ネット炎上予防

社員が不祥事を起こす原因と企業ができる防止・対策のポイント

社員が不祥事を起こす原因と企業ができる防止・対策のポイント

企業の不祥事に関するニュースは、今や珍しくありません。実際に不祥事を起こしてしまった企業は、規模の大きさにかかわらず様々。また、社員が不祥事を起こした原因や背景についても様々であると言えます。

本記事では、まず社員が不祥事を起こしてしまう原因や、不祥事の防止策を考えます。それを踏まえ、万が一問題が起こった場合の対処手順や再発防止策まで、「企業の不祥事」全般の流れと対策のポイントを解説していきます。

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社員が不祥事を起こす原因とは

社員が不祥事を起こす原因とは

社員が起こす不祥事の原因は、個人に起因するものと、企業の組織体制に起因するものに大きく分けられます。一部重なる部分もありますが、詳しく見てみましょう。

個人の問題

まずは、個人が原因で起こる不祥事について説明します。

些細なヒューマンエラー

企業SNSなどの運用で特に多いのは、運用担当者のミスや、コンプライアンス意識が甘いことによる不祥事です。

  • 個人のSNSに載せる内容を誤って企業SNSに投稿してしまう
  • 自分の思想を押し付けるような内容を投稿してしまう
  • 企業として不適切な情報をリツイート等で広めてしまう

以上はほんの一例となりますが、こういった些細なミスから会社の信用や存続を揺るがす大きな不祥事に繋がってしまった例も存在します。

上記の例では企業SNSの運用から起こり得る不祥事について挙げていますが、もちろんSNSだけではなく企業のホームページや対面でのやり取りが発端で類似の不祥事が起こってしまう場合もあります。

社員の個人的な問題や不正

社員の個人的な問題や不正から起こる不祥事としては、

  • 企業での就業中に企業内で撮影された不適切な写真や動画をインターネット上に投稿してしまう
  • 社員や元社員が、企業の機密情報などをインターネット上で発言してしまう

などが考えられます。これらの不祥事は、企業が管理している媒体ではなく個人のSNSアカウント等が原因となる場合が多く、不祥事の事実確認や状況把握に時間がかかってしまいやすい点が特徴です。

企業・組織の問題

次に、企業や組織内の問題が顕在化して起こる不祥事について説明します。

組織内の環境や体制

組織内の環境や体制に関係する不祥事は、そのほとんどが組織内の環境や体制が原因となっているといえます。例えば、

  • 企業のトップや経営陣の力が強すぎる、権限が集中しすぎている
  • トップのコンプライアンスに対する認識が甘く、規則が整っていない
  • 企業内部での通報先や調査機関が設定されていない

などです。企業のトップなどが権限を持ちすぎてしまうと、ワンマン体制が横行しやすくなります。ワンマン体制は、コンプライアンスの観点から問題があることの指摘をしにくい雰囲気を醸し出してしまったり、指摘をしても無視されてしまうといった問題を孕みます。

コンプライアンス意識に関しては、先に「個人の問題」として少し取り上げていますが、経営者の意識が低いと企業全体の意識が低いということに繋がりかねませんし、そもそも企業のリスクマネジメントが出来ていない、関心がない、という場合は「企業・組織の問題」と捉えられることになります。

企業全体のコンプライアンス意識が低い場合、時代に合っていない不適切な企画やキャンペーン、広報活動(CMやポスターの制作など)が問題になり、炎上してしまうなどの事例もあります。

不祥事を防止するための対策方法

不祥事を防止するための対策方法

社員が不祥事を起こす原因を確認したところで、不祥事を未然に防ぐために何ができるのかを考えてみましょう。

まだ何も対策を行えていないという場合は、

  • コンプライアンスマニュアルを作成する
  • コンプライアンス対応の部署をつくる

という2点の対策を早急に進めることをおすすめします。この2点の対策は具体的にどういったことをするのか、説明していきます。

コンプライアンスマニュアルを作成する

社員たちのコンプライアンス意識を共通のレベル・認識にするために、コンプライアンスマニュアルやSNSガイドラインを作成しましょう。

これらのマニュアルやガイドラインには、企業で働く者として必要なコンプライアンス意識の指針を記載します。法令の順守はもちろん、昨今大きく変わってきている価値観や道徳的な点についてもしっかり内容に盛り込んでおくことが重要です。

コンプライアンス対応の部署をつくる

不祥事を起こさないために、できれば企業内にコンプライアンス対応専門の部署を置くことが理想だと言えます。

コンプライアンス専門の部署では、企業のコンプライアンス規定全般を整えるところから、社内通報の通報先として情報収集や事実関係の調査を行ったり、従業員に対してコンプライアンス研修を行ったりするのが主な役割となります。

また、企業の内外どちらもに対してコンプライアンス違反が起こっていないかを把握し、取り締まる重要な役割を担います。もちろん企業によって役割の範囲は違ってきますが、普段から不祥事が起こってしまった際の対処方法や手順を模索し、万が一の場合には企業の経営陣とともに炎上の鎮火や後始末まで対応します。

企業の信用に関わる役割であるため、先ほども述べたように専用の部署を置くことが理想ですが、人員やコストの関係で難しい企業では人事部や総務部が兼任している場合が多いようです。

社員が不祥事を起こしてしまった場合の対処法

社員が不祥事を起こしてしまった場合の対処法

「自社は不祥事の対策を万全に行っている」と自信がある企業でも、企業の規模が大きくなればなるほどいつどこで炎上が発生してしまうか予測できないものです。

ここでは、万が一企業の不祥事が起こってしまった際の対応手順について解説していきます。

事実関係の確認と報告・謝罪

社員による不祥事が起きてしまった場合、まずは速やかに事実確認を行いましょう。

現代はインターネットの普及、とりわけSNSによって企業の不祥事関連のニュースが短時間で広まりやすく、それに伴う各方面からの問い合わせが増える事によって初動対応が遅れてしまう可能性もあります。

