「お客様は神様です」。日本のビジネスシーンに深く根付いたこの考え方が、いま大きな転換期を迎えています。
顧客からの暴言や不当な要求、長時間の拘束といった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が、年々深刻さを増しているのをご存じでしょうか。厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」によると、過去3年間にカスハラの相談があった企業は全体の27.9%。前回調査から8.4ポイント増加し、各種ハラスメントのなかで唯一、相談件数が増えている類型です。
そしていよいよ、2026年10月には改正労働施策総合推進法が施行され、すべての企業にカスハラ対策が義務化されます。
この記事では、カスハラの定義から法改正の詳細、具体的な対応マニュアルの作成手順、さらにはネット炎上リスクへの備えまで、企業の人事・総務担当者や現場管理職の方が「明日から動ける」実務情報をまとめました。
- 2026年10月からすべての企業でカスハラ対策が義務化されます。中小企業も例外ではありません。
- 対策を放置すると、安全配慮義務違反による損害賠償や、ネット炎上によるブランド毀損、従業員の離職といった重大なリスクを負います。
- まずは経営トップによる「基本方針の策定」から始め、相談窓口の設置や「対応マニュアル(全6ステップ)」の整備を早急に進めましょう。

相談企業27.9%・被害従業員の57.5%が意欲減退——数字が示す深刻な実態と、企業に義務付けられる5つの措置を確認してください。
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?定義と正当なクレームとの違い
カスハラの定義——厚生労働省の3つの判断要素
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、一言でいえば「顧客や取引先からの、度を越した迷惑行為」です。
改正労働施策総合推進法では、カスハラを次の3つの要素すべてを満たすものと定義しています。
- 顧客、取引先、施設利用者など「利害関係者」による言動であること
- その言動が社会通念上許容される範囲を超えていること
- 労働者の就業環境が害されること
たとえば、商品に不具合があり「交換してほしい」と申し出ること自体は正当なクレームです。しかし、その際に従業員を怒鳴りつけたり、土下座を強要したり、何時間も居座って業務を妨害したりすれば、それはカスハラに該当します。
ポイントは「3つの要素すべてを満たす場合」にカスハラと判断されるということ。単に厳しい言い方をされたというだけでは、ただちにカスハラとは認定されません。
カスハラに該当する行為の具体例
厚生労働省が策定した指針やマニュアルでは、カスハラの典型的な行為類型が示されています。業種ごとに「あるある」な事例を表にまとめました。
| 行為の類型 | 具体例 |
| 身体的攻撃 | 殴打、物を投げつける、唾を吐く |
| 精神的攻撃 | 人格否定、脅迫、名誉毀損的な発言 |
| 威圧的言動 | 大声で怒鳴る、睨みつける、机を叩く |
| 土下座の強要 | 謝罪として土下座を求める |
| 執拗・継続的な言動 | 長時間の電話・居座り、同じ要求の繰り返し |
| 不当な要求 | 契約範囲を超えるサービスの要求、不合理な値引きや返金の要求 |
| SNSでの誹謗中傷 | 従業員の実名をSNSにさらす、事実と異なる投稿で企業を攻撃する |
業種別に見ると、特に深刻なのは以下の分野です。
- 医療・福祉(カスハラ相談があった企業の割合:53.9%)
- 宿泊業・飲食サービス業(同46.4%)
- コールセンター(3時間以上電話を切らないケースも報告されている)
- 小売業(返品トラブルから長時間の叱責に発展するケースが多い)
正当なクレームとカスハラの境界線——2つの判断基準
ここで気をつけたいのが、すべてのクレームを「カスハラ」と決めつけてはいけない、ということです。正当なクレームは企業にとって貴重な改善の機会。安易にカスハラ扱いしてしまうと、顧客離れを招くリスクがあります。
判断の軸は、次の2つです。
- 要求内容に妥当性があるか(「何を求めているか」の問題)
- 要求の手段・態様が社会通念上相当か(「どうやって求めているか」の問題)
