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レピュテーションリスクとは?意味・事例・マネジメント方法をわかりやすく解説

レピュテーションリスクとは?意味・事例・マネジメント方法をわかりやすく解説

「レピュテーションリスク」という言葉、最近よく耳にしませんか?ニュースやビジネスの現場で目にする機会が増えたものの、「具体的にどんなリスクなのかよくわからない」「自社にどう関係するの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そもそも「レピュテーション」とは何かという基本から、レピュテーションリスクの発生要因や実際の企業事例、そして「攻め」と「守り」の両面からのマネジメント方法まで、わかりやすく解説していきます。

【この記事の結論】レピュテーションリスクとは?
項目内容
レピュテーションリスクとは?企業に対するネガティブな評判が広がり、信用やブランド価値が低下して経営上の損失が生じるリスクのこと。
主な発生原因は?企業の不祥事・コンプライアンス違反、従業員の不適切行為(バイトテロ等)とSNS炎上、デマやなりすまし、製品・サービスの品質問題など。
企業への影響は?売上減少や株価下落などの直接的な経済損失に加え、採用活動の難航や人材流出など、長期的なダメージをもたらす。
どう対策すべき?平常時の「攻め」(ポジティブな情報発信、エゴサーチ・監視)と、問題発生時の「守り」(SNS教育、危機管理マニュアル整備、迅速・誠実な対応)を両立させることが重要。

レピュテーションリスクは業種・規模を問わず発生します。「攻め」と「守り」の両輪で自社の評判を守り、企業価値を長期的に高めましょう。

目次
  1. レピュテーションとは?ビジネスにおける意味と企業にとっての重要性
  2. レピュテーションリスクとは?定義と注目される背景
  3. レピュテーションリスクが企業にもたらす影響と損失
  4. レピュテーションリスクの主な発生原因
  5. 【事例で学ぶ】レピュテーションリスクが顕在化した企業事例
  6. レピュテーションマネジメントとは?「攻め」と「守り」の具体的な方法
  7. レピュテーションリスク発生後の回復施策
  8. レピュテーションリスクの定量化と測定方法
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
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レピュテーションとは?ビジネスにおける意味と企業にとっての重要性

まずは「レピュテーション」という言葉そのものの意味から確認していきましょう。

レピュテーション(Reputation)の意味と定義

レピュテーション(Reputation)は、英語で「評判」「評価」「信用」を意味する言葉です。ビジネスの分野では、企業やブランド、製品・サービスが、顧客・取引先・投資家・従業員といったステークホルダーからどのように評価されているかを表す概念として使われます。

たとえば「あの会社は環境に配慮した経営をしている」というポジティブな評判は、企業のレピュテーションが高い状態です。逆に「あの企業は不祥事を起こした」「対応が不誠実だ」というネガティブな評判が広がれば、レピュテーションは低下します。

重要なのは、レピュテーションは目に見えない「無形資産」でありながら、企業の業績や存続に直結する影響力を持っているという点です。財務諸表には載らないけれど、経営を大きく左右する存在と言えます。

企業がレピュテーションを重視すべき3つの理由

企業がレピュテーションを重視すべき理由は、大きく3つあります。

1.業績や企業価値に直結する

1つ目は、業績や企業価値に直結するためです。良い評判は新規顧客の獲得やリピーター増加につながり、売上向上を後押しします。一方で、ネガティブな評判が広がると、顧客離れや株価下落、取引先からの契約打ち切りといった直接的な損失が発生します。

2.社会的信用とステークホルダーとの関係に影響する

2つ目は、社会的信用とステークホルダーとの関係に影響するためです。長年かけて築いた信頼でも、たった一度の不祥事で大きく崩れてしまうことがあります。投資家からの信頼喪失は資金調達に、取引先からの信頼喪失は事業継続に影響します。

3.採用活動に直結する

3つ目は、採用活動に直結するためです。現代の求職者は、エントリー前に口コミサイトやSNSで企業の評判を調べます。私が以前ブランドセキュリティ部門で担当した案件でも、企業名で検索した際にネガティブな情報が上位に表示されてしまい、採用活動や営業活動に大きな支障が出ていたケースがありました。企業のブランドイメージは、優秀な人材を確保できるかどうかにも直結しているわけです。

