誹謗中傷対策

辞めた社員からの逆恨み…元従業員のネット嫌がらせから会社を守る方法

辞めた社員からの逆恨み…元従業員のネット嫌がらせから会社を守る方法

「辞めた社員がネットに会社の悪口を書いている」そんな報告を受けて、胸がざわついた経験はありませんか。

数多くの案件を担当する中で痛感したのは、元従業員の書き込みは「内情を知る人間の発信」というリアリティがあるため、たとえ事実と異なる内容でも拡散されやすく、企業に深刻なダメージを与えるということです。

この記事では、嫌がらせの発見から証拠保全、削除請求、法的措置、そして予防策まで、会社を守るための具体的なステップを解説します。

【この記事の結論】
元従業員のネット嫌がらせから会社を守る3つの鉄則

  1. 初動対応は「証拠保全」が最優先
    発見後すぐに、「URL」「投稿日時」「全文」「アカウント名」がわかるスクリーンショットを保存してください。感情的な反論は絶対にNGです。
  2. 削除依頼と法的措置の使い分け
    サイトへの任意の削除依頼(口コミサイトは削除率0.2%と極めて低い)だけでなく、裁判所を通じた「仮処分申立て」や、特定に向けた「発信者情報開示請求」(2022年法改正で一本化・迅速化)を検討してください。
  3. 「ブランドSEO」と予防策で根本解決
    削除が難しい場合は、ポジティブな情報を発信してネガティブ情報を押し下げる「ブランドSEO」が有効です。同時に、就業規則の整備や退職時の「秘密保持誓約書(NDA)」締結など、平時からの予防策を徹底しましょう。

証拠保全から法的措置まで、対応の全体像を一枚で把握。弁護士費用の目安も確認して、早期に専門家へ相談しましょう。

目次
  1. 元従業員によるネット嫌がらせの実態と企業が受けるダメージ
  2. 嫌がらせを発見したらすぐやるべき初動対応3ステップ
  3. ネット上の誹謗中傷を削除する具体的な方法と手順
  4. 匿名の書き込み犯人を特定して法的措置を取るには
  5. 検索結果を守る「ブランドSEO」の考え方と実践
  6. 元従業員のネット嫌がらせを未然に防ぐ7つの予防策
  7. 専門家に相談すべきケースと依頼先の選び方・費用相場
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
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元従業員によるネット嫌がらせの実態と企業が受けるダメージ

「まさか自社が…」と思われるかもしれませんが、こうした問題は企業規模を問わず起きています。

元従業員の嫌がらせでよくある手口とは

元従業員の投稿には「在籍していた人間にしか書けないリアルさ」があります。具体的な部署名や上司の特徴、社内の雰囲気など、外部の人間では知り得ない情報が含まれるため、読む人に「本当のことだろう」と感じさせやすいのが特徴です。

よくある嫌がらせのパターンは以下のとおりです。

  • 転職口コミサイト(転職会議・OpenWork・エン カイシャの評判・キャリコネなど)への虚偽の悪評投稿
  • SNS(X・Instagram・Facebook)での会社の内部情報暴露や悪口の拡散
  • 匿名掲示板(5ch・爆サイなど)への中傷書き込み
  • Googleマップ・Googleビジネスプロフィールへの低評価レビュー
  • 取引先や顧客への直接的な誹謗中傷(メール・DMなど)

転職口コミサイトは求職者が日常的にチェックしているため影響範囲が広く、SNSはリアルタイムに拡散されるリスクがあります。Googleビジネスプロフィールの低評価レビューは、企業名検索時に目立つ位置に表示されるため、取引先や顧客の目に触れやすい厄介さがあります。

採用・営業・社内モラルに及ぶ深刻な影響

企業が受けるダメージは、想像以上に多方面にわたります。

まず採用への影響。2024年の調査では、求職者の52.21%が口コミサイトで企業情報を調べており、悪い評判を気にする人は63.22%に上ります(中途採用における採用サイト利用実態調査2024年度版・株式会社ベイジ)。ネガティブな口コミは応募者数の減少や内定辞退に直結します。

