風評被害対策

【不動産業向け】物件レビュー・賃貸口コミの悪評対策|削除依頼から評判管理までの実務

【不動産業向け】物件レビュー・賃貸口コミの悪評対策|削除依頼から評判管理までの実務

「物件名で検索したら、低評価レビューが上の方に出てきている」
「退去した入居者に事実と違うことを書かれた」

不動産業の方からこうしたご相談をいただく機会が増えています。

不動産業の口コミ対策が厄介なのは、チャネルが広く分散している点です。Googleマップだけでなく、マンションノートなどの物件レビュー専門サイト、SUUMO・HOME’Sなどのポータル、5chやXまで。それぞれルールが違うのに、現場では「まとめて何とかしたい」となりがちです。

先にお伝えしておくと、この記事は「都合の悪い口コミをすべて消す」マニュアルではありません。正当な批判は消せませんし、消すべきでもない。悪質な投稿に正しく対処し、中長期で評判を整えていく実務の全体像をお伝えします。

【この記事の結論】不動産業の悪評対策で押さえる4つのポイント
  • 悪い口コミは事業者側で勝手に削除できず、削除が通るのは主に「違法性」「規約違反」「虚偽を証明できる投稿」です。
  • マンションノートなどの物件レビューサイトや「事故物件」関連の投稿は削除が難しく、まず事実確認と告知体制の見直しが必要です。
  • 削除依頼で解決しない場合は、弁護士による削除請求や発信者情報開示請求を検討し、費用は20万〜70万円前後が目安です。
  • 削除だけに頼らず、ブランドSEO・口コミ返信・良い口コミの自然な収集・監視体制を組み合わせるのが現実的です。

不動産業の口コミは、店舗・物件・会社の3層に分かれます。まずは投稿場所を整理し、削除・返信・SEO・監視のどれで対応するかを切り分けるのが出発点です。

目次
  1. 不動産業の口コミはどこに書かれる?物件・店舗・会社で分かれるチャネルの全体像
  2. 口コミの削除依頼|チャネル別にできること・できないことを切り分ける
  3. 悪質な投稿に対する法的対応|不動産業で向くケース・向かないケースの判断軸
  4. 削除だけに頼らない評判管理の実務|ブランドSEO・口コミ運用・監視体制
  5. 悪評対策の落とし穴|逆効果になるNG対応とステマ規制のリスク
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ
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不動産業の口コミはどこに書かれる?物件・店舗・会社で分かれるチャネルの全体像

口コミが書かれる6つのチャネルと特徴

不動産業の口コミが書かれる場所は、大きく6つに分類できます(2026年6月時点)。

チャネル主な投稿内容削除の難易度
Googleビジネスプロフィール店舗の接客・対応への評価中(ガイドライン違反なら可能性あり)
Googleマップの物件ピン物件の住環境・設備への評価中〜高(オーナー確認が未完了だと管理不能)
物件レビュー専門サイト(マンションノート等)住み心地・周辺環境の詳細レビュー高(サイトごとの審査・削除基準が厳しいため)
ポータルサイト(SUUMO・HOME’S等)物件・仲介会社への口コミ中(運営会社への申請)
匿名掲示板(5ch・爆サイ等)噂・クレーム・誹謗中傷高(法的措置が必要なケースも)
SNS・個人ブログ(X・note等)体験談・感想の拡散中(プラットフォームの通報機能)

飲食店やクリニックの口コミ対策と大きく異なるのは、マンションノートやマンションコミュニティといった物件レビュー専門サイト・掲示板の存在です。サイトごとに投稿審査や削除・編集の基準が異なるため、公開後に削除するハードルが高いという特徴があります。

「物件単位」「店舗単位」「会社単位」で対策の優先順位が変わる

不動産業の口コミ対策が複雑になるもう一つの理由は、評判が3つの層に分かれている点です。

  • 物件単位の口コミ
    マンションノート・マンションレビュー・Googleマップの物件ピンなど。賃貸管理会社やオーナーが把握すべき領域。
  • 店舗単位の口コミ
    Googleビジネスプロフィール上の店舗レビュー。仲介店舗の店長や営業責任者が対応する領域。
  • 会社単位の口コミ
    検索サジェストの汚染(「会社名 やばい」等)や転職サイトの口コミ。経営者が把握すべき領域。