レピュテーションリスクとは?定義と注目される背景

ここからは、この記事のメインテーマである「レピュテーションリスク」について詳しく見ていきます。

レピュテーションリスクの正確な意味と「風評被害」「ブランドリスク」との違い

レピュテーションリスクとは、企業や組織に対するネガティブな評判が広がることで、信用やブランド価値が低下し、経営上の損失が生じるリスクを指します。日本語では「評判リスク」や「風評リスク」とも呼ばれます。

ここで注意したいのが、似た言葉との違いです。

用語意味特徴
レピュテーションリスク評判の毀損によって経営に損失が生じるリスク全般事実に基づく評判低下も含む広い概念
風評被害根拠のない噂やデマによる被害事実無根の情報が原因
ブランドリスクブランド価値が低下するリスクレピュテーションリスクの一部
コンプライアンスリスク法令違反等による制裁・損失リスクレピュテーションリスクの原因になり得る

つまり、風評被害やブランドリスクはレピュテーションリスクの一部として捉えることができます。また、コンプライアンス違反が発覚してレピュテーションリスクに発展するケースも少なくありません。概念を正確に理解しておくことが、適切な対策を講じるための第一歩です。

なぜ今、レピュテーションリスクが注目されているのか

レピュテーションリスクがこれほど注目されるようになった背景には、いくつかの社会的な変化があります。

  • SNSの普及により、企業の不祥事や従業員の不適切行為が数時間で全国に拡散される時代になった
  • 消費者の期待値が高まり、製品品質だけでなく環境への取り組みや従業員の待遇まで評価の対象になっている
  • ESG投資の広がりにより、投資家の企業評価基準が厳しくなっている
  • 金融庁が監督指針で風評に関する危機管理体制の整備を求めるなど、規制面での関心も高まっている
  • 生成AIの普及により、ディープフェイクやフェイクレビューなど新たなリスクが登場している

特に金融庁は「主要行等向けの総合的な監督指針」のなかで風評に関する危機管理体制の整備を求めており、レピュテーションリスク管理の重要性は金融機関にとどまらず業界を超えて認識されるようになっています。

参考: 主要行等向けの総合的な監督指針 令和8年4月

また、2025年から2026年にかけては生成AIの普及が新たなリスク要因として浮上しています。ディープフェイク動画の作成やAI生成のフェイクレビュー、AIチャットボットの不適切な回答など、テクノロジーの進化がレピュテーションリスクの様相を変えつつあります。

レピュテーションリスクが企業にもたらす影響と損失

レピュテーションリスクが顕在化した場合、企業はどのような影響を受けるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

売上・株価・取引関係への直接的な影響

レピュテーションリスクが表面化すると、企業は即座に経済的な打撃を受けます。具体的には、以下のような影響が考えられます。

  • 顧客離れによる売上の減少
  • 投資家の信頼喪失に伴う株価の下落
  • 取引先からの契約打ち切りや新規取引の敬遠
  • 損害賠償や訴訟対応にかかるコストの発生

実際に、2023年にスシローで起きた「迷惑動画」事件では、運営会社の時価総額が一時168億円も下落したと報じられました。一つの事件がこれほどまでの経済的損失につながり得るという事実は、レピュテーションリスクの深刻さを物語っています。

参考: スシロー“ペロペロ”迷惑動画で株価急落…総額168億円消失。ネット上では“寿司テロインサイダー”続出の危機も取沙汰

採用活動・人材確保への影響

近年の求職者は、企業にエントリーする前にGoogleで企業名を検索したり、口コミサイトで評判を確認したりするのが当たり前になっています。検索結果にネガティブな情報が表示される状態では、せっかく求人を出しても応募者が集まりにくくなってしまいます。

また、既存社員のモチベーション低下や離職につながるケースもあり、人材面でのダメージは長期にわたって企業体力を奪います。

一度失った信頼を取り戻すコストと時間

一度傷ついたレピュテーションを回復させるには、膨大なコストと時間がかかります。謝罪会見や再発防止策の実行だけでは不十分で、ポジティブな情報を継続的に発信し続けるという地道な努力が必要です。

さらに厄介なのは、インターネット上に残ったネガティブな情報は簡単には消えないという事実です。スクリーンショットやWEB魚拓として保存されてしまえば、元の投稿が削除されたとしても情報は残り続けます。だからこそ、「問題が起きてから対処する」よりも「問題を起こさないための予防」に力を入れることが、結果的にはるかにコストを抑えることにつながるということです。

