炎上対策

Threads(スレッズ)の炎上対策|企業が知るべき特性と削除依頼

Threads(スレッズ)の炎上対策|企業が知るべき特性と削除依頼

Xの炎上対策は整えたけれど、Threads(スレッズ)はまだ監視の対象に入れていない。そんな企業の担当者に向けて書きました。Metaは2026年6月、Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を突破したと発表しました。日本の利用時間の成長率も、前年比130%を超えたとしています。

エルプランニングでチーフライターをしています。入社から4年間はブランドセキュリティ事業部で、企業の検索結果やSNSの監視を担当していました。「Threadsは危ないから使わない」ではなく、守りを先に整えてから使う。この記事はその考えで書いています。

なお、この記事でいう削除依頼は、自分のアカウントの削除ではなく、他人が書いた自社についての投稿の削除をMetaに求めることです。

【この記事の結論】Threadsの炎上対策の5つのポイント
  • [おすすめ]はフォロー外の人にも投稿を表示するうえ、InstagramやFacebookともつながっているので、騒ぎがThreadsの中で終わるとは限りません。
  • 反発が予想される投稿は、投稿前に[返信と引用ができる人]と[返信を確認して承認]を設定しておきます。
  • 自社で運用していなくても、報告に使うプロフィールと、人の目による確認を用意しておくと慌てずに済みます。
  • 削除依頼の出し先は、アプリ内の報告、情報流通プラットフォーム対処法に基づく日本向け窓口の2つです。
  • 元の投稿を消しても返信やスクショは残るので、社名検索とサジェストまで確認して収束を判断します。

自社が運用していなくても、社員や顧客は投稿できます。確認と報告に使うプロフィールを用意し、検索だけに頼らず人の目でも確認します。

目次
  1. Threadsで企業が炎上しやすい3つの特性
  2. Threadsの企業アカウントでできる炎上予防の設定
  3. Threadsを運用していない企業にも必要な監視と備え
  4. Threadsの削除依頼は3つのルート|報告・Metaのフォーム・法律に基づく窓口
  5. 削除しても残るものに備える|返信・スクショ・検索結果
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ

Threadsで企業が炎上しやすい3つの特性

Xで対策をしている企業でも、Threadsには別の燃え方があります。XについてはX(旧:Twitter)の評判を監視する方法をご覧ください。

返信が集まる投稿ほど「おすすめ」でフォロー外に届く

Threadsの[おすすめ]は、フォローしているプロフィールの投稿と、おすすめのアカウントの投稿が混ざったフィードです。

Metaの透明性センターによると、[おすすめ]の並び順は、利用者が投稿に返信する可能性や、直近1時間の返信や「いいね!」の動きなどをもとに決まります。反応が集まっている投稿ほど、フォロー外の人の画面にも上がってきやすい仕組みと読めます。

Impress Watchの報道では、Threadsのインプレッションに占める返信の割合はグローバルで50%を超え、日本ではこの傾向がより強いとMetaが説明しています。批判の返信が集まった投稿は、投稿も返信も多くの人の目に触れうると考えてください。「フォロワーが少ないから大丈夫」は通用しにくい場所です。

「身内だけ」の感覚で本音が書かれやすい

Metaは、日本のThreadsがInstagramの延長のような使われ方から、思ったことを文字で投稿し、返信を通じて会話が生まれる使われ方に移っているとみています(Impress Watchの報道より)。2026年9月24日にGoogleで「スレッズ 愚痴」と入力すると「愚痴ばかり なぜ」、「スレッズ 治安」では「なぜ治安悪い」という検索候補が出ました。愚痴や本音の投稿が目につくと感じる人もいるようです。

企業のリスクは2つあります。店舗スタッフや社員が、店名や本名が分かる状態でお客さまや職場の愚痴を書くこと。そして、お客さまの不満の投稿が[おすすめ]に乗って広がることです。社員の愚痴は、社名で調べた応募者の目にも入ります。社員のSNS利用のルールは従業員のSNS利用、会社はどこまで管理すべきか?で詳しく書いています。

