風評被害対策

LLMO時代の風評対策|検索結果だけでは守れない企業ブランドの新しい備え

LLMO時代の風評対策|検索結果だけでは守れない企業ブランドの新しい備え

取引先や求職者が、企業名を検索する代わりにChatGPTやGeminiへ質問する場面が増えています。NTTドコモのモバイル社会研究所が2026年2月に全国の15〜69歳を対象に実施した調査によると、生成AIの利用率は51%と、1年前の27%からほぼ倍増して過半数に達しました。

AI回答は、学習済みの知識や、その場で検索したウェブ情報をもとに生成されます。利用する機能によっては、古い記事や口コミ、第三者の情報が回答に影響する場合があります。その回答に誤りや否定的な情報が含まれていても、企業側が気づいていないケースは珍しくありません。

最近よく耳にする「LLMO」とは、大規模言語モデルの回答で自社情報が適切に理解・参照される状態を整える取り組みのことです。ただし、この記事はAIに自社を褒めさせるテクニックの話ではありません。AI回答に悪評や誤情報が表示されたとき、何を確認し、どこから手を付けるべきか。確認方法、発見後の対応、平時の備えを順番に説明します。

従来の検索結果対策を捨てる話ではなく、監視対象をAI回答まで広げる話です。風評被害そのものの基礎知識は風評被害対策とは?原因・事例・対処法・予防策を徹底解説をご覧ください。

【この記事の結論】生成AI時代の風評対策で押さえる4つのポイント
  • 企業評判は検索結果や口コミ投稿だけでなく、生成AIが示す「回答文」と「引用元」まで監視対象に加えます。
  • 自社への影響が大きい質問を複数の生成AIで試し、「確認日・質問文・回答画面・引用元」をセットで保存します。
  • 問題を見つけたら「事実・古い情報・誤情報・根拠不明」の4種類に分け、回答文ではなく元情報から対応します。
  • 平時から公式情報を最新かつ一貫した状態に保ち、正確な一次情報を増やすことが最も有効な予防策です。

AI回答は質問の言い回しや確認時期で変わります。単発の確認で安心せず、記録を残して定期的に見直す運用まで決めておきましょう。

目次
  1. LLMO時代の風評対策とは?従来の検索結果対策との違い
  2. なぜAI回答で企業の風評リスクが生まれるのか
  3. まず確認したい、自社のAI回答チェック方法
  4. AI回答に悪評や誤情報が出たときの対応手順【5ステップ】
  5. AI検索時代に企業が平時から備えること
  6. LLMOとSEOは対立関係ではない|ブランドSEOがAI回答の土台になる
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ
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LLMO時代の風評対策とは?従来の検索結果対策との違い

LLMO時代の風評対策とは、検索結果・サジェスト・SNSに加えて、AIが生成する「回答文」を企業評判の新しい接点として監視し、問題があれば元の情報源から対応していく取り組みです。

企業の評判が「リンク一覧」から「回答文」でも判断されるようになった

従来、企業名を調べる人は検索結果のリンク一覧から複数のページを見比べて判断していました。いまは違います。生成AIが複数の情報を一つの回答文に要約し、利用者は元ページを開かないまま、その回答だけで企業への印象を決めてしまう場合があります。

Google検索の「AIによる概要(AI Overviews)」は2024年8月に日本で提供が始まり、対話型の「AIモード」も2025年9月から日本語で使えるようになりました。ChatGPTにも検索機能が組み込まれ、回答内に情報源へのリンクが表示される場合があります。

厄介なのは、回答の中身や引用元が、質問の言い回しや時期、サービスによって変わることです。ブランドセキュリティ事業部にいた頃は検索結果とSNSを見ていれば大きな異変は拾えましたが、いまは定点で追いにくい面がもう一つ増えた、というのが正直な現場感覚です。

従来の風評対策とAI回答対策の比較表

両者の違いを整理すると次のようになります。

比較項目従来の検索・SNS上の風評対策AI回答を含む風評対策
主な確認対象検索順位、サジェスト、投稿、口コミ回答文、引用元、参照文脈
表示の特徴同じ検索条件なら比較的再現しやすい質問やサービスによって回答が変わりやすい
問題の発見企業名や指定語句を監視想定質問を複数設定して確認
対応の起点投稿や検索結果を確認回答を記録し、元情報をたどる
基本方針削除、非表示化、正確な情報発信元情報への対応、公式情報整備、継続確認