レピュテーションリスクの主な発生原因

レピュテーションリスクが発生する原因は多岐にわたりますが、大きく4つのカテゴリに分けることができます。

不祥事・コンプライアンス違反

法令違反やデータ改ざん、粉飾決算、ハラスメントなど、企業自身の行為に起因するレピュテーションリスクは最も深刻です。特に問題を隠蔽しようとしていたことが発覚すると、「隠蔽体質」というイメージが定着し、信頼の回復はさらに困難になります。

近年では内部告発による発覚も増えており、職場環境の不備や不正行為がメディアやSNSを通じて外部に公表されるケースも少なくありません。一つの不正が明るみに出ると、過去の問題も連鎖的に掘り起こされるリスクがあることも知っておくべきでしょう。

従業員の不適切行為とSNS炎上

従業員やアルバイトスタッフによる不適切な行為がSNSで拡散される、いわゆる「バイトテロ」もレピュテーションリスクの大きな要因です。店舗の設備や食品で悪ふざけをする様子を撮影・投稿し、企業全体のブランドイメージが毀損されるケースが後を絶ちません。

また、企業の公式SNSアカウント担当者が不適切な発言をしてしまう炎上リスクもあります。2021年には、ある観光ガイド協会の公式SNS担当者が差別的な投稿を行い、協会だけでなく観光地全体のイメージが低下する事態に発展しました。正社員だけでなく、アルバイトやパートスタッフを含めた全従業員へのリテラシー教育が不可欠です。

参考: 【広報担当必見】ネット炎上レポート2021年8月版 〜SNS炎上の傾向と対策、不適切発言の分類〜

デマ・風評被害・なりすましによる被害

事実に基づかない噂やデマがSNS・掲示板・口コミサイトで拡散されるケースも、企業にとって大きな脅威です。根拠のない情報であっても、繰り返し目にするうちに「本当なのではないか」と受け取られてしまうことがあります。

さらに近年増えているのが、企業の公式SNSアカウントを模倣した「なりすまし(偽アカウント)」による被害です。アイコンやプロフィール文を精巧にコピーし、IDの末尾に「.」や「_official」を付けるなどの手口で、本物と見分けがつきにくいケースが増えています。実際に、西武・そごうをはじめ複数の大手企業が公式サイトで偽アカウントへの注意喚起を行っています。

参考: 【重要】弊社公式SNSの「偽アカウント」にご注意ください | 西武・そごう

製品・サービスの品質問題と情報漏えい

製品の欠陥やサービスの品質低下は、口コミやレビューサイトを通じてあっという間に拡散されます。一人の顧客の不満が数万人の目に触れる時代では、品質管理の重要性はこれまで以上に高まっています。

同様に、個人情報の漏えいやサイバー攻撃による情報流出も重大なレピュテーションリスクです。損害賠償などの直接的なコストに加え、「情報管理が甘い会社」というイメージの定着は、顧客離れや取引先からの信頼喪失を招きます。

【事例で学ぶ】レピュテーションリスクが顕在化した企業事例

ここでは、実際にレピュテーションリスクが顕在化した企業事例を紹介します。成功例・失敗例の両方から、教訓を学んでいきましょう。

SNS炎上・バイトテロで信用を失った事例

バイトテロの事例として広く知られているのが、2013年にコンビニエンスストアのアルバイト店員が店内のアイスケースに入って寝転がった写真をSNSに投稿し、大炎上した事件です。運営本部は当該店舗とのフランチャイズ契約を解除する事態に追い込まれました。

参考: アルバイトの「悪ふざけ」で「FC契約解除」 ローソンの対応をどう見る?

さらに深刻だったのが、宅配ピザチェーンの事例です。従業員がキッチンのシンクに入るなどの不適切行為をSNSに投稿した結果、店舗の信用が失墜し、最終的に運営会社が破産に追い込まれました。たった一つのSNS投稿が、企業の存続そのものを脅かした例と言えます。

参考: 不適切写真アップの“バイトテロ”で……宅配ピザ店運営会社が破産

2023年には、スシローの店舗で少年が醤油さしや湯飲みを舐める迷惑動画がSNSで拡散され、運営会社は少年に対して約6,700万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました(その後、調停成立により取り下げ)。