自社の立場によって「まず見るべき場所」が変わります。仲介業がメインなら店舗のGoogleビジネスプロフィール、管理業がメインなら物件単位のレビューサイト、というように優先順位をつけると対応しやすくなります。

誰がネガティブな口コミを書いているのか

投稿者のパターンを把握しておくと、対処方針を立てやすくなります。

最も多いのは、退去時にトラブルを抱えた元入居者です。敷金返還や原状回復費用に関する不満は、国民生活センターにも多くの相談が寄せられており、こうした不満がそのまま口コミに反映されるケースは少なくありません。

ほかにも、内見だけで契約に至らなかった人の接客不満、居住中の入居者による設備苦情、同業他社からのネガティブキャンペーンが疑われるケースなどがあります。

不動産業で注意が必要なのは、「騒音がひどい」「カビが発生した」「事故物件だった」といった事実摘示型の投稿が多い点です。こうした投稿は、内容が虚偽であることを立証できれば、単なる意見・感想より削除を求めやすくなります。ただし、証拠を示さずに「事実ではない」と主張するだけでは対応が難しくなります。

口コミの削除依頼|チャネル別にできること・できないことを切り分ける

削除が認められる3つの条件

まず大前提として、「気に入らないから消してほしい」という依頼は通りません。口コミの削除が認められるのは、基本的に次の3つのいずれかに該当する場合です。

  • 名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害・業務妨害に該当する投稿
  • 各プラットフォームの利用規約に違反する投稿(なりすまし・スパム・差別表現など)
  • 事実と異なる内容で、その虚偽を証明できる投稿

不動産業で特に注意すべきなのは、事故物件に関する投稿です。宅建業法上の告知義務の対象となる事案(自殺・他殺・特殊清掃を伴う孤独死等)であれば、その投稿には真実性があるため、削除はきわめて困難です。

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、賃貸の場合は事案発生からおおむね3年経過後は原則として告知不要とされていますが、口コミの削除判断とは別の話です。削除を試みる前に、まず自社の告知体制が適切かを確認する方が先決です。

チャネル別の削除対応と難易度

チャネルごとに削除の窓口や手続きが異なります。主なものを整理します。

Googleビジネスプロフィールの口コミは、ガイドライン違反に該当する場合、Googleの公式ヘルプから報告できます。Googleマップの口コミ削除については、弁護士に聞いてみた!飲食店のGoogleマップに書かれた悪質な口コミ、本当に削除できる?で詳しく解説しています。

物件レビュー専門サイト・掲示板(マンションノート・マンションコミュニティ等)は、サイトごとに審査・削除基準が異なるため、事後の削除は難しい傾向にあります。利用規約違反や名誉毀損に該当する場合は、各サイトの問い合わせフォームから削除を申請します。

ネット投稿の削除方法の全体像はネット投稿の削除方法とは?風評被害の対処法と対策についてにまとめています。

なお、2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)により、Google・LINEヤフー・Meta・TikTok・X Corp.をはじめとする大規模プラットフォーム事業者は削除申出への対応迅速化が義務化されました(その後、爆サイ.comなど4社が追加指定)。詳しくは総務省の公式ページをご確認ください。不動産業の口コミ対策にも追い風です。

悪質な投稿に対する法的対応|不動産業で向くケース・向かないケースの判断軸

発信者情報開示請求の概要と費用感

削除依頼で解決しない場合、法的手段を検討することになります。2022年10月の法改正で「発信者情報開示命令」という手続きが創設され、従来よりも投稿者特定までの手続きを進めやすくなりました。

ただし、実際にかかる期間は相手方やプロバイダの対応、投稿時期、ログ保存状況によって変わります。この手続きの利用件数は急増しており、2023年の約4,000件から2024年には6,000件を超える規模に達しています。