もしも初動対応の時点で多くの問い合わせが殺到している場合(または、そうなる事が予想される場合)は、自社の公式ホームページやSNSアカウントに、

  • 多くの人を混乱させてしまった事実への謝罪
  • 現在速やかに事実確認を行っていること
  • 調査の結果は追って必ず報告すること

の3点を明記し、まず企業としてしっかり状況を把握し対応を行っている旨を伝えます。不祥事や企業の規模によっては、トップによる記者会見を行った方が良い場合もあります。

適切な初動対応を行えるかどうかで、企業の信頼回復のスピードは変わります。この時点で曖昧な態度を取るなど不誠実な対応を行ってしまうと思わぬ二次炎上の危険性が高まりますので、スピード感を持ちながらも「誠実であること」を大切にして対応することが大事です。

原因の究明と内部フォロー

事実確認の結果、企業側に瑕疵のあることが明確になった場合、なぜそのような事が起きたのかという原因を深く突き詰める必要があります。

例えば、「企業のSNSに担当者が不適切な文章を投稿した」ことが原因で生じた不祥事であった場合には

  • 投稿を読む人の立場を考えた文章ではなかった
  • 全世界の人の目に入る可能性がある点を想定していなかった
  • 投稿する内容のダブルチェックをしていなかった
  • 企業のSNS投稿ルールが曖昧だった
  • SNS投稿の担当者が投稿ルールを熟知していなかった

などといった複数の原因が考えられます。

事実確認と原因の究明が終わったら、今後に向けた解決策を考えます。

不祥事として多くの人に知れ渡った内容が事実であるなら、関係者各位への謝罪を誠心誠意行いましょう。事実と異なった点があるなら、「どの部分が違うのか」「真実はどうなのか」ということを明確にして説明します。

そして、不祥事として広まった内容にかかわらず、同じような事件を二度と起こさないように企業としてどのような取り組みを行い、信頼を回復していくのかという点まで公表できると良いでしょう。

外部からの問い合わせ対応に追われていると見落としてしまいがちですが、上記の調査や報告を進めると同時に「内部へのフォロー」も行うことを忘れてはいけません。不祥事の対応はスピードが求められ焦る気持ちはありますが、会社は「信用」が大事。社外の信頼回復と同じくらい内部(社員)へのフォローも重要なのです。

再発防止策の実施

最後に、今後の不祥事防止のため、社員のコンプライアンス意識を徹底させましょう。社員向けにコンプライアンス研修を実施する、つまり社員教育を再度徹底することにより、会社全体のコンプライアンス意識向上を狙います。また、定期的な内部監査の実施を行う事もおすすめします。

ここでは、すでにコンプライアンスマニュアルやガイドラインを作成済みであり、内部通報制度の導入も完了している(本記事内の「不祥事を防止するための対策方法」を実行済みである)ことを前提とし、意識を定着させるための研修にフォーカスを当てていきます。

社員向けコンプライアンス研修の実施

マニュアルやガイドラインにまとめた内容を社員の共通認識にするため、コンプライアンス研修を実施しましょう。

不祥事が起こってしまった時に「原因」だと考えられた部分(=自社の弱み)を中心に研修を組み立てるのがおすすめです。

近年では新入社員研修の一環としてコンプライアンス研修を取り入れている企業も多くあります。重要度が高く、社会人の基礎となる項目については入社直後に覚えてもらうのが良いでしょう。

一方、企業のコンプライアンス担当者やSNS運用担当者、広報関係者、経営層に関しては一般の従業員よりも深い知識や多角的な視点が必要となる場合があるため、専用の研修内容を用意すると安心です。

もしも社内の人間だけでは不安だという場合には、外部の業者に研修を依頼するという手もあります。

弊社では、コンプライアンス研修で触れる内容の中で最も重要度の高い項目のひとつであるSNSに特化した「SNSリスクリテラシー研修」を行っています。

全ての従業員向け(100人〜)のものから、管理職やSNS担当者向け(〜10人以下)のものまでテーマや内容を調整したオーダーメイドの研修を承っておりますので、研修をご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。

研修を外部の業者に依頼する際は、予算や規模感、受講対象者(全社員向け、若手向け、管理職向け)などに加え、どのようなテーマの研修を行いたいのかという点を伝えられると打ち合わせがスムーズに進みます。特定の会場を設けず、オンラインでの受講が可能かどうか等も合わせて問い合わせしてみるのも良いでしょう。

まとめ|社員の不祥事は予測不能!日頃からの徹底した対策が必要

社員の不祥事は予測不能!日頃からの徹底した対策が必要

現代社会においてコンプライアンス意識はとても重要視されている問題です。そして、世間から注目される企業であればあるほど、そこから発信される情報や内容については厳しい目に晒されるといっても過言ではありません。

不祥事の発覚後は、スピード感のある対応が求められます。とくに、企業の販促ツールとして活用されるSNSでの発言は、手軽であるがゆえに様々な不祥事の発端やネガティブな情報の拡散ツールになってしまうリスクがある事を認識すると同時に、どんな企業にも不祥事の発覚は有り得る事なのだと理解しましょう。日頃から不祥事への対策を進めておくのが重要です。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007 年弁護士登録(旧60期)。2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebook、Instagramに対する開示請求について、それぞれ日本第1号事案を担当。 主要著書として、「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル[第3版]」(弘文堂)、「企業を守る ネット炎上対応の実務」(学陽書房)を出版している。