参考: スシロー、「迷惑動画」賠償請求取り下げ 少年と調停成立

企業の不適切なプロモーションによる炎上事例

2020年、富士フイルムがカメラ新製品「X100V」のプロモーション動画を公開したところ、カメラマンが街中で通行人に無断でカメラを向けて撮影する内容が「盗撮を推奨しているようだ」と批判を浴び、大炎上しました。ITmedia NEWSの報道によると、動画には警察から職務質問を受けているような場面も含まれていました。製品そのものの品質に問題がなくても、プロモーション表現の配慮不足がブランド全体の信頼を揺るがした事例です。

参考: 道路使用許可なし、警察の職質シーンも――富士フイルムのカメラ販促動画炎上、削除までの一部始終

デマ・虚偽情報への模範的な対応事例

一方で、危機をチャンスに変えた好例もあります。2024年11月、チロルチョコ株式会社の商品に「生きた虫が混入していた」という動画がX(旧Twitter)上で拡散されました。投稿は3万5,000件以上の「いいね」を集め、大きな騒動になりました。

これに対しチロルチョコは、投稿からわずか数時間で公式Xアカウントを通じて調査開始を表明。該当商品が「昨年以前に発売された季節商品」であることを特定し、詳細な調査結果を公表しました。東洋経済オンラインの記事でも取り上げられたこの対応により、投稿者のご家族から「購入時期の事実誤認」「自宅での保管状況の問題」であったとの申し出があり、自発的に謝罪が行われました。SNS上では「チロルチョコの対応が素晴らしい」「買って応援する」という声が広がり、結果的にブランドの信頼性がかえって高まりました。

参考: チロルチョコ「虫混入?」騒動対応が見事すぎた訳 迅速な対応と、消費者コミュニケーションの妙

事例から見えるレピュテーションリスクの共通パターン

これらの事例を振り返ると、リスクが深刻化するケースには共通のパターンが見えてきます。

  • 初動対応が遅れ、情報拡散に後手に回ってしまう
  • 事前の予防策(社員教育・モニタリング体制)が不十分
  • 危機管理マニュアルが整備されておらず、現場が混乱する
  • 不誠実な対応や情報隠蔽が、さらなる批判を招く

一方で、チロルチョコの事例のように、迅速かつ誠実な対応を取った場合は信頼の回復にとどまらず、ブランド評価の向上にまでつながることもあります。つまり、「レピュテーションリスクにどう向き合うか」が、その後の企業の評価を大きく左右するわけです。

レピュテーションマネジメントとは?「攻め」と「守り」の具体的な方法

レピュテーションリスクへの対策を体系的に行うのが「レピュテーションマネジメント」です。ここでは具体的な方法を「攻め」と「守り」の両面から解説します。

レピュテーションマネジメントの定義と「攻め」「守り」の考え方

レピュテーションマネジメント(Reputation Management)とは、企業の評判を「高める」「維持する」「回復する」ための管理活動の総称です。特にインターネット上での評判管理は「オンラインレピュテーションマネジメント(ORM)」とも呼ばれます。

大手コンサルティングファームなども提唱しているように、レピュテーションマネジメントには大きく2つの軸があります。

  • 攻めのレピュテーションマネジメント:平常時に評判を高め・維持する活動
  • 守りのレピュテーションマネジメント:問題発生時に評判を回復する活動

どちらか一方だけでは不十分で、両方をバランスよく実践することが重要です。

【攻め】ポジティブ情報の発信とブランド構築

平常時から企業の魅力をコツコツと発信し続けることが、「攻め」の基本です。

オウンドメディアでの情報発信、公式SNSアカウントでのコミュニケーション、プレスリリースの配信など、企業からの情報発信チャネルを複数持つことが大切です。新製品の開発ストーリーやCSR活動の紹介、社員の声など、企業の「人となり」が見えるコンテンツは、長期的な信頼構築に効果を発揮します。

SNS運用においては、リアルタイム性を活かした双方向コミュニケーションが鍵です。ただし、運用担当者にはネットリテラシーの高さが求められるため、適切な人材の選任と運用ルールの策定が前提となります。

【攻め】定期的なエゴサーチとモニタリング体制の構築

自社の評判を把握するために欠かせないのが、定期的なエゴサーチ(企業名やサービス名での検索)とモニタリングです。

私がブランドセキュリティ部門にいた頃は、毎日クライアント企業の検索結果やSNSでの言及をチェックしていました。この日常的な監視があるからこそ、問題の芽を早期に発見し、大きな炎上に発展する前に対処できるわけです。