次に営業・売上への影響。Google検索で企業名に「ブラック」「パワハラ」などのサジェストが表示されると、取引先や顧客の信頼が揺らぎます。商談の場で「御社のことをネットで調べたのですが…」と切り出されるケースも珍しくありません。

見落としがちなのが社内への影響です。在籍社員が書き込みを目にすることで士気が低下し、最悪の場合、連鎖的な退職を招くリスクもあります。

ネガティブ情報は放置するほど検索結果に定着し、影響が拡大します。早い段階で対処することが被害を最小限に抑えるカギです。

嫌がらせを発見したらすぐやるべき初動対応3ステップ

嫌がらせを発見したとき、大切なのは冷静に、しかし迅速に動くことです。

ステップ1:スクリーンショットとURLで証拠を保全する

最初にやるべきは証拠の保全です。ネット上の投稿は、投稿者自身が削除したりサイト側の判断で非表示になる可能性があるため、発見後すぐの保存が鉄則です。

保存すべき情報は、

  • ページのURL
  • 投稿日時
  • 投稿内容の全文
  • 投稿者のアカウント名
  • 前後の文脈がわかる範囲のやり取り

です。スクリーンショットはブラウザのアドレスバーと日時が表示された状態で撮りましょう。「ウェブ魚拓」などの魚拓サービスも併用すると、後から「改ざんした」と主張される事態を防げます。

私がブランドセキュリティ部門にいた頃は、スクリーンショット・魚拓・ページのソースコードの3点セットで保存するのが基本でした。少し手間ですが、後の法的対応を見据えるとこの丁寧さが大きな差を生みます。

ステップ2:投稿内容を「事実」と「意見」に仕分ける

証拠を保全したら、投稿内容が「事実の摘示(てきし)」なのか「意見・論評」なのかを区別します。

「事実の摘示」とは、「残業代を払っていない」「社長がセクハラをしている」のように真偽を確認できる具体的な事柄を述べること。「意見・論評」は「雰囲気が合わなかった」「指導が厳しいと感じた」のように個人の感想にあたるものです。どちらであっても、民事上は名誉毀損(めいよきそん)になり得ますが、意見・論評の場合は法的対応が難しくなるケースが多いです。

注意したいのが公益通報(内部告発)に該当するケースです。パワハラや違法な長時間労働などの指摘が事実であれば、公益通報者保護法で投稿者が保護される可能性があります。安易に削除請求や法的措置に走ると企業イメージを損なうリスクがあるため、まずは事実確認を優先しましょう。

そして感情的な反論は絶対にNGです。ネット上で感情的に応酬すると、炎上を招いて被害が何倍にも膨れ上がります。

ステップ3:社内の対応チームを編成し報告ラインを決める

嫌がらせへの対応は一人で抱え込まず、経営層・法務・人事・広報が連携して対処する必要があります。

経営層に状況を報告し、「対策チーム」を編成しましょう。社内への情報共有の範囲も重要です。全社員への周知はパニックを招く可能性がある一方、関係者だけに留めると対応が遅れることも。状況に応じた見極めが必要です。

合わせて、弁護士や風評被害対策の専門会社への相談準備も進めましょう。証拠保全の結果や投稿内容の分析を整理しておくと、相談がスムーズに進みます。実務上、この「社内体制の構築」が初動の成否を分ける重要なポイントです。

ネット嫌がらせは発見後の初動が勝負。証拠保全・内容分析・チーム編成の3ステップを迷わず実行し、感情的な反論は厳禁です。

ネット上の誹謗中傷を削除する具体的な方法と手順

削除の方法は大きく「サイト運営者への任意の削除依頼」と「裁判所を通じた法的手続き」の2つに分かれます。

サイト運営者への削除依頼(任意削除)の進め方

各サイトの運営者に対して、ガイドライン違反を理由に削除を依頼する方法です。転職会議・OpenWorkにはそれぞれ削除申請フォームがあります。申請の際は企業ドメインのメールアドレスを使用し、どの投稿がどうガイドラインに違反しているか(個人攻撃、虚偽情報、誹謗中傷など)を具体的に指摘することがポイントです。