従来の対策が不要になるわけではありません。確認する対象と、対応の起点が一段増えたと捉えてください。

なぜAI回答で企業の風評リスクが生まれるのか

AI回答の風評リスクは、大きく4つの構造から生まれます。要約による文脈の欠落、古い情報の再生産、名称の取り違え、そして発見の難しさです。

複数の情報が一つの文章に要約され、文脈が欠落する

個別ページでは限定的な指摘だったものが、要約の過程で企業全体の評価のように見えてしまう場合があります。元記事にあった前提条件や、その後の訂正・続報が省かれる可能性もあります。

古い情報が「現在の評判」として扱われる場合がある

すでに解決した問題や過去の不祥事が、いまも続いているかのような書きぶりで回答に含まれるケースがあります。これは「誤情報」とは別の問題です。出来事自体は事実でも、時間の経過という文脈が抜け落ちている。公式サイトに改善状況やその後の対応が載っていなければ、AIが参照できる情報は古いものに偏ってしまいます。

企業名やサービス名の取り違えが起こる場合がある

同名の企業や類似サービス、旧社名との混同も起こり得ます。所在地、代表者、事業内容といった基本情報が、別の会社のものと混ざって回答される例もあります。Google自身もAIによる概要のヘルプページで、AIの回答には間違いが含まれる場合があると注記しています。AIの回答を無条件に事実として受け入れないことが、対策の出発点です。

検索順位の監視だけでは、企業側が問題に気づけない

検索結果やサジェストをきれいに保っていても、AI回答の異変はそれだけでは拾えません。「検索結果は問題ないのに、AIに聞くと悪く言われる」というねじれが実際に起こり得ます。しかも、一つの質問では問題がなくても、採用、商品、安全性と切り口を変えると否定的な回答が出てくる場合があります。だからこそ、次に説明する能動的なチェックが必要です。

まず確認したい、自社のAI回答チェック方法

やみくもにAIへ質問を投げるのではなく、質問を決める、複数のAIで確認する、引用元まで記録する、問題を分類する、という順序で進めます。

経営に影響する質問を先に決める

まず、自社にとって影響の大きい質問を選びます(企業名は架空の例です)。

  • 「○○社は信頼できる会社ですか」
  • 「○○社に不祥事や炎上の事例はありますか」
  • 「○○社の評判と注意点を教えてください」
  • 「○○社は就職先として問題ありませんか」
  • 「○○サービスの悪い口コミやトラブルを教えてください」

すべてを網羅する必要はありません。売上、採用、取引先、金融機関、株主など、経営への影響が大きい領域から優先的に選んでください。

複数のAIサービスで同じ質問を確認する

同じ質問を、ChatGPT、Gemini、Google検索のAI機能(AIによる概要・AIモード)で確認します。必要に応じてMicrosoft CopilotやPerplexityも加えてください。AIの回答は同じ質問でも毎回同じとは限らないため、言い回しを変えて複数回試すのがコツです。各サービスの名称や機能は頻繁に変わるため、確認時点の正式名称をメモしておきましょう。

回答文だけでなく引用元まで記録する

確認した結果は、次の項目をセットで記録します。社内でそのまま使えるチェックリストとしてご活用ください。

  • 確認日
  • 利用したサービスと機能名
  • 入力した質問文
  • 回答の画面保存
  • 表示された引用元・リンク先
  • 問題箇所
  • 事実確認の結果
  • 担当部門と対応状況

後述するとおり、引用元が表示されている場合は、そこが対応の起点になります。引用元の記録を省かないでください。表示されない場合も、回答と質問文は必ず保存します。

問題を4種類に分類する(事実・古い情報・誤情報・根拠不明)

見つかった問題は、次の4種類に分類します。同じ「否定的な回答」でも、分類によって取るべき対応がまったく違うからです。

分類状態対応の起点
事実実際の出来事に基づく説明、改善、再発防止の公開
古い情報解決済みだが更新が反映されていない最新情報と経緯の明示
誤情報事実と異なる根拠の保存、元情報の訂正・削除検討
根拠不明引用元がない、または確認できない回答の記録、提供元への報告、継続確認

ここで一つ、正直に書きます。事実に基づく報道や正当な口コミまで「風評被害」と決めつけるのは間違いです。事実であれば、隠すのではなく改善と説明を優先する。ツールの自動検知だけで結論を出さず、引用元と文脈を人の目で確認することが、AI回答対策の土台になります。