モニタリング体制の選択肢としては、自社での定期的なエゴサーチ、モニタリングツールの導入、そして24時間体制で監視を行う専門会社への委託があります。自社のリソースやリスクの度合いに応じて、最適な方法を選ぶとよいでしょう。

【守り】ソーシャルメディアポリシーと社員教育の徹底

「守り」の第一歩は、ルールの整備と教育です。

まず、企業のSNS利用に関する方針を定めた「ソーシャルメディアポリシー」を策定しましょう。社外向けの「ポリシー」では、企業としてのSNS利用に関する基本姿勢や公式アカウント一覧を公開し、なりすまし対策にも活用できます。社内向けの「ガイドライン」では、従業員がSNSを利用する際のルール(投稿してよい情報・禁止事項・トラブル時の対応フロー)を明確にします。

そのうえで、正社員だけでなくアルバイト・契約社員を含む全従業員を対象にしたSNSリテラシー教育を実施しましょう。座学だけでなく、炎上の疑似体験を取り入れた実践的な研修が効果的です。エルプランニングでも「SNSリスクリテラシー研修」を提供しており、新入社員から管理職まで対象別にカスタマイズした研修を行っています。

【守り】危機管理マニュアルと初動対応フローの整備

レピュテーションリスクが顕在化した場合に備えて、あらかじめ危機管理マニュアルを策定しておくことが極めて重要です。マニュアルには以下の要素を盛り込みましょう。

  • 情報発信の責任者と社内承認フロー
  • 炎上発生時の初動対応手順(事実確認、公式声明の発表など)
  • 二次炎上を防ぐための注意事項
  • 夜間・休日の連絡体制と対応方針

SNSの炎上は、企業の担当者が退勤した夜間のうちに発生し、翌朝出社した時には手がつけられない状態になっていることも珍しくありません。「いつ起きても対応できる」体制を作っておくことが、被害を最小限に抑える鍵です。

レピュテーションリスク発生後の回復施策

予防策を講じていても、リスクが顕在化してしまう場合はあります。そのときにどう対処するかが、企業の命運を分けます。

事実確認と迅速・誠実な情報発信

リスクが表面化したとき、最初にすべきは「事実確認」です。SNSで批判が拡散されていても、まずは冷静に事実関係を確認しましょう。事実確認が不十分なまま慌てて発信してしまうと、後から矛盾が生じて事態を悪化させるリスクがあります。

事実が確認できたら、できるだけ迅速に公式な声明を出します。自社に非がある場合は誠実に謝罪し、改善策を示すことが重要です。事実無根の情報であれば、根拠を示して冷静に反論しましょう。感情的な反応は逆効果になります。

先ほど紹介したチロルチョコの事例は、この「事実確認の迅速さ」と「根拠に基づく冷静な情報発信」を見事に両立させた好例です。

原因究明・再発防止策の策定と公表

初動対応を終えたら、問題の根本原因を徹底的に究明し、再発防止策を策定します。そして、その内容をステークホルダーに対して透明性を持って公表することが、信頼回復への第一歩になります。

原因や対策を曖昧にしたまま幕引きを図ろうとすると、「反省していない」「また同じことを繰り返すのでは」という不信感を招いてしまいます。

ブランドSEOによる検索結果の改善

レピュテーションリスクが顕在化した後、多くの企業が頭を悩ませるのが「企業名で検索した際にネガティブな情報が上位表示される」問題です。

この問題に対しては、「ブランドSEO」という手法が有効です。ブランドSEOとは、企業に関するポジティブな情報を検索エンジンに適切に評価されるよう設計・発信し、検索結果をクリーンな状態に改善するアプローチです。

私がブランドセキュリティ部門に在籍していた頃に担当したある中堅企業の案件では、企業名で検索するとネガティブな記事が上位に表示されてしまい、採用や営業に深刻な影響が出ていました。オウンドメディアの強化や公式情報の充実、ポジティブなコンテンツの戦略的な発信を通じて、徐々に検索結果の改善に成功しました。

