ブランドを構築するためには

久々の登場、開発チームMです。

前回は「ブランド・ブランディングとは何なのか」という、基礎の部分についてお伝えしました。今回は、一歩進んで「ブランドを構築するためにはどうすれば良いのか」具体的なメソッドについて、書いていきたいと思います。

→前回記事「ブランディングについての基礎知識」

ブランドは8つのステップに則って構築していきます。

【8ステップ】

  1. 3C(市場機会の発見)
  2. セグメンテーション(市場の細分化)
  3. ターゲティング(顧客の選定)
  4. ポジショニング
  5. ブランド・アイデンティティ
  6. 目標設定
  7. 4P/4C
  8. 計画設定(ブランド要素・ブランド体験)

前回も触れた通り、ブランドは消費者・顧客に認識してもらうことで初めて「ブランド」として認知されます。そのためブランドを構築するための第一歩は、サービスを取り巻く市場のこと、顧客について知ることです。

3C(市場機会の発見)

まず、ステップ1の3Cについてです。

3Cとは、「Company(自社)」「Competitor(競合)」「Customer(顧客)」のことを表します。

Company(自社)=強み・弱み・お金(資産)

Competitor(競合)=強み・弱み・お金(資産)

Customer(顧客)=顕在化・潜在化した不満・不足・不安

Cは、自分のことを知り、敵を知り、顧客のニーズを知り、自分たちが注力する市場を知るために行う分析のポイントです。

競合が参入できない部分と顧客のニーズが重なる部分が、期待できる市場になります。この領域を自社の強みとして伸ばしていくことが重要になります。

セグメンテーション(市場の細分化)

次に、ステップ2の「セグメンテーション」についてです。

セグメンテーションは、ステップ1の3Cで決めた、これから注力していく市場の顧客層を抽出し、顧客を分けることです。

顧客層を、年齢、性別、収入、職業、嗜好、宗教、家族構成、趣味、ライフスタイルなどのテーマを設定にして、細分化します。

例えば、職業を切り口にした場合、
会社員、主婦、学生、自営業、フリーター、派遣社員、アルバイト、会社役員など、

家族構成を切り口にした場合、
夫婦二人(60代以上)、独身、二人暮らし(50代以下・恋人同士)、子供一人のシングルマザー、2人家族以上(親1人以上+子1人以上)などです。

この段階では、考えられる切り口を全て洗い出すことが重要です。

ターゲティング(顧客の選定)

そして、ステップ3に進みます。「ターゲティングは、ステップ2のセグメンテーションで洗い出した顧客層から、さらに見込み客を選ぶことを言います。

その見込客が具体的にどんな人物像なのかを描くことをペルソナと言います。

上の図をさらに深堀りしてみましょう。

【ターゲットとなる具体的な人物像(ペルソナ)】

  • 26歳会社員
  • 趣味は車
  • 駐車料金が高いため都心から離れた千葉県在住。しかし勤め先は都内。
  • 通勤時間は長いが、趣味の車を楽しむため我慢している。仕事より趣味を大切にしている。
  • 社会人になって3年以上が経過し、仕事にも慣れてきて自信もついてきた。
  • 平日は仕事が忙しくて遊ぶ暇はないので、貯金は多い。その代わり、1回の買い物で大金を使う。
  • 彼女はいない。将来いつかは結婚したいな、とは思っているが今はまだ遊びたい!
  • 休日は男友達と車で遠出することが多い。

このように、人物像の特徴を、細かく、具体的に落とし込んで行きます。この工程を経ることで「この男性が欲しがりそうな商品はどのような物か」という前提で、ブランドの戦略を考えていくことが可能になるのです。

・この男性にはどのようなニーズがあるのか。

・どのようなことをしたら喜んでくれるのか。

・どんな場面で自社のブランドと接点を持つのか。

価値観や好みが多様化し過ぎている現在では、ここまで具体的に落とし込まないと、ターゲットとして絞り込みが難しい状況にあります。

ペルソナの成功例「秋野つゆ」

ペルソナの成功例でよく挙げられるのが、Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」さんのエピソードです。

「秋野つゆ」とはSoup Stock Tokyoが作り出した架空の人物(ペルソナ)です。

37歳、都内在住、独身か共働きで経済的な余裕があるキャリアウーマン。社交的な性格で、シンプルでセンスの良いものを好む、というところから、フォアグラよりレバ焼きを好む、プールに行ったらいきなりクロールから始めるなど、かなり細かな部分までペルソナを作り上げています。

でもそのおかげで、「秋野つゆ」というリアルな人物像を想像することができます。そして「秋野つゆ」を満足させるための「Soup Stock Tokyo」のブランドが構築され、市場で流通し始めたのです。

・「秋野つゆ」ならこのメニューを気に入ってもらえるのではないか。

・「秋野つゆ」は独身か共働きなので、もしかしたら一人で来店する場合もあるので、女性一人でも来店しやすい店にしよう。

・「秋野つゆ」の行動範囲を考えると、出店場所はオフィス街や駅チカにしよう。渋谷など若者が多い場所は「秋野つゆ」は行かないんじゃないか。

ペルソナ「秋野つゆ」が満足してくれる店づくりを徹底し、Soup Stock Tokyoは創業からわずか10年で、売上高42億円を達成したと言われています。

最後に

私自身、Soup Stock Tokyoは、子供を出産する前はよく足を運んでいました。

料理の味は美味しいし、ご飯やパンも選べるし、一人でも入りやすい。静かだし、店員さんは