ただし、転職口コミサイトは「求職者への有益な情報提供」が目的のため、企業にとって不都合でも事実に基づく投稿は削除されないのが基本方針です。転職会議で裁判手続きを経ずに削除に応じるケースはわずか0.2%程度とされています。任意の削除依頼だけでは解決しない可能性が高いことは、事前に認識しておきましょう。

裁判所への仮処分申立てによる削除の方法

任意の削除依頼が通らない場合、裁判所に「削除仮処分」を申し立てる方法があります。仮処分とは、本案判決を待つと被害が拡大する場合に裁判所が暫定的に命令を出す手続きです。

名誉毀損に該当することを示すため、社員アンケートやタイムカード、賃金台帳など、書き込みが事実と異なることを裏付ける証拠が必要です。所要期間は概ね1~3ヶ月、弁護士への依頼が事実上必須で、費用は着手金約20万円・報酬金約15万円が目安です。

SNS・Googleマップ・匿名掲示板ごとの削除対応の違い

プラットフォームごとに対応方法が異なるため、主要なものを表で整理します。

プラットフォーム削除依頼の方法対応の特徴
X(旧Twitter)投稿の「報告」機能から通報。名誉毀損等は専用フォームも利用可明確なルール違反は比較的迅速に対応される傾向
Googleビジネスプロフィール口コミ横の「旗マーク」からポリシー違反を報告虚偽・スパムは削除対象だが「悪い評価」だけでは不可。審査に数週間
5ch(旧2ちゃんねる)削除要請板や削除依頼用のメールから依頼、または弁護士を通じた法的請求海外サーバーのケースもあり対応が複雑になることも
転職口コミサイト各サイトの削除申請フォームから依頼事実に基づく投稿は削除されにくい。任意削除率は極めて低い

いずれも「企業に都合が悪い」だけでは削除理由になりません。適切な根拠を示して申請することが重要です。

匿名の書き込み犯人を特定して法的措置を取るには

匿名の書き込みでも、法的手続きを通じて投稿者を特定する方法があります。

発信者情報開示請求の流れと2025年施行の新制度

匿名の投稿者を特定する法的手続きが「発信者情報開示請求」です。

従来は、サイト運営者(コンテンツプロバイダ)へのIPアドレス開示の仮処分と、接続事業者(アクセスプロバイダ)への個人情報開示の訴訟という2段階の手続きが必要で、1年以上かかることもありました。

2022年10月施行の改正プロバイダ責任制限法(現・情報流通プラットフォーム対処法)で「発信者情報開示命令」が創設され、2段階の手続きが一本化されました。印紙代も1つの申立てあたり1,000円に引き下げられています。

さらに2025年4月には法律名称が「情報流通プラットフォーム対処法」に改められ、大規模プラットフォーム事業者(月間利用者1,000万人超)に削除対応の迅速化や運用の透明化が義務付けられました(総務省公式ページ)。X、Instagram、YouTube、TikTok、LINEなどが対象に指定されています。ただし、対応の実態は施行前後で大きく変わったという実態はなく、今後の対応の変化に期待する必要があります。

なお、プロバイダのログ保存期間は通常3~6ヶ月です。この期間を過ぎると記録が消え、投稿者の特定が困難になります。発見したらできるだけ早く弁護士に相談しましょう。

損害賠償請求の進め方と慰謝料・費用の相場

投稿者が特定できたら、民法709条の不法行為に基づいて損害賠償を請求できます。

企業が被害者の場合、判例上の無形損害(慰謝料相当額)は50万~100万円程度が一般的です。元従業員の口コミ投稿に対して36万円の賠償命令にとどまったケースがある一方、元役員による情報漏洩や大規模な名誉毀損では数千万円から数億円規模の賠償が命じられた例もあり、被害の規模や悪質性で金額は大きく異なります。