たとえば、購入した商品の不具合を指摘して交換を求めるのは、要求内容も手段も正当です。一方で、商品に問題がないにもかかわらず「誠意を見せろ」と金銭を要求したり、正当な指摘であっても怒鳴り続けたりする場合は、カスハラと判断できます。
現場で迷いやすいのは「要求自体は正当だけれど、言い方がきつい」というグレーゾーンのケース。私はブランドセキュリティの仕事で、ネット上の「正当な批判」と「悪意ある攻撃」を毎日見分けていましたが、判断に迷ったら一人で抱え込まず、上長や相談窓口に相談することが鉄則です。この「迷ったらエスカレーション」というルールを社内に根付かせるだけでも、現場の負担はぐっと軽くなります。
2026年10月施行|カスハラ対策を義務化する法改正の全容
改正労働施策総合推進法のポイント——すべての企業が対象
2025年6月11日に公布された「労働施策総合推進法等の一部を改正する法律」により、カスハラ対策は企業の法的義務になります。施行は2026年10月1日です。
押さえておくべきポイントは3つ。
- 対象はすべての事業主。労働者を1人でも雇用していれば、中小企業も含めて例外なく適用される
- 改正法第33条に「カスハラに対する雇用管理上の措置義務」が新設された
- 義務に違反した場合、厚生労働大臣による報告徴収命令・助言・指導・勧告の対象となる。勧告に従わなければ企業名が公表される
直接的な罰金規定はありません。しかし、企業名の公表は実質的なブランドリスクです。検索結果にネガティブ情報として残り、採用や取引先との関係にまで影響が及ぶ可能性があります。
企業に義務付けられる5つの措置
改正法に基づき、厚生労働省は2026年2月26日に具体的な指針(令和8年厚生労働省告示第51号)を公表しました。企業に義務付けられる5つの措置は次のとおりです。
| 措置の内容 | 具体的に何をすればよいか |
| 方針の明確化と周知・啓発 | 「カスハラには毅然と対応し、従業員を守る」という方針を策定し、社内報や研修で全従業員に周知する |
| 相談体制の整備 | 相談窓口を設置し、担当者が適切に対応できるよう教育する。外部委託も可 |
| 事後の迅速かつ適切な対応 | 事実関係をすみやかに確認し、被害者への配慮(配置転換・メンタルケア等)と再発防止策を実施する |
| 悪質事案への抑止措置 | 暴行・脅迫等への対処方針(警察通報・出入り禁止等)をあらかじめ定めておく |
| 併行措置 | 相談者のプライバシー保護と、相談を理由とした不利益取扱いの禁止を周知する |
東京都カスハラ防止条例など自治体の動き
国の法改正に先立ち、自治体レベルでもカスハラ対策が進んでいます。
2025年4月1日、東京都は全国に先駆けて「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。この条例はカスハラを明確に「してはならない行為」と位置づけた点に大きな意義があります。罰則規定はないものの、2024年12月19日に策定されたガイドラインで具体的な対応が示されています。
北海道と群馬県でも同時期に防止条例が施行され、他の自治体でも検討が進行中。国の法改正と合わせて、カスハラ対策は「するかしないか」ではなく「いつ、どこまでやるか」のフェーズに入っています。
努力義務として求められること
義務化される措置に加えて、改正法は以下の努力義務も定めています。
- 事業主は、自社の従業員が取引先などでカスハラ加害をしないよう指導する
- 他社から「御社の従業員にカスハラを受けた」と協力要請があった場合、誠実に対応する
- 労働者自身も、カスハラ防止に協力する
- 顧客等も、カスハラ行為を自制する
見落としがちですが、自社が「被害者」になるだけでなく「加害者」になるリスクもあるということ。取引先への態度が横柄な社員がいないか、あらためて確認してみてください。
カスハラを放置するとどうなる?企業が負う3つのリスク
法的リスク——安全配慮義務違反と損害賠償責任
使用者には、労働契約法第5条に基づく「安全配慮義務」があります。従業員の生命・身体だけでなく、精神的な安全も確保する義務です。カスハラを放置すれば、この義務に違反したとして損害賠償責任を問われる可能性があります。
実際の裁判例を2つ紹介します。
対策を怠ったケース(甲府地裁 平成30年11月13日判決)では、保護者からの理不尽な謝罪要求に対して校長が教員に「とにかく謝れ」と指示。裁判所は「事実関係を冷静に判断することなく、安易にその場を収めようとした」と判断し、295万円の賠償を命じました。
