自社の会社名を検索したら、検索候補に「詐欺」の2文字。あの瞬間の動揺は、経験した方にしか分からないと思います。
こんにちは。株式会社エルプランニングのコンテンツマーケティングチームでチーフライターを務めています。以前所属していたブランドセキュリティ事業部では、4年間にわたり企業の検索結果対策を担当してきました。その経験から先にお伝えすると、「詐欺」の表示には消せるケースと消せないケースがあります。
この記事では両者の線引きと、削除申請が却下された後の現実的な打ち手、弁護士と対策会社の使い分けまでを解説します。
- まず「詐欺」が出る場所をサジェスト(検索候補)か検索結果かに分け、投稿・過去のトラブル・偽サイトなどの原因を確認します。
- 事実無根の非難やポリシー違反、偽サイト・なりすましは削除できる可能性がありますが、事実に基づく情報や適法な感想は消えにくい傾向があります。
- 削除が認められるとしても、反映には数日〜数週間、長ければ1〜3カ月程度かかるため、発生源となる投稿やサイトにも対処が必要です。
- 法的な削除請求は弁護士、削除が難しい場合のブランドSEOや継続監視は風評被害対策会社へ相談します。

会社名と「詐欺」が結びついたら、まず表示場所と原因を確認。削除の可否を見極め、発生源への対応と適切な相談先を選びましょう。
会社名を検索すると「詐欺」と出るのはなぜ?表示される場所と原因
対策を考える前に、まず「どこに・なぜ表示されているのか」を切り分けましょう。表示場所によって、打てる手がまったく違うからです。
サジェスト(検索候補)に「詐欺」と表示されるケース
Googleの予測入力候補(サジェスト)やYahoo!の関連検索ワードは、担当者が手作業で並べているわけではありません。Yahoo! JAPANのヘルプにも、検索されたキーワードの組み合わせを機械的に収集し、独自のアルゴリズムで自動表示していると明記されています。
「会社名 詐欺」がサジェストに出る主な原因は次の3つです。
- 実際に「会社名 詐欺」で検索する人が多い(検索行動の集積)
- 過去のトラブル・炎上・報道などがWeb上に残っている
- 悪意ある第三者が意図的に検索を繰り返している
こうした現象は一般に「サジェスト汚染」と呼ばれます。仕組みの詳細はサジェスト汚染とは?原因や削除・対策の方法を解説にまとめているので、ここでは割愛します。
検索結果ページに「詐欺」を含むページが表示されるケース
サジェストではなく、検索結果そのものに注意喚起サイトや口コミ、掲示板のスレッドが並ぶパターンもあります。
見落とされがちなのが、自社を騙る偽サイトの存在です。実在する企業の社名や会社概要を無断使用した偽ECサイト・フィッシングサイトが出回ると、被害者や不審に思った人が「会社名 詐欺」で検索し、自社には何の非もないのにネガティブな検索が急増します。警察庁もフィッシング対策のページで、実在の企業をかたる偽サイトへの注意を呼びかけています。
サジェストなのか、検索結果なのか、原因は自社側にあるのか第三者にあるのか。この切り分けが対策の第一歩です。
「詐欺」のサジェスト・検索結果を消せるケース
では、どんな場合に削除が認められる可能性があるのか。実務で見てきた「消せる側」の3類型を紹介します。
ポリシー違反に該当するサジェストは削除申請が認められる可能性がある
Googleは予測入力候補のポリシーで削除対象を公開しています。十分に確立された証拠や専門家が示す証拠がない場合に、重大な悪意のある行為を行うと疑われる個人または集団への非難と解釈し得る候補は認めていません。
「詐欺」という候補が事実無根の非難であれば、ポリシー違反として削除申請が通る余地があるわけです。Yahoo!側も、スパムや差別用語、犯罪助長用語のほか「当社が不適切と判断した内容」を非表示の対象としています。
Googleへの申し立てには、ポリシー違反としての報告と、名誉毀損など法的理由による削除リクエストの2系統があります。両者は窓口も審査基準も別物なので、混同しないよう注意してください。検索エンジン別の具体的な申請手順はサジェスト削除の方法で解説しています。
事実無根の投稿・記事は削除請求の対象になり得る
サジェストの発生源になっている投稿や記事そのものが事実無根の誹謗中傷なら、名誉毀損などを理由に削除請求の対象になり得ます。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、X(旧Twitter)やMetaをはじめとする大規模なプラットフォーム事業者には、削除の申出に対して原則7日以内に対応を判断し、その結果を通知する義務が課されました。制度の概要は総務省の解説ページで確認できます。