発信者情報開示から損害賠償請求までの弁護士費用は、トータルで100万円以上が一般的です。慰謝料の相場を考えると「費用倒れ」のリスクがある点は正直にお伝えしておきます。ただし、法的措置には「再発防止効果」という大きなメリットがあります。「法的措置を辞さない」という姿勢が、同様の嫌がらせを抑止する効果を持つわけです。費用対効果は金銭面だけでなく総合的に判断しましょう。

名誉毀損罪・侮辱罪での刑事告訴の方法と注意点

民事に加えて、刑事告訴を検討する選択肢もあります。

名誉毀損罪(刑法230条1項)は公然と事実を摘示して名誉を毀損した場合に成立し、3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金。侮辱罪(刑法231条)は事実の摘示がなくても公然と人を侮辱した場合に成立し、1年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料が科されます。

いずれも「親告罪」(被害者の告訴がなければ起訴されない犯罪)のため、企業側から告訴状を作成し警察に提出する必要があります。ただし、ネット上の誹謗中傷で刑事告訴が受理されるハードルは高く、まずそもそも発信者が誰であるかを特定してからでないと受理されない扱いであり、被害の程度や悪質性が低くても受理されないことがあります。告訴状の作成には法律の専門知識が必要なため、弁護士に依頼するのが確実です。

検索結果を守る「ブランドSEO」の考え方と実践

削除や法的措置だけでは、企業ブランドを十分に守りきれないケースがあります。ここからは、私が最も伝えたいテーマ「ブランドSEO」について解説します。

ネガティブ情報を検索結果から押し下げるブランドSEOとは

ブランドSEOとは、企業名やブランド名の検索結果を、ポジティブ・ニュートラルなコンテンツで埋めていく施策です。

転職口コミサイトの削除率は極めて低く、法的な削除請求にも時間がかかります。そこで「削除できないなら、検索結果での表示順位を押し下げる」という発想が重要です。検索結果は通常1ページ10件ですが、多くのユーザーは1ページ目しか見ません。ポジティブなコンテンツで1ページ目を埋めれば、ネガティブ情報がユーザーの目に触れる機会を大幅に減らせます。

私が入社3年目に担当した中堅企業の案件でも、ポジティブコンテンツの戦略的配置で検索結果をクリーンに改善し、採用活動にも好影響を与えることができました。ブランドSEOは、弁護士事務所の記事では語られないWEBマーケティングならではの「もう一つの守り方」です。

自社で始められるポジティブコンテンツの戦略的配置

まずは自社でできることから始めましょう。明日から取り組めるアクションを紹介します。

  • コーポレートサイト・採用サイトの充実
    企業理念、社員の声、福利厚生など、求職者・取引先が知りたい情報を丁寧に発信し、定期的に更新しましょう。
  • オウンドメディア(企業ブログ)の運営
    業界の専門情報を発信することで、信頼性向上とSEO効果の両方が期待できます。
  • SNSアカウントの積極運用
    SNSアカウントは検索結果に表示されやすいため、企業の活動や社風を日常的に発信することが有効です。
  • プレスリリースの配信
    ニュース性のある情報はプレスリリース配信サービスを活用しましょう。
  • Googleビジネスプロフィールの最適化
    正確な企業情報と写真を充実させ、満足度の高い顧客にポジティブな口コミの投稿をお願いするのも効果的です。

ポイントは、これらを「嫌がらせが起きてから」ではなく平時から継続すること。普段からポジティブなコンテンツが充実していれば、ネガティブな書き込みの影響を小さく抑えられます。

元従業員のネット嫌がらせを未然に防ぐ7つの予防策

本来は嫌がらせが起きないように予防するのが最善です。在職中・退職時・根本的な対策の3つのフェーズに分けて、7つの予防策をお伝えします。

在職中にできる予防策:就業規則・SNSポリシー・研修

  • 就業規則にSNS利用規定・情報漏洩禁止条項を明記する
    機密情報をSNS等で発信しないことを明確にルール化します。
  • コンプライアンス研修を実施する
    ネット上の不適切な発信が名誉毀損や損害賠償の対象になり得ることを具体的に伝えましょう。
  • SNSポリシーを策定し全社に周知する
    「何がOKで何がNG」の基準を明確にし、社員の判断を助けます。
  • ネットリテラシー教育を定期的に行う
    一度伝えて終わりではなく、継続的な教育で意識を維持します。