(出典: 労働基準判例検索-全情報)
一方、対策を講じていたケース(NHKサービスセンター事件・東京高裁 令和4年11月22日判決)では、コールセンター運営会社がカスハラ対応ルールを策定・運用し、メンタルヘルスの電話相談やカウンセリング体制も整備していたことが評価され、安全配慮義務違反は否定されました。
(出典: 労働基準判例検索-全情報)
この2つの判例が示すメッセージは明確です。「対策していれば企業は守られる。していなければ責任を問われる。」
人材リスク——従業員のメンタルヘルス悪化と離職
厚生労働省の調査データは、カスハラが従業員に与えるダメージの深刻さを物語っています。
厚生労働省の調査データは、カスハラが従業員に与えるダメージの深刻さを物語っています。カスハラを何度も繰り返し経験した従業員のうち、57.5%が「仕事に対する意欲が減退した」、26.4%が「眠れなくなった」、9.2%が「会社を休むことが増えた」、9.2%が「通院したり服薬をした」と回答しています。
人手不足が深刻化するなか、カスハラを放置すれば「従業員のメンタル悪化→休職・離職→採用難→残った社員の負担増→さらなる離職」という負のスパイラルに陥りかねません。
ブランドリスク——企業イメージと採用への影響
ブランドセキュリティの現場にいた経験から、ここは特に強調したいところです。
カスハラ対策を怠って行政指導や企業名公表を受けると、その情報は検索結果に長期間残ります。一度ネガティブな情報が検索上位に定着すると、改善には膨大な時間とコストがかかります。私自身、ある企業の検索結果からネガティブ情報を押し下げるプロジェクトに携わった経験がありますが、完全にクリーンな状態に戻すのに1年以上かかったケースもありました。
逆に、カスハラ対策方針を積極的に公表する企業は増えています。2024年6月にはANAとJALがカスハラに対する共同方針を策定し、暴言・過剰要求など9分類のNG行為を明示しました。こうした姿勢は「従業員を大切にする企業」というポジティブなブランドイメージにつながり、採用市場でも優位に立てます。
参考: ANAグループとJALグループ 共同で「カスタマーハラスメントに対する方針」を策定
カスハラ対応マニュアルの作り方——6ステップで実務に落とし込む
法改正の内容を理解したところで、次は「具体的に何をすればいいか」です。ここからは、カスハラ対応マニュアルを作成するための6つのステップを紹介します。厚生労働省が公開している「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」も参考になりますので、あわせてご活用ください。
ステップ1:自社の基本方針を策定する
最初に取り組むべきは、経営トップによる方針の明確化です。「カスハラには毅然と対応し、従業員を守る」という姿勢を、経営層が自らの言葉で発信してください。
具体的には、次の3つを決めます。
- 自社におけるカスハラの定義(厚労省の定義をベースに、業種特性を反映させる)
- 就業規則やコンプライアンス規程への反映
- 方針の外部発信方法(コーポレートサイトへの掲載など)
すでにJALやタリーズコーヒーなど、方針を公式に発表している企業は増えています。タリーズコーヒーでは、従業員がネームプレートの本名をもとにSNSでつきまとわれる被害が発生したことを受け、ネームプレートの表記をイニシャルに変更。この対策の結果、つきまとい被害はほぼゼロになりました。
ステップ2:相談窓口と報告フローを整備する
従業員がカスハラ被害を受けたとき、すぐに相談できる体制を整えます。
新たに専門窓口を設置するのが理想ですが、既存のハラスメント相談窓口やヘルプラインを活用する形でも構いません。大切なのは「窓口がある」と全従業員に周知することと、相談のハードルを下げることです。
報告フローは段階的に設計します。
- 第1段階:現場の上長に報告
- 第2段階:エリアマネージャーや店舗統括部門に報告
- 第3段階:本社の人事部門・法務部門に報告
中小企業で専任の担当者を置くのが難しい場合は、外部のEAP(従業員支援プログラム)サービスや、弁護士・社労士への業務委託も現実的な選択肢です。
「相談したことを理由に不利益を受けない」という点も、必ずあわせて周知してください。
