストに表示されるキーワードの評価基準が変わることがあります。
そのため、アップデート後にこれまで表示されていたキーワードが非表示になることがあり、施策の効果が低下する可能性が考えられます。
そのようなトラブルを防ぐためには、最新のGoogleのアルゴリズムアップデートに合わせた施策を実施することが重要です。
サジェストPRを提供会社に依頼する場合は、アップデートなどの最新情報に対応した施策を行い、成果率の高い会社を選定することが求められます。
デメリット②:効果測定がしづらい
サジェストPRは、サジェストに対策キーワードが表示された後の効果測定がしづらく、特に施策から問い合わせなどの成果に至ったかどうかの測定が難しいです。
ただし、施策時のPV数の増減などは「Googleアナリティクス」などのツールで確認でき、表示されたキーワードの表示回数やクリック数は「Googleサーチコンソール」で確認が可能なため、効果測定が全くできないわけではありません。
※GoogleサーチコンソールはGoogleのサジェストPRのみ測定が可能です。
GoogleとYahoo!でのサジェストPR対策の違い
サジェストPRの対象となる検索エンジンは主にGoogleとYahoo!ですが、これらの検索エンジンでは仕様が異なるため、別々の対策が必要になります。
GoogleとYahoo!でのサジェストPR対策には以下の違いがあります。
- Yahoo!
サジェスト枠に加えて、関連検索枠にも表示が可能です。
※関連検索枠は、検索結果ページの下部に表示される、検索キーワードと関連性の高いキーワードの一覧です。 - Google
サジェスト枠のみ表示が可能で、関連検索枠には表示できません。
- Google
長いキーワードでの表示が可能です。 - Yahoo!
短いキーワードでの表示が主流で、長いキーワードでの表示が難しい傾向があります。
これらの違いは、各検索エンジンの仕様が異なるため、キーワードの表示アルゴリズムも変わってくることが理由です。
サジェストPRの提供会社の選び方
サジェストPR対策は専門技術が必要なため、実施する際は専門的なノウハウや技術を有した会社に依頼することが重要です。
信頼できる会社を選ぶためには、以下のポイントに注目することが大切です。
①課金形態が明確
サジェストPRの提供会社を選ぶ際には、課金形態が明確であることが重要です。
理由は、課金形態が明確であれば、どのようなコストが発生するかを把握できるため、予算の計画立てや費用対効果の計算がしやすくなるからです。
一般的には「日額成果報酬」か「月額課金」の2つの形態があります。
実際にキーワードが表示された日数に応じて料金が発生する形態です。
例えば、1日の成果課金金額が1500円の場合、月の表示日数に応じた費用は以下の通りです。
- 月に0日表示 :1500×0=0円
- 月に10日表示:1500×10=15000円
- 月に31日表示:1500×31=46500円
成果に関係なく、毎月固定で料金が発生する形態です。
提供会社によって課金形態が異なる可能性がありますので、課金形態は必ず確認しましょう。
②成果率が高い
Googleの定期的なアップデートにより、サジェストに表示されるキーワードの評価基準が変わり、以前表示されていたキーワードが非表示になることがあります。
Googleアップデートに対応出来ない提供会社では安定した成果が期待できないため、実績を確認し、成果率が高く安定した施策を提供する会社を選ぶことが重要です。
③契約期間
契約期間が明示されているかどうかは必ず確認する必要があります。
理由は、契約期間が明確でないと、施策の計画やコストの見積りが難しくなるからです。
契約期間がある場合は、その期間が何カ月であるかや、契約更新の条件、解約に関する規定も事前に確認しておきましょう。
④施策の透明性があり、成果の見える化がされている
施策の透明性と成果の見える化が行われているかどうかも確認すべきポイントです。
提供会社を選定する際は、以下の点について確認しましょう。
- 定期的に施策の進捗や成果についての報告があるか
- ツールなどで成果の見える化ができるか
サジェストPRは目に見えた形でサービスを提供することが難しいため、上記の条件をクリアしている会社を選ぶことが大切です。
サジェストPRで満たせるニーズとは
サジェストPRは企業の集客施策において、以下のようなニーズを満たすことができます。
- 低予算で認知を拡大したい
- 店舗のある地域で知名度を向上させたい
- 新サービスについてWebでPRをしたい
- 新しい集客施策を実施したい
ここでは、サジェストPRで満たせるニーズについて詳しく解説します。
低予算で認知を拡大したい
サジェストPRは他の集客施策に比べて低コストで実施できるため、低予算で認知を拡大したい企業に最適です。
中小企業や新規に事業を開始した企業にとって、無理がなく始められる施策として有効です。
店舗のある地域で知名度を向上させたい
特定の地域での認知度を高めたい場合、地域名を含むキーワードでのサジェストPR対策が有効です。
地域密着型の店舗にとっては、キーワードがサジェスト枠に表示されることで地元での知名度を向上させることができます。
新サービスについてWebでPRをしたい
新サービスや商品の認知度を高めるためにWebでPRを検討している場合、サジェストPR対策を行うことで新サービスを広めることができます。
また、サジェスト枠でのPRを実施する企業は他の広告手法と比べて比較的少ないため、競合との差別化を図ることができます。
新しい集客施策を実施したい
集客施策をまだ実施していない方や、既にWeb広告やSEO対策を行っているものの、期待した効果が得られず物足りなさを感じている方には、新しい集客施策としてサジェストPRが有効です。
サジェストPRを活用しキーワードの表示に成功すれば、認知度の向上やHPのPV数の増加が期待できます。
また、シンプルで専門知識が不要なため、簡単に取り組みを始めやすいという利点もあります。
どのような業界の企業に適しているか?