サジェストだけ消しても、発生源の投稿が残っていれば再発します。根本解決を目指すなら発生源への対処が本筋です。ただし名誉毀損が成立するかどうかの判断は法的な専門領域なので、最終判断は必ず弁護士に相談してください。投稿者の特定まで視野に入れる場合は発信者を特定する方法も参考になります。
自社を騙る偽サイト・なりすましはテイクダウン請求できる
偽サイトが原因のケースでは、商標権侵害やフィッシングとしてサイト削除(テイクダウン)の請求や、ホスティング事業者への通報が可能です。フィッシング対策協議会が報告窓口を設けているほか、被害の相談は最寄りの警察署やサイバー事案の相談窓口で受け付けています。
自社に一切非がないのに「詐欺」と結びついてしまう、ある意味いちばん理不尽なパターンですが、その分だけ打てる手も明確です。放置せず、証拠を保全した上で通報に動きましょう。
消せないケースと削除申請が却下される典型パターン
ここからが本題です。削除申請をしたのに却下された、という相談は本当に多く、私も現場で何度も向き合ってきました。
事実に基づく情報・公益性のある情報は削除が認められにくい
行政処分の履歴、実際に報道された事件、確定した判決。こうした事実に基づく公益性のある情報は、表現の自由や公共の利害との兼ね合いで、削除が認められにくいのが現実です。十分な根拠がある指摘は、少なくともGoogleのポリシーが定める「証拠のない非難」には該当しにくくなります。ただし、ほかのポリシーや法的基準による削除判断は別です。
もし実際にトラブルや処分歴があって「詐欺」と表示されているなら、消すことに力を注ぐより、事実と向き合った上で改善の姿勢を発信し、信頼を回復していくのが正道だと私は考えています。遠回りに見えて、これが一番確実です。
また、トラブルや処分歴等についての報道などがインターネット上に残っている場合、それらの個別の記事等を削除することができれば、サジェストの削除が認められる場合があるので、そのような対応を検討することもあり得ます。
違法性のない感想・レビュー・注意喚起は削除が認められにくい
「対応が悪かった」「正直、怪しいと感じた」といった個人の感想や評価は、法的な削除が認められにくい傾向があります。「評判」のように事実を含み得る言葉も同様です。消費者向けの注意喚起コンテンツも、公益性が認められる場合は削除が難しくなります。ただし、プライバシー侵害にあたる場合や、各サービスの削除基準に該当する場合など、個別事情によって削除される可能性はあります。迷ったら弁護士に確認するのが安全です。
削除申請が却下される典型パターンと却下後の考え方
実務でよく見る却下のパターンは次の4つです。
- 「印象が悪い」という主張だけで、ポリシー違反への該当を示せていない
- 名誉毀損にあたるという法的根拠の説明が不十分
- そもそも事実に基づく情報を消そうとしている
- 一度却下された内容を、そのまま再申請している
大事なのは、却下されたら終わりではなく、却下理由を切り分けることです。
| 却下理由 | 次の一手 |
| ポリシー違反に該当しなかった | 法的削除ルートを検討する |
| 法的根拠の説明が不足していた | 証拠を整えて弁護士に相談する |
| 事実に基づく情報だった | 削除以外の対策に切り替える |
同じ内容での単純な再申請はほぼ通りません。却下の理由が示されるわけではないので、どの理由で却下されたのかを見極めて、次の一手を選びましょう。

「詐欺」表示を消せない場合の現実的な対処法
「消せないなら諦めるしかないのか」と聞かれることがありますが、そうではありません。削除以外の打ち手を紹介します。
放置するリスク:検索したユーザーにどう見えているか
社名検索は、商談前・応募前・契約前の「最終確認」として使われます。当社エルプランニングが500人を対象に行った検索候補のネガティブワードに関する意識調査でも、検索候補のネガティブな表示が企業への印象を悪化させることが示されました。消せないまま放置すれば、表示された見込み客や求職者が継続的に目にし、企業への印象に影響する可能性があります。
正しい情報発信の強化と検索結果1ページ目を守るブランドSEO
現実的な対抗策は、公式サイトや採用サイト、プレスリリース、オウンドメディアからの正確な情報発信を強化し、検索結果の1ページ目を自社発の信頼できる情報で満たしていくことです。私たちはこれを「ブランドSEO」と呼んでいます。
ブランドセキュリティ部門にいた頃、ネガティブな情報が上位に並んでしまった中堅企業の案件を担当したことがあります。ポジティブなコンテンツを地道に整備して検索結果を改善できたとき、「消す」以外の道が確かにあると実感しました。ネガティブページの順位を相対的に下げる逆SEOという選択肢もあります。詳しくは逆SEO対策とはをご覧ください。
再発を早期に把握する継続的な監視