ステップ3:対応手順をマニュアル化する
方針と体制が決まったら、現場で使える対応マニュアルを作成します。
初期対応の基本フローは次の5ステップです。
- 部分謝罪(「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と事象に対して謝罪する)
- 傾聴(相手の話を遮らずに聞く)
- 事実確認(何が起きたのかを正確に把握する)
- 解決策の提案(自社として対応できる範囲を示す)
- 御礼(「ご指摘いただきありがとうございます」と伝える)
あわせて、正当なクレームとカスハラの判断フローチャートを作成しておくと、現場の判断が属人化しにくくなります。
「私ではこれ以上の判断ができかねますので、担当の者に代わります」「恐れ入りますが、別室でお話をうかがえますか」など、対応フレーズ集を用意しておくのも効果的です。
ステップ4:記録・証拠保全の仕組みをつくる
カスハラ対応では「記録」が命綱になります。
- テキスト記録
対応日時・相手の言動・こちらの対応内容・対応者名を記録するフォーマットを準備する - 通話録音
電話対応が多い業務では、「品質向上のため録音させていただきます」とアナウンスしたうえで録音する - 店舗での録画
防犯カメラの設置・運用ルールを整備する
記録の目的は3つ。「言った言わない」の紛争防止、法的措置が必要になった場合の証拠保全、そして再発防止のための分析資料としての活用です。
ステップ5:弁護士・警察・産業医との連携体制を構築する
社内の体制だけでは対応しきれない場面も出てきます。外部の専門家との連携体制を、事前に構築しておきましょう。
- 弁護士
マニュアル作成時のリーガルチェック、悪質事案の法的対応 - 警察
暴力・脅迫などの犯罪行為への通報体制(所轄警察署に事前相談しておくとスムーズ) - 産業医・カウンセラー
被害を受けた従業員のメンタルヘルスケア
中小企業の場合、顧問弁護士がいなくても、自治体の無料法律相談や商工会議所の相談窓口を活用する方法があります。
ステップ6:全従業員への教育・研修を実施する
マニュアルは作って終わりではありません。正社員だけでなくパート・アルバイトを含むすべての従業員が、カスハラの定義や対応フローを理解している状態を目指します。
特に効果が高いのは、ロールプレイング形式の研修です。実際のカスハラ場面を想定した練習を繰り返すことで、いざというときに体が動くようになります。
月1回程度の事例共有会を設け、社内で起きた事案やニュースになった事例を共有する仕組みもおすすめです。eラーニングを活用すれば、受講管理も効率化できます。
カスハラが起きたときの現場対応フロー
初期対応——「まず安全確保、次に事実確認」の原則
マニュアルを整備していても、実際にカスハラが発生すると現場は動揺します。だからこそ、対応の「型」を押さえておくことが重要です。
最優先は、従業員の身体的な安全確保。一人で対応させないことを徹底してください。相手が興奮している場合は「三変法」が有効です。人を変える(別のスタッフや上長に交代する)、場所を変える(別室に案内する)、時間を変える(後日改めてお話しする)。この3つのどれかを変えるだけで、相手が冷静さを取り戻すケースは少なくありません。
初動では「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と事象への部分謝罪にとどめ、全面的に非を認めるような謝罪は事実確認が終わるまで避けてください。
エスカレーション判断——いつ上長や専門部署に引き継ぐか
以下のいずれかに該当する場合は、現場で無理に対応を続けず、すみやかに上長や専門部署にエスカレーションしてください。
- 怒声・暴言が30分以上止まらない
- 身体的な暴力や物の破損がある
- 「ネットに書くぞ」「本社に電話するぞ」といった脅迫がある
- 不当な金銭要求や土下座の強要がある
- 同一人物による繰り返しの迷惑行為
合言葉は「迷ったらエスカレーション」。判断基準に迷うこと自体が、すでにエスカレーションすべきサインだと考えてください。
悪質なケースへの毅然とした対応——警察通報・出入り禁止の判断基準
暴行、脅迫、強要、威力業務妨害。これらは立派な犯罪行為です。「お客様だから」と躊躇する必要はありません。むしろ、従業員を守るために通報しなかったこと自体が、安全配慮義務違反と判断される可能性があります。