AI回答に悪評や誤情報が出たときの対応手順【5ステップ】

問題を見つけたとき、回答文そのものを消そうとする発想では行き詰まります。記録、引用元の確認、事実の分類、元情報への対応、再確認の5ステップで、情報の上流から対処していきます。

手順1:回答と引用元を証拠として保存する

AIの回答は再生成や更新で変わるため、確認した日時と入力した質問文を含めて画面を保存します。法的対応を検討する可能性があるなら、自己判断で加工せず、表示されたままの状態を残してください。

手順2:引用元と情報の経路をたどる

回答に表示された引用元を開き、元記事、口コミ、掲示板、公式発表のどれに由来するのかを確認します。複数のページが同じ古い情報を参照し合っていないかも見てください。引用元が表示されない場合は、回答内の特徴的な表現や固有の語句をそのまま検索して、元になった可能性のあるページを探します。

AI回答の問題は、AIだけを見ても解決しません。引用元が表示されている場合は、まず元情報を確認します。引用元がない場合や、引用元に該当記述がない場合は、回答を保存したうえでサービス提供元へ報告します。

手順3:事実関係と現在の状況を整理する

引用元をたどったら、内容の真偽と現状を整理します。事実であれば、隠蔽や印象操作を優先しない。誤りであれば、どの部分が何を根拠に誤りなのかを文書化する。解決済みの件であれば、対応日、改善内容、再発防止策を整理する。この整理が、次の手順の説得力を左右します。

手順4:元情報への対応と公式情報の整備を進める

誤情報については、発信元への訂正・削除依頼を検討します。悪質な誹謗中傷であれば弁護士への相談も選択肢です。総務省の委託事業である違法・有害情報相談センターでは、削除依頼の方法を無料で相談できます。

並行して、公式サイトでの正確な情報と経緯、更新日の公開、会社概要や代表者情報など基本情報の統一を進めます。地味な作業ですが、AIが参照できる正しい情報を増やすことは、有力な基本策です。ただし、特定の情報が回答に採用される保証はないため、継続的な確認も必要です。

手順5:各サービスの報告機能を使い、変化を追い続ける

各AIサービスには、問題のある回答を報告する正式な窓口があります。OpenAIはChatGPTおよびOpenAIプラットフォームでのコンテンツ報告で、回答下の「良くない回答」から報告する方法や、利用規約・法令に違反する可能性がある場合の報告フォームを案内しています。

プライバシーポータルによる個人データ削除申請は、対象本人または法的代理人が、自分に関する個人情報について行う制度であり、企業情報一般の誤りを対象とするものではありません。Googleでは、AIによる概要の回答画面から問題を報告できるほか、Geminiアプリのフィードバック機能からも報告できます。

ただし、一度の報告で必ず修正されるとは限りません。また、ChatGPT上の回答が修正・削除されても、外部サイトや検索エンジン上の情報は別に残ります。だからこそ手順4の元情報への対応が欠かせませんし、同じ質問を定期的に再確認する継続性も必要です。

実際の運用では、広報・法務・経営の役割分担と初動期限も決めておくと、問題発見後の判断や対応がスムーズになります。

AI検索時代に企業が平時から備えること

問題が起きてからの対応には限界があります。平時の備えは、公式情報の一貫性、一次情報の蓄積、分断しない監視、社内フローの整備の4つです。

公式情報を最新かつ一貫した状態に保つ

会社概要、事業内容、代表者、所在地、沿革に不一致がないかを棚卸しします。過去に不祥事や事故があった場合は、初報だけで止めず、調査結果や改善状況まで公開しておくことが「古い情報」への何よりの予防策になります。各ページに更新日と責任主体を明示しておくことも忘れずに。

引用される価値のある一次情報・独自情報を増やす

調査データ、専門家による解説、実績の根拠、改善報告。こうした一次情報を増やすことが、AIに参照される情報の質を底上げします。Googleも公式ガイドで、独自の視点や専門的な見解を含むコンテンツの重要性を案内しています。生成AI向けの小手先の文章術ではなく、引用する価値のある情報を積み上げる。守りであると同時に、ブランドを育てる攻めの活動でもあります。

検索・SNS・AI回答を分断せずに監視する

SNSで発生した悪評が記事化され、検索結果に残り、AI回答に要約される。この流れを、担当部署ごとにバラバラに見るのではなく、一つの情報経路として管理してください。発生源への対応が遅れるほど、下流のAI回答に反映されるリスクは高まります。日常的な監視の方法は風評監視はなぜ必要?ネット・SNSを監視するメリットや方法を紹介で解説しています。