費用の目安は次のとおりです。

対応内容費用相場
弁護士による削除請求着手金20万円+報酬10〜20万円程度
発信者情報開示請求(投稿者特定)30〜70万円前後
損害賠償(名誉毀損の慰謝料)数十万円規模

発信者を特定する手順はネットで誹謗中傷した相手を特定する方法!情報開示請求の手順を解説の記事、弁護士への依頼を検討する場合は誹謗中傷の解決を弁護士に依頼する時の費用と知っておきたいポイントで詳しく解説しています。

不動産業で法的対応が向くケース・向かないケース

すべての悪い口コミに法的対応が有効なわけではありません。不動産業の場合、向き・不向きは比較的はっきり分かれます。

法的対応が向くのは、「あの会社は詐欺だ」「家賃を横領している」といった明確な虚偽で業務に実害が出ているケースです。同業他社からのネガキャンが疑われる場合は、不正競争防止法に基づく対応も選択肢です。

一方、「騒音がひどい」「管理の対応が遅い」といった意見や感想は法的に保護されやすく、削除が認められにくい傾向です。匿名投稿で実害が軽微な場合も、費用対効果から慎重に判断すべきです。

自力での対応が難しい場合は、法務省のインターネット人権相談窓口も選択肢です。法務局が違法性を判断し、プロバイダへ削除要請を行ってくれます。

削除だけに頼らない評判管理の実務|ブランドSEO・口コミ運用・監視体制

検索結果1ページ目を健全な情報で埋める「ブランドSEO」の発想

削除できない口コミがあるなら、検索結果の1ページ目を自社にとって好ましい情報で埋めてしまう。これが「ブランドSEO」の基本的な考え方です。逆SEOとも呼ばれるこの手法の基本は、逆SEO対策とは?目的や方法、費用などについて詳しく解説で詳しく解説しています。

不動産業の場合、上位に押し上げるべきコンテンツは検索対象によって異なります。

  • 物件名検索:物件の公式情報、ポータルサイトの物件ページ、入居者の声
  • 会社名検索:コーポレートサイト、採用ページ、オウンドメディアの記事、プレスリリース
  • 管理会社検索:リフォーム事例、設備改善レポート、お客様の声

ネガティブな口コミを「消す」のではなく、質の高い情報で「押し下げる」発想です。結果的に自社のWebプレゼンス全体の強化にもつながります。

口コミへの返信運用と「良い口コミ」を自然に集める仕組み

削除できない口コミには、返信で対応するのが現実的です。適切な返信は、それを読んだ第三者に「誠実な会社だ」という印象を与えます。

事実に基づく指摘には具体的な改善対応を示す返信を。たとえば「エアコンの不具合について修繕を完了いたしました」のような形です。事実と異なる内容には感情的にならず丁寧に説明します。感情的な反論、論点のすり替え、コピペ返信の連投は逆効果です。

良い口コミを増やすには、退去時や契約完了時のアンケートに口コミ投稿への導線を組み込む方法が有効です。ただし、口コミ投稿への金銭や割引などの対価提供は、2023年10月施行のステマ規制(景品表示法)に抵触するリスクがあります。「お願い」はOKですが、「対価」はNGです。

そもそも悪い口コミの多くは退去精算や原状回復のトラブルに起因しています。ネット対策だけでなく、退去時のオペレーション見直しが根本的な解決策になるケースも多いです。

監視体制の構築|物件数が多い不動産業こそツール+有人のハイブリッドが必要

不動産業は管理物件が数十〜数百単位にのぼるのが一般的です。全物件名・全店舗名を人力で24時間追うのは非現実的ですし、ツール監視だけでは物件名特有の誤検知が多発します。

ツール監視で広くカバーし、有人監視で精度を上げるハイブリッド型が不動産業には合っています。風評監視の基本は風評監視はなぜ必要?ネット・SNSを監視するメリットや方法を紹介の記事もご参照ください。

「会社名 やばい」「会社名 最悪」といったサジェスト汚染も、早期発見が重要です。放置すると定着し、対策コストが跳ね上がります。

ネット上の評判は採用にも影響します。不動産業界は慢性的な人手不足を抱えており、求職者が会社名で検索した際のネガティブ情報は大きな機会損失です。詳しくは募集しても人が来ない会社に共通する見えない原因|ネット風評と採用の深い関係の記事をご覧ください。