出入り禁止や取引停止の措置も、施設管理権や契約条件に基づいて法的に可能です。対応記録を必ず残し、社内で定めた判断基準に照らして手続きを踏むことが大切です。
被害を受けた従業員のケア——メンタルヘルスと再発防止
カスハラが収まった後のケアも欠かせません。
被害を受けた従業員には、まず「あなたは悪くない」「会社としてしっかり守る」というメッセージを明確に伝えてください。直後の声かけとフォローアップ面談の実施、産業医やカウンセラーへのつなぎ、必要に応じた配置転換や業務軽減の検討が求められます。
先ほど紹介した厚労省データのとおり、カスハラを繰り返し受けた従業員の約6割が意欲低下を訴えています。放置は厳禁です。
再発防止には、事案の記録・分析と定期的な事例共有会が有効です。マニュアルも年1回以上は見直し、最新の事例や法改正を反映させましょう。
カスハラのネット炎上リスクと企業ブランドを守るための監視体制
カスハラはSNSで「二次被害」を生む——ネット炎上との関係
カスハラ対策というと「社内の体制整備」に目が向きがちですが、SNS時代にはもう一つ、見落とせないリスクがあります。それが「ネット炎上」です。
典型的なパターンは2つ。1つは、顧客が「自分は正当なクレームをした」と主張してSNSに投稿し、一方的な情報だけが拡散されるケース。もう1つは、企業側のカスハラ対策が不十分で従業員の不適切な対応が撮影・拡散されるケースです。
どちらの場合も、一度ネガティブ情報が検索結果やSNS上に広がると、払拭するのは容易ではありません。
当社エルプランニングが実施した調査では、ネガティブな検索サジェストが表示された場合、半数以上の人が「その企業に対する第一印象が悪化する」と回答しています。つまり、カスハラに起因するネット上のネガティブ情報は、営業活動や採用活動にまで直接的な悪影響を及ぼすということです。
参考: 【46.8%が検討中断】検索候補のネガティブワードによる機会損失の実態が判明|500人意識調査

カスハラは現場だけの問題ではない。SNS炎上の2大パターンと、ツール+有人のハイブリッド監視体制で「種」の段階から早期対処を。
炎上を未然に防ぐ「ネット監視」のすすめ
炎上を完全に防ぐことは難しくても、「種」の段階で発見して早期に対処することは可能です。そのために有効なのが、ネット監視サービスの活用です。
ネット監視には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
- ツールによる自動監視
X(旧Twitter)、5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋、Googleマップの口コミ、ブログなどを自動で巡回し、キーワードに引っかかった投稿を検出する - 有人監視
ツールだけでは判断が難しい文脈やニュアンスを、人の目でチェックする
理想はこの2つの併用です。ツール単体では皮肉や婉曲表現を見逃すことがありますし、有人のみではカバー範囲に限界があります。エルプランニングでは、ツールと有人のハイブリッド方式でネット監視サービスを提供しており、炎上の「種」を早期に発見して企業に報告する体制を整えています。
「うちは中小企業だから、そこまでの対策は必要ないのでは」と思われるかもしれません。しかし、炎上は企業規模に関係なく起こります。外部の監視サービスを活用すれば、自社にリソースがなくても月額数万円から導入が可能です。
従業員のSNSリスクリテラシーを高める研修の重要性
もう一つ、見落とされがちなのが「従業員のSNS利用」に関するリスクです。
カスハラ対応中に感情的になり、従業員が「こんなひどいお客さんがいた」とSNSに投稿してしまうケース。顧客情報の漏洩や炎上の引き金になりかねません。
対策として、以下を整備しておくことをおすすめします。
- 「業務中の出来事をSNSに投稿しない」という基本ルールの周知
- 従業員個人のSNS利用に関するガイドラインの策定
- 具体的な炎上事例を使った研修の実施
カスハラ対策マニュアルとSNSガイドラインを連動させれば、「現場での対応」と「情報発信のリスク管理」の両面からブランドを守る体制が構築できます。当社エルプランニングが提供するSNSリスクリテラシー研修のように、15年以上の風評被害対策ノウハウに基づいたプログラムを活用するのも一つの手です。
よくある質問(FAQ)
Q: カスハラ対策の義務化はいつから始まりますか?