InstagramやFacebookとつながっている

Threadsのプロフィールは、InstagramまたはFacebookのアカウントでログインして作ります。このつながりが、炎上のときには次のような経路になります。

  • 社員がほかのSNSと同じ名前やアイコンで投稿していると、身元や勤務先がたどられやすい
  • 自社アカウントがThreadsで批判されると、Instagram公式アカウントのコメント欄にも批判が向かうことがある
  • 公開投稿は、FacebookやInstagramでおすすめとして表示されることがある(本人はオフにできますが、ほかの人によるシェアは止められません)

3つの特性を表にまとめます。

特性炎上との関係企業が気をつけること
返信が集まる投稿がフォロー外にも届く批判が集まるほど表示が広がりうるフォロワーの少なさで安心しない
本音が書かれやすい社員の愚痴やお客さまの不満が出やすい社員のSNSルールと自社名の確認
InstagramやFacebookとつながっている身元の特定、ほかのSNSへの飛び火Instagramの担当者とも共有する

Threadsの企業アカウントでできる炎上予防の設定

ここからは自社でThreadsを運用している企業向けです。どのSNSにも共通する運用ルールはSNSの炎上パターンと具体的な対策案にまとめているので、ここではThreadsの設定に絞ります。

投稿ごとに「返信と引用ができる人」と「返信の承認」を決める

Threadsでは、返信や引用ができる人を投稿ごとに選べます。[返信を確認して承認]をオンにすれば、返信はこちらが承認するまでほかの人に表示されません。

使いどころは、値上げのお知らせやキャンペーンの告知など、反発が予想される投稿です。あとから制限しても、すでに付いた返信や引用は消えないので、投稿前に決めておきます。

とはいえ、何でも制限すると「批判を封じた」と受け取られることもあります。ふだんは開けておき、反発が予想される投稿だけ絞る。私はこの使い分けがいいと思っています。

非表示ワードとフェディバース共有の設定を見直す

[非表示ワード]の「返信に含まれる一般的で不快な言葉を非表示にする」はデフォルトでオンで、該当する返信はスレッドの下部のぼかしの入った場所に移ります。個別の返信は[全員に対して非表示にする]で、自分と返信した本人にしか見えなくなります。

フェディバースでのシェアも見直してください。投稿を外部のサーバーにも共有する機能で、本人がオンにしたときだけ有効になります。公式ヘルプ「Threadsとフェディバースについて」によると、投稿を削除しても、ほかのサーバーでは表示されたまま残る可能性があります。

設定できること使う場面
[返信と引用ができる人]返信や引用ができる人を投稿ごとに絞る反発が予想される投稿
[返信を確認して承認]承認した返信だけをほかの人に表示する値上げのお知らせ、キャンペーン告知
[非表示ワード]指定した言葉を含む返信を目立たない場所に移す荒れやすい話題を扱う期間
[@メンションを許可する人]メンションできる相手を絞る炎上に巻き込まれたくないとき
フェディバースでのシェア外部のサーバーへの共有をオン・オフする削除後も外部に残りうるので慎重に

Threadsを運用していない企業にも必要な監視と備え

使っていなくても、自社は話題にされている

自社が運用していなくても、お客さまや社員、元社員は自社について投稿できます。公式アカウントがなければ、なりすましが本物だと誤解されやすくもなります。

ただ、アプリ内の報告は、公式ヘルプで「Threadsのプロフィールをお使いの場合」にできる機能とされています。そこで、運用はしなくても確認と報告のためのプロフィールだけは用意しておく「守りのアカウント」をおすすめします。社名のプロフィールを押さえ、自社サイトからリンクしておけば、なりすましと見分けてもらう手がかりにもなります。