ただし、検索結果の改善には専門的な知識とノウハウが必要です。自社での対応が難しい場合は、専門会社への相談を検討してみてください。

レピュテーションリスクの定量化と測定方法

「レピュテーションリスクの大きさをどうやって測ればいいのか」は、多くの企業が抱える悩みです。

主な測定・評価アプローチ

レピュテーションリスクの完全な定量化は困難とされていますが、実務では以下のようなアプローチが活用されています。

測定方法概要特徴
メディア・報道調査新聞・雑誌・Webメディアでの自社に関する報道を定量的に分析客観性が高い
SNS・口コミモニタリングSNSや口コミサイトでの言及数・感情分析を定期追跡リアルタイム性が高い
エゴサーチ分析検索結果のサジェストキーワードやネガティブ表示の有無を確認低コストで始められる
アンケート調査顧客・従業員・取引先へのヒアリングで定性的に評価深い洞察が得られる
評価モデル財務情報・顧客満足度等を組み合わせてスコアリング包括的な評価が可能

大切なのは、一つの方法に頼るのではなく、複数のアプローチを組み合わせて多角的にリスクを把握することです。まずはコストの低いエゴサーチやSNSモニタリングから始めて、必要に応じて専門的な調査に広げていくのがおすすめです。

レピュテーションリスクの測定に「完璧な方法」はありません。まずエゴサーチやSNSモニタリングから手軽に始め、自社の状況に合わせて手法を組み合わせていきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q: レピュテーションリスクと風評被害の違いは何ですか?

レピュテーションリスクは、事実に基づくネガティブ評価も含めた「企業の評判が損なわれることで経営に損失が生じるリスク」の総称です。一方、風評被害は「根拠のない噂やデマによって被る被害」を指します。つまり、風評被害はレピュテーションリスクの一部と捉えることができます。

Q: レピュテーションリスクはどんな企業でも起こり得ますか?

はい、業界や企業規模に関わらず発生し得ます。大企業だけでなく、中小企業やスタートアップでもSNS炎上や口コミでの評判低下のリスクがあります。BtoCビジネスでは顧客接点が多い分リスクが高く、BtoBでも取引先からの信頼低下は事業継続に直結します。

Q: SNSでネガティブな投稿を見つけたら、まず何をすべきですか?

まずは冷静に事実確認を行うことが最優先です。事実無根であれば証拠を整理して削除依頼や法的対応を検討し、事実に基づく批判であれば誠実な対応と改善策の提示を行います。感情的な反論は逆効果になるケースが多いので注意してください。

Q: レピュテーションマネジメントの「攻め」と「守り」の違いは何ですか?

「攻め」は平常時に企業の評判を高め・維持する活動で、ポジティブな情報発信やSNS運用、エゴサーチによる情報収集が該当します。「守り」は問題発生時に評判を回復する活動で、危機管理マニュアルの策定や初動対応、ソーシャルメディアポリシーの整備が含まれます。両方をバランスよく実践することが大切です。

Q: 自社対応と専門会社への依頼、どちらがよいですか?

社員教育やSNSポリシーの策定、定期的なエゴサーチなどの基本対策は自社で始められます。ただし、24時間体制の監視や検索結果対策(ブランドSEO)、炎上時の専門的な対応が必要な場合は、専門会社の力を借りることをおすすめします。SNS時代は夜間・休日にも問題が発生し得るため、自社だけでの対応には限界があります。

Q: 生成AIの普及でレピュテーションリスクはどう変化していますか?

生成AIの普及により、ディープフェイク動画やAI生成のフェイクレビューなど、新たなタイプのリスクが生まれています。また、企業自身がAIを活用する際の倫理的問題(バイアスやプライバシー侵害)も新たなリスク要因として認識されるようになっています。今後もテクノロジーの進化に合わせた対策が求められるでしょう。

まとめ

レピュテーションリスクは、企業規模や業界を問わず、あらゆる企業が向き合うべき経営課題です。SNSの普及やAI技術の進化により情報拡散のスピードはますます加速しており、「うちは大丈夫」と思っている企業ほど、いざというときに大きなダメージを受けてしまうものです。

大切なのは、平常時からの「攻め」のレピュテーションマネジメントと、万が一に備えた「守り」の体制づくりを両立させること。そして、もしリスクが顕在化してしまった場合でも、迅速かつ誠実に対応すれば、信頼を取り戻すことは十分に可能です。

まずは自社の現状を把握するところから始めてみてください。「企業名で検索したとき、どんな情報が表示されるか」を確認するだけでも、最初の一歩になります。

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