改正労働施策総合推進法の施行により、2026年10月1日からすべての企業に義務化されます。従業員を1人でも雇用していれば対象で、中小企業も例外ではありません。なお、東京都・北海道・群馬県では、すでに2025年4月から独自のカスハラ防止条例が施行されています。
Q: カスハラ対策を怠った場合、罰則はありますか?
直接的な罰金規定はありません。ただし、厚生労働大臣による報告徴収命令・助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されます。また、安全配慮義務違反として従業員から損害賠償を請求されるリスクもあります。
Q: 正当なクレームとカスハラはどう見分ければいいですか?
「要求内容に妥当性があるか」「要求の手段・態様が社会通念上相当か」の2点で判断します。商品不具合の指摘など要求内容が正当であっても、怒鳴る・脅す・長時間居座るなど手段が不当であれば、カスハラに該当します。判断に迷う場合は上長や相談窓口にエスカレーションするルールを定めておくのが有効です。
Q: 中小企業でも相談窓口の設置は必要ですか?
義務化の対象は企業規模を問わないため、中小企業でも必要です。ただし専任担当者を置く必要はなく、既存のハラスメント相談窓口や人事担当者が兼務する形で対応できます。外部のEAPサービスや弁護士・社労士への委託も現実的な選択肢です。
Q: カスハラに対して警察に通報してもよいのですか?
暴行、脅迫、強要、威力業務妨害など犯罪行為に該当するケースでは、警察への通報は正当な対応です。むしろ通報しないことが安全配慮義務違反と判断される可能性もあります。所轄警察署には事前に相談しておくとスムーズです。
Q: カスハラの加害者に対して出入り禁止や取引停止はできますか?
法的に可能です。企業は施設管理権に基づき出入り禁止措置を取れますし、取引先の場合は契約条件に基づき取引停止も検討できます。対応記録を残し、社内の判断基準に照らして適切な手順を踏んでください。
Q: 自社の従業員が取引先でカスハラをしてしまったらどうなりますか?
改正法では、自社従業員が他社でカスハラ加害をしないよう、事業主にも努力義務が課されています。取引先からの協力要請に応じて、加害従業員への指導や懲戒処分を行う体制を整えておく必要があります。「被害者にも加害者にもなりうる」という認識を全社で共有することが大切です。
まとめ
カスタマーハラスメント対策は、2026年10月の法施行を待つまでもなく、すでに企業が取り組むべき経営課題です。
カスハラは従業員のメンタルヘルスや離職に直結し、放置すれば安全配慮義務違反のリスクや企業ブランドの毀損にもつながります。さらにSNS時代では、カスハラの現場がネット上で拡散して炎上し、企業イメージに長期的なダメージを与えるリスクも無視できません。
法改正を「義務だからやる」ではなく、「従業員を守り、企業の信頼を高める機会」として前向きに捉えてほしい。ブランドセキュリティの現場で「予防に勝る対策はない」と実感してきた立場から断言できるのは、社内の体制整備とネット上の監視体制、この両輪があってこそ企業ブランドは守れるということです。
まずはこの記事で紹介した6ステップのうち、「ステップ1:基本方針の策定」から着手してみてください。特別な予算がなくても始められることばかりです。
エルプランニングでは、ネット監視サービスや風評被害対策、SNSリスクリテラシー研修など、企業のブランドを「守る」ための総合的な支援を行っています。カスハラ対策と合わせたネット炎上リスク対策についても、お気軽にご相談ください。
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