サジェストPRは幅広い業界で活用できますが、特に広告単価や顧客単価が高い業界に適しています。
理由は、顧客獲得にかかるコストが高いため、低コストで効果的な集客手段を求める企業にとってサジェストPRが有力な選択肢となるからです。
特に以下の業界で効果が期待できます。
- 医療/美容業界
- 金融業界
- 不動産業界
- 教育/人材業界
これらの業界は競争が激しいですが、ターゲットとなる顧客層が明確であるため、適切なキーワードを選定しサジェストPRを効果的に活用することで高い集客効果が期待できます。
もちろん、これらに限らずさまざまな企業・業界で幅広く利用でき、集客効果が見込めます。
医療・美容業界は特に適している
医療・美容に関連する業界は、薬機法により、人体に影響を与える医療品や医療機器の効果や効能に関する広告表現には厳密な基準が設けられています。
薬機法に違反した場合、企業は罰金や懲役といった法的制裁を受ける可能性があるため、これらの広告出稿には専門知識が求められます。
特に、効果や効能を誇張する誇大広告や、誤解を招く表現を避けることが重要です。
広告の出稿が難しい場合、代わりにサジェストPRを活用することで集客効果が期待できます。
そのため、薬機法に関連する業界においては特に効果的な施策です。
サジェストPRで高い効果を出すためのポイント
サジェストPRで高い効果を上げるためには、運用前に「ターゲット設定」を行い、適切な「キーワード選定」をすることが重要です。
ターゲット設定
キーワード選定の前に、まずターゲット設定を行いましょう。
ターゲット層を明確にするために、年齢層や性別、趣味趣向などをペルソナ設定で具体化し、そのターゲットに最適なキーワードを選定します。
検索エンジンの選定においては、広範な年齢層をターゲットにする場合は、全年齢層に広く利用されているGoogleでの施策が最適です。
一方で、主婦層や経営層をターゲットとする場合は、これらのユーザーが多いYahoo!が有効な選択肢となることもあります。
顕在層・潜在層について
検索ユーザーの属性は、ニーズが明確な「顕在層」と、潜在的なニーズがある「潜在層」に分けられます。
検索ボリュームが高いキーワードは「潜在層」にリーチをしやすい一方で、検索ボリュームが少ない専門的なワードは、ニーズが高い「顕在層」にアプローチしやすくなります。
事業において、どちらの層にアプローチするかを考慮して、それに基づいてキーワードを選定することが必要です。
キーワード選定
サジェストPRで対策するキーワードは、ターゲットとなるユーザーが実際に検索する可能性の高いキーワードを選定しましょう。
まず、自社の商品やサービスに合ったメインキーワードを決定し、それに関連する類似キーワードを調査して、いくつかの候補をピックアップします。
その後、HPへの流入数が多いキーワードや、より親和性の高いキーワードなどを考慮して最適なキーワードを選びます。
ただし、検索ボリュームが多いキーワードは競争が激しく表示されるのが難しい場合があるため、複合キーワードを用いる施策が効果的です。
例えば、「不動産」という単一キーワードは検索ボリュームが多く表示が難しいですが、「不動産+地域名」といった検索ボリュームが比較的少ない複合キーワードを狙うことで、表示される確率を高めることができます。
まとめ:サジェストPRは費用対効果が高いマーケティング施策
今回はサジェストPR対策の仕組みやメリット・デメリット、提供会社の選び方、どのような企業に適しているかについて解説しました。
サジェストPRは他の集客施策に比べ安価で実施でき、成果も比較的早く出るため、費用対効果が高い施策と言えます。
また、業種や業界を問わず柔軟に対応できる点も魅力です。
適切に活用することで、集客やブランド力の向上に大きく貢献できるため、今後の集客施策としてぜひご検討ください。