サジェストは検索行動の変化で再発することがあります。一度きれいになっても油断はできません。定期的に検索結果とサジェストをチェックする体制を作るか、難しければ専門会社のモニタリングサービスを使う方法もあります。対策と同じくらい、継続的な監視と早期対応が大切だというのが、現場を経験した私の実感です。
弁護士と対策会社、どちらに相談すべき?使い分けの基準
最後に、相談先の選び方です。ここを間違えると時間もお金も無駄になるので、丁寧に整理します。
弁護士に相談すべきケース
法的な削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求まで見据えるなら弁護士の領域です。法的な権利侵害を理由とする削除請求を、報酬目的で業として代理する行為は、原則として弁護士の領域です。弁護士資格のない業者による削除代行は、弁護士法違反となるおそれがあります。「必ず消します」「100%削除できます」と謳う業者からの営業には、慎重になってください。
費用をかけずに相談したい場合は、総務省委託事業の違法・有害情報相談センターや、法務省のインターネット人権相談受付窓口といった公的窓口も利用できます。
風評被害対策会社に相談すべきケース
一方、法的削除の対象にならないケースや、申請が却下された後の中長期対応は対策会社の領域です。ブランドSEOによる検索結果の健全化、ポジティブな情報発信の設計、サジェストや検索結果の継続監視、再発時の早期検知。「消す」のではなく「検索結果全体を良い状態に保つ」アプローチと言い換えてもいいと思います。
弁護士と対策会社は対立ではなく併用の関係
法的対応と検索結果対策の両方が必要な場合は、弁護士と対策会社の併用も選択肢になります。
| 状況 | 相談先の目安 |
| 事実無根の中傷が明確にある | まず弁護士へ |
| 削除申請が却下された・事実に基づく情報 | 対策会社へ |
| 偽サイト・なりすましが原因 | 警察やフィッシング対策協議会への通報と並行 |
法的対応が必要なものは弁護士に相談し、削除が難しいものや再発リスクは対策会社で中長期的に手当てする。どちらに相談すべきか判断がつかない段階なら、まず現状診断から始めるのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q: 削除申請が却下されました。再申請すれば消えますか?
同じ内容での再申請は、ほぼ認められません。却下の理由がポリシー非該当なのか、法的根拠の不足なのか、事実に基づく情報だからなのかを切り分けた上で、弁護士経由での請求か、ブランドSEOなど削除以外の対策への切り替えを検討してください。
Q: サジェストの削除にはどのくらいの期間がかかりますか?
申請をして回答までは数日程度で届くことが多いですが、申請が認められる場合でも、対応されるまで数日から数週間、状況によっては1〜3カ月程度かかることがあります。
Q: 「サジェストを消します」という営業電話は信用していいですか?
慎重に判断してください。法的な権利侵害を理由とする削除請求を、報酬目的で業として代理する行為は原則として弁護士の領域であり、削除を保証する表現を使う業者は危険信号です。サジェスト汚染の発生直後に営業をかけてくる業者には、自作自演を疑う指摘もあります。正当な対策会社は削除の保証ではなく、中長期の支援を提案するものです。
Q: GoogleとYahoo!で削除申請は別々に必要ですか?
別々に必要です。仕組みも審査基準も異なるため、片方で消えてももう片方に残ることがあります。それぞれの申請手順は検索エンジン別サジェスト削除の方法にまとめています。
Q: 「詐欺」表示を放置すると、実際どんな影響がありますか?
社名検索は取引や応募の直前に行われるため、見込み客の離脱、応募の辞退、取引の見直しに直結し得ます。弊社の500人調査でも、検索候補のネガティブワードが企業印象を悪化させる結果が出ています。影響が広がる前の早期対応をおすすめします。
まとめ
会社名の検索で「詐欺」と表示されたら、まず場所と原因の切り分けから。事実無根の非難やポリシー違反、なりすましが原因なら消せる可能性があります。事実に基づく情報や適法な感想は法的な削除が認められにくい傾向にありますが、個別事情によって削除される場合もあります。
それでもブランドSEOと情報発信の強化という現実的な打ち手が残されています。法的対応は弁護士、中長期の検索結果健全化は対策会社と、役割で使い分けてください。
自社のケースが消せるのか判断に迷ったら、エルプランニングのサジェスト対策・風評被害対策サービスの現状診断からご相談いただければ、弁護士との併用も含めて最適な進め方をご提案します。
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