異常を見つけた後の社内フローを決めておく

異常を見つけてから「誰に報告するんだっけ」と迷うのが、初動でいちばんもったいない時間です。監視の担当者、事実確認の担当者、広報・法務・経営への報告条件、初動の期限、対外発表の承認者。ここまで決めて、はじめて備えと呼べます。

既存のレピュテーション指標にAI回答の確認項目を加える形で始めるのが現実的です。指標設計はレピュテーションリスクを社内KPIに組み込む方法をご参照ください。

LLMOとSEOは対立関係ではない|ブランドSEOがAI回答の土台になる

「これからはLLMOの時代だから、SEOはもう不要」という言説を見かけますが、実務の感覚からするとこれは誤解です。

Google公式も「AI検索対策の土台は従来のSEO」と案内している

Google検索セントラルのAI最適化ガイドによると、Google検索の生成AI機能は検索インデックスに基づいており、従来のSEOのベストプラクティスが引き続き有効とされています。クロールできるサイト構造、正確な内容、独自性、第三者からの信頼。積み上げるべきものは変わりません。

なお、Googleは構造化データを生成AI検索の必須要件とはしておらず、実装すれば必ず正しく認識されるという保証もありません。

検索結果1ページ目を守る「ブランドSEO」はAI時代の情報環境整備でもある

検索結果や公開情報は、AIが企業を理解する際の情報源になり得ます。つまり、検索結果の1ページ目に正確で信頼できる情報が並ぶ状態を作ることは、AI回答の上流にある情報環境を整えることでもあるのです。

入社3年目に担当したお客様は、企業名で検索するとネガティブな情報が上位に出てしまい、採用にも営業にも影響が出ていました。正確なコンテンツを地道に整備して検索結果を改善したのですが、当時学んだ「正しい情報を発信し続けることの価値」は、AI時代にむしろ重みを増していると感じます。検索結果上の対策は逆SEO対策とは?目的や方法、費用などについて詳しく解説をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q: ChatGPTに表示された自社の誤情報は削除できますか?

回答下の「良くない回答」からフィードバックできます。利用規約や法令に違反する可能性がある場合は、OpenAIのコンテンツ報告フォームも利用できます。プライバシーポータルによる個人データ削除申請は、対象本人または法的代理人が、自分に関する個人情報について行う制度であり、企業情報一般の誤りを対象とするものではありません。

Q: 元の記事や口コミを削除すれば、AIの回答もすぐに変わりますか?

すぐに変わるとは限りません。AIサービスごとに学習済みの知識とウェブ検索の使い方が異なり、反映のタイミングも一定ではないためです。削除して終わりにせず、同じ質問を定期的に再確認してください。

Q: AI回答の監視は社内の誰が担当すべきですか?

広報やリスク管理など、既存の風評監視を担う部署が兼ねるのが現実的です。大切なのは担当者個人に任せきりにしないこと。事実確認の担当、経営への報告条件、初動期限をあらかじめ決めておきましょう。

Q: AIの回答に自社がまったく出てこないのも問題ですか?

悪評が出るのとは別に、認知の機会損失という課題はあります。ただ対策の方向は共通で、公式情報の整備と一次情報の蓄積が「正しく認知される」ことにもつながります。

Q: LLMOとSEOはどちらを優先すべきですか?

二者択一ではありません。Google公式もAI検索の土台は従来の検索システムだと案内しており、SEOの取り組みはAI回答の情報源整備を兼ねます。既存のSEOを続けながら、確認対象にAI回答を加えるのが現実的です。

まとめ

企業評判の確認先は、検索結果やSNSだけでは足りない時代になりました。AI回答を新しい接点として監視対象に加え、問題があれば回答文ではなく引用元までたどる。事実なら改善と説明を、誤情報なら証拠保存と元情報への対応を進める。そして検索、SNS、公式情報、AI回答を一つの経路として管理する。検索結果を守る取り組みは終わりません。

そこにAI回答の監視と、引用元までたどる対応を加える。それがこの記事の結論です。

信頼は、失ってから取り戻すよりも、日頃から守るほうがずっと簡単です。自社のAI回答の状況が気になる方、検索結果対策とあわせて相談したい方は、エルプランニングの風評被害対策サービスまでお気軽にご相談ください。

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監修者
清水陽平弁護士