ブランドセキュリティ部門での経験から、「ルールを作るだけ」では不十分だと感じています。なぜルールが必要なのか、ネット発信がどれほどの影響力を持つかを事例とともに伝えてこそ、社員の理解と協力が得られます。

退職時にできる予防策:秘密保持誓約書・円満退社プログラム

退職のタイミングは、予防において非常に重要な局面です。

  • 秘密保持誓約書(NDA)・誹謗中傷禁止条項を含む退職時合意書を締結する
    機密情報の取り扱いや虚偽情報の発信禁止について書面で合意し、法的な抑止力とします。
  • 退職面談で不満を丁寧にヒアリングする
    「聞いてもらえた」という経験自体が、退職後の不満の蓄積を和らげます。
  • 円満退社を促すコミュニケーションを設計する
    丁寧な引き継ぎや送別の場を設け、「この会社にいてよかった」と感じてもらえる退職プロセスを心がけましょう。

大切なのは、「会社側は円満退社だと思っていても、辞めた社員は不満を抱えていることが多い」という現実です。退職理由の表向きと本音は異なることがほとんどです。退職面談で本音を聞き出し、可能な範囲で対応する姿勢が、嫌がらせ防止につながります。

根本的な予防策:職場環境の改善とモニタリング体制の構築

最も根本的な予防策は、社員が不満を抱えにくい職場環境をつくることです。社員満足度の高い職場は自然とポジティブな口コミが増え、ネガティブな書き込みがあっても信憑性が薄れます。定期的なエンゲージメントサーベイ(社員満足度調査)で社員の声に耳を傾ける仕組みを構築しましょう。

同時に、SNSや口コミサイトのモニタリング体制も欠かせません。企業名を含むキーワードのアラート設定、定期的な検索結果チェック、問題発見時のエスカレーションフロー(誰に報告し誰が判断するか)を明確にしておきます。

ブランドセキュリティの現場にいた経験から伝えたいのは、「モニタリングは怖がらずにやるべき」ということ。早く見つければ傷は浅い。問題が小さいうちに対処できれば、大きな炎上に発展するリスクを格段に下げられます。

専門家に相談すべきケースと依頼先の選び方・費用相場

状況によっては専門家の力を借りることが最善です。弁護士と風評被害対策会社、それぞれの役割と費用を整理します。

弁護士に相談すべきケースと費用の目安

弁護士への相談が必要なのは、名誉毀損に該当し法的措置を検討する場合、発信者情報開示請求で投稿者を特定したい場合、任意の削除依頼が通らず仮処分申立てが必要な場合です。

費用の目安は以下のとおりです。

依頼内容費用の目安
相談料30分あたり5,000~10,000円(無料相談の事務所もあり)
削除請求(仮処分)着手金 約20万円 + 報酬金 約15万円
発信者情報開示請求着手金20万~30万円 + 報酬金20万~30万円(合計30万~70万円程度)
損害賠償請求開示請求から含めると総額100万円以上になるケースも

弁護士を選ぶ際は、IT・ネットトラブル分野での実績がある弁護士に依頼することが重要です。

なお、口コミの削除依頼は「法律事務」にあたるため、弁護士資格のない者が報酬を受けて代行すると「非弁行為(弁護士法72条違反)」に該当する可能性があります。削除代行を謳う無資格の業者もあるため、依頼先の選定にはご注意ください。

風評被害対策・ブランドSEO専門会社に相談すべきケース

削除が認められない投稿への対応や、検索結果全体のブランドイメージ改善には、風評被害対策やブランドSEOの専門会社への相談が有効です。

弁護士は「削除請求」「発信者情報開示」「損害賠償請求」などの法的手続きが専門、風評被害対策会社は「検索結果の改善(ブランドSEO)」「モニタリング体制構築」「ポジティブコンテンツ制作支援」などのWEB施策が専門です。状況に応じて両方に相談し、法的対応とWEB施策を組み合わせるのが最も効果的です。

相談先を選ぶ際は、過去の実績が具体的に説明できるか、費用体系が明確か、契約期間や解約条件が適切か、モニタリングや報告体制が整っているかを確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q: 元従業員にネットで誹謗中傷された場合、まず何をすべきですか?