キーワード検索だけに頼らず、人の目でも確認する

Threadsにはキーワード検索がありますが、公式ヘルプには「一部の言語では、完全に正確なキーワード検索ができない場合があります」と書かれています。日本語が当てはまるかは書かれていないものの、検索だけで全部拾えると考えないほうが安全です。

火種になる投稿は、社名そのままで書かれるとは限りません。

  • 店舗の略称や、社名の伏せ字
  • 商品の愛称
  • スクリーンショット画像の中の文字

エルプランニングのネット監視がツールと人の目の二重チェックにしているのも、ツールだけでは文脈やニュアンスまで判断しにくいからです。自社の監視ツールや委託先がThreadsを対象にしているかも確かめておきましょう。監視の考え方は企業の炎上対策監視とSNS監視をする必要性は?で解説しています。

Threadsの削除依頼は3つのルート|報告・Metaのフォーム・法律に基づく窓口

申し出る前に、投稿のURL、スクリーンショット、見つけた日時を残しておきます。削除依頼の一般的な流れや相談先はネット誹謗中傷の削除依頼の必要性は?にまとめています。Threadsの場合、出し先は次の3つです。

ルート判断の基準企業が使う場面注意点
アプリ内の報告コミュニティ規定に違反しているか最初に。嫌がらせ、詐欺、虚偽の情報などThreadsのプロフィールが必要
Metaの専用フォーム名誉毀損、プライバシー、商標など権利の種類ごと会社の名誉や権利が侵害されたとき報告しても表示が制限されるとは限らない
情報流通プラットフォーム対処法に基づく日本向け窓口権利侵害にあたるか名誉権の侵害や業務妨害にあたる投稿原則7日以内に削除の有無と理由が通知される

まずはアプリ内の「報告」(通報)

最初に試すのは、アプリ内の報告です。投稿やプロフィールの[オプション]から[報告]を選び、画面の指示に従います。理由は、いじめや嫌がらせ、詐欺や不正行為、虚偽の情報、知的財産権の侵害など、12の区分から選びます。

判断の基準はMetaのコミュニティ規定に違反しているかどうかなので、「事実と違う」「不快だ」だけでは削除されないこともあります。報告したあとは、ステータスの確認や、判断への異議申し立てもできます。詳しくは公式ヘルプ「Threadsのコンテンツを報告する」をご覧ください。

情報流通プラットフォーム対処法に基づく日本向けの窓口

2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法に基づき、総務省は同年4月30日、Meta Platforms, Inc.を大規模特定電気通信役務提供者に指定しました。対象のサービスには、FacebookとInstagramに加えてThreadsも入っています(一覧は総務省の情報流通プラットフォーム対処法のページから確認できます)。

指定された事業者は、権利侵害の申出を受けたら調査し、原則として申出から7日以内に、削除したかどうかと、しない場合はその理由を申出者に知らせなければなりません。ただし、投稿者に意見を聴く場合などは、7日以内にはその旨を知らせ、判断したあとで遅滞なく結果を知らせる流れになります。7日で必ず結論が出るわけではありません。

Metaの日本向け窓口「日本での違法なコンテンツを報告」では、名誉権、名誉感情、肖像権、私生活の平穏、業務妨害、商標、著作権などから権利の種類を選んで申し出ます。企業に関係が深いのは、名誉権と業務妨害です。
各フォームには「企業・組織の代理で報告している」という趣旨の区分があり、会社からの報告の場合はこれを選択した上で、投稿のURL、違法だと考える理由などを入力します。

注意点は2つです。Metaは報告しても、対象のコンテンツへのアクセスが制限されることを約束しているわけではないことと、商標や著作権の報告では、通常、権利者の名前や報告者のメールアドレスが投稿者に伝わることです。

削除しても残るものに備える|返信・スクショ・検索結果

元の投稿を消しても、返信やスクリーンショットは残る

Threadsの公式ヘルプで確認できるのは、次の3点です。

  • ほかの利用者からの返信がある元の投稿を削除しても、その返信は削除されない
  • 投稿を見られる人は誰でも、スクリーンショットを撮ってシェアできる
  • フェディバースに共有していた投稿は、削除してもほかのサーバーで表示されたまま残る可能性がある