悪評対策の落とし穴|逆効果になるNG対応とステマ規制のリスク

やってはいけない口コミ対策3つ

焦って間違った対策に手を出すと、状況を悪化させかねません。以下の3つは避けてください。

  • 自作自演の口コミ投稿。Googleはレビュー操作の取り締まりを厳格化しており、アカウント停止やビジネスプロフィール削除のリスクがあります
  • 「どんな口コミでも消します」と謳う削除業者への依頼。不正手段を使っている可能性が高く、依頼側もリスクを負います
  • 投稿者への直接的な圧力や金銭での削除交渉。削除しようとした行為自体がネットで拡散される「ストライサンド効果」のリスクがあります

ステマ規制と口コミ収集の合法ライン

口コミを「集める」こと自体は問題ありませんが、やり方を間違えるとステマ規制に抵触します。

  • 「口コミを書いていただけると嬉しいです」とお願いする → 問題なし
  • 口コミ投稿に割引や特典を提供し、その事実を明示しない → 不当表示のリスク
  • 社員が自社の口コミを関係者と明かさずに書く → ステマに該当

不動産業では退去時アンケートや契約完了メールで口コミを依頼するケースが多いですが、対価性の有無には注意が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q: 自社に付いた悪い口コミを事業者側で勝手に削除できますか?

できません。事業者側でできるのは各プラットフォームの運営への「削除依頼」です。Googleならガイドライン違反の報告、物件レビュー専門サイトなら問い合わせフォームからの申請です。運営が「削除すべき」と判断しなければ口コミは残ります。

Q: マンションノートの口コミは削除が難しいと聞きました。どう対応すればいいですか?

マンションノートのような物件レビューサイトは、運営側の審査・掲載基準があるため、事後の削除ハードルは高めです。利用規約違反や名誉毀損に該当する場合は問い合わせフォームから削除を申請できます。

削除が難しい場合は、物件の公式情報や良質なコンテンツを検索上位に押し上げるブランドSEOが現実解です。

Q: 「事故物件」と書かれた口コミは削除できますか?

告知義務の対象となる事案であれば、投稿に真実性があるため削除はきわめて困難です。国土交通省のガイドラインでは、賃貸は事案発生からおおむね3年経過後は原則告知不要とされていますが、口コミの削除基準とは別の話です。まず告知体制の確認が先決です。

Q: 口コミへの返信はした方がいいですか?

基本的にはYesです。ネガティブな口コミに適切に返信することで、その口コミを見た第三者に「誠実な会社だ」という印象を与えられます。ただし、感情的な反論やテンプレートの使い回しは逆効果です。

Q: 口コミ対策を専門会社に依頼するとどのくらいの費用がかかりますか?

対策内容によって大きく異なります。弁護士による削除請求は着手金20万円+報酬10〜20万円程度、投稿者特定は30〜70万円前後、ブランドSEOは月額10〜30万円程度が目安です。まず無料相談で状況を整理し、費用対効果を見極めるのが賢明です。

まとめ

不動産業の悪評対策は「削除」だけを目的にすると行き詰まります。削除できるもの・できないものを冷静に切り分け、削除依頼・法的対応・ブランドSEO・口コミ返信運用・監視体制を組み合わせて中長期で評判を整えていくのが現実解です。

まずは自社名・物件名でGoogle検索し、今どんな情報が表示されているか確認するところから始めてみてください。現状把握が、すべての対策の出発点です。

ブランドセキュリティの現場にいた経験から言えるのは、ネット上の評判は放置しても良くならないということ。早めに手を打つほど、対策コストは小さく済みます。

どこから手をつけていいか分からない場合は、専門家への相談も選択肢です。エルプランニングでは15年間・5万件の対策実績をもとに、不動産業を含む幅広い業種の風評被害対策を支援しています。お気軽にご相談ください。

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監修者
清水陽平弁護士