まずは証拠保全が最優先です。スクリーンショットとURLを保存し、魚拓サービスも活用しましょう。投稿は削除・変更される可能性があるため、発見後すぐの保存が鉄則です。次に投稿内容が「事実の摘示」か「意見・論評」かを整理し、名誉毀損に該当するか確認します。感情的な反論は絶対に避け、専門家に早めに相談してください。

Q: 転職会議やOpenWorkに書かれた悪い口コミは削除できますか?

ガイドライン違反(虚偽情報、個人攻撃、誹謗中傷など)であれば削除申請は可能ですが、実際の削除率は極めて低いのが現実です。転職口コミサイトは求職者への情報提供が目的のため、事実に基づく投稿は掲載が継続されます。任意の削除が通らない場合は、裁判所への仮処分申立てを検討することになります。

Q: 匿名で書き込まれた場合、犯人を特定する方法はありますか?

「発信者情報開示請求」という法的手続きを使うことで、匿名の投稿者を特定できる可能性があります。2022年の法改正で「発信者情報開示命令」制度が新設され、従来は2段階必要だった手続きが一本化されました。これにより、以前より迅速かつ低コストで対応できるようになっています。ただし、プロバイダのログ保存期間は通常3~6ヶ月のため、早めの対応が重要です。

Q: 元従業員への損害賠償請求にかかる費用と慰謝料の相場はどれくらいですか?

弁護士費用は合計100万円以上が一般的ですが、慰謝料は判例上50万~100万円程度が相場です。費用倒れのリスクはあるものの、法的措置には再発防止効果があるため、費用対効果は金銭面だけでなく総合的に判断しましょう。

Q: 在職中にどんな対策をしておけば、退職後のネット嫌がらせを防げますか?

就業規則にSNS利用規定や情報漏洩禁止条項を明記し、コンプライアンス研修でネットリテラシー教育を実施しましょう。退職時は秘密保持誓約書の締結や退職面談での不満ヒアリングも有効です。最も根本的な予防策は職場環境の改善で、社員満足度の高い職場は自然とポジティブな口コミが増えます。

Q: 元従業員の書き込みが内部告発(公益通報)に該当する場合はどうなりますか?

パワハラや違法な長時間労働など公益通報に該当する内容の場合、公益通報者保護法で発信者が保護される可能性があります。安易に削除請求や法的措置を取ると企業イメージを悪化させるリスクも。まずは事実確認を行い、指摘が事実なら社内の問題解決が最優先です。2025年成立の改正公益通報者保護法(2026年12月施行予定)では通報者保護がさらに強化されます。弁護士に相談し慎重に対応しましょう。

Q: 元従業員のネット嫌がらせに感情的に反論してもいいですか?

絶対に避けてください。企業が感情的に反論すると炎上を招き、被害が拡大します。特にSNSでは情報が瞬時に拡散され、一度の不用意な発言が企業イメージを大きく損ないかねません。冷静に証拠を保全し、法的対応は専門家に任せましょう。公式見解が必要な場合も、弁護士や広報と相談のうえ慎重に発信してください。

まとめ

元従業員によるネット嫌がらせは、採用・営業・社内モラルに深刻な影響を及ぼします。しかし、正しい知識と適切な対処法があれば、企業のブランドを守ることは十分に可能です。

大切なのは、「証拠保全→削除請求→法的措置」の事後対応と、「就業規則整備→社員教育→円満退社促進→モニタリング体制構築」の予防策を両輪で進めること。そして社員が「この会社で働いてよかった」と思える職場環境をつくることが最大の防御策です。

ブランドセキュリティの現場で多くの企業を支援した経験から、「早期発見・早期対応」が被害を最小限に抑える鍵だと改めてお伝えします。自社だけでの対応が難しければ、弁護士や風評被害対策の専門家に相談してみてください。

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監修者
清水陽平弁護士