再投稿や引用が、元の投稿を削除したあとにどう表示されるかは、私が確認した公式ヘルプの範囲では明記が見当たりませんでした。スクリーンショットやXへの転載はもう手元を離れている、という前提で動くのが現実的です。Threadsで話題になった投稿が、スクリーンショットの形でXに転載されて広がる流れもあります。

社名検索とサジェストまで見て収束を判断する

ブランドセキュリティ事業部にいたころ、いつも気にしていたのは「騒ぎが落ち着いたあと、検索結果に何が残るか」でした。

公式ヘルプは、検索エンジンに表示されるのはプロフィール情報だけだと説明しています。ところが2026年9月にGoogleで検索すると、Threadsの個別の投稿が本文の一部とともに表示されるケースがありました。「Threadsの投稿は検索に出ない」と決めつけないほうが安全です。

収束の判断は、ThreadsやXでの投稿の増減だけでなく、社名で検索したときの1ページ目と、検索候補(サジェスト)に炎上関連の言葉が残っていないかまで見て行います。削除できない情報が1ページ目に残ったら、正しい情報を発信して1ページ目を整える「ブランドSEO」という考え方があります。詳しくは逆SEO対策とは?目的や方法、費用などについて詳しく解説をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q: Threadsで投稿を報告(通報)すると、相手に誰が報告したか分かりますか?

知的財産権侵害の報告を除き、報告は匿名で行われ、報告された側からは誰が報告したか分かりません。商標や著作権の報告では、通常、権利者の名前や報告者のメールアドレスが投稿者に伝わります。

Q: 報告したのに投稿が削除されません。次は何ができますか?

アプリ内で、判断に異議を申し立てられます。会社の名誉を傷つける投稿なら、Metaの日本向け窓口から情報流通プラットフォーム対処法に基づいて申し出る方法もあります。それでも削除されなければ、弁護士に相談します。

Q: 炎上した自社の投稿を削除すれば、再投稿や引用も消えますか?

私が確認した公式ヘルプの範囲で明記されているのは、元の投稿を消してもほかの人の返信は残ることで、再投稿や引用の扱いは見当たりませんでした。説明なしに消すと「隠した」と受け取られることもあるので、お詫びや説明が必要かは炎上対応ガイドも参考に判断してください。

Q: 自社になりすましたThreadsアカウントを見つけたらどうすればいいですか?

アプリ内で、そのプロフィールを「なりすまし」の理由で報告できます。社名やロゴを無断で使われているなら、商標の報告(権利者または代理人のみ)も選択肢です。公式サイトで「公式アカウントはこちら」と案内しておくと、お客さまの被害を防ぎやすくなります。

Q: Threadsの投稿者を特定する(発信者情報開示)ことはできますか?

発信者情報開示の手続きで求めます。総務省の指定では、Threadsの提供者はMeta Platforms, Inc.です。特定の考え方はネットで誹謗中傷した相手を特定する方法でも触れていますが、実際の手続きや見通しは事案によって違うので、弁護士に相談して進めてください。

まとめ

Threadsでは、返信が集まる投稿ほどフォロー外に届き、InstagramやGoogle検索にまで話が広がることがあります。投稿前の設定と、報告に使うプロフィールや人の目での確認で備え、削除依頼は2つのルートを使い分ける。消せたあとも、社名検索とサジェストまで見て収束を判断してください。

Threadsは企業にとっても魅力のある発信の場です。守りを先に整えてから、安心して使ってほしいと思います。

監視の体制づくりや、検索結果に残った風評への対策は、エルプランニングのネット監視サービスや風評被害対策にご相談ください。投稿の削除依頼そのものは、自社で申し出るか、弁護士にご相談ください。社員のSNS投稿のリスク対策には、SNSリスクリテラシー研修もご用意しています。

監修者
清水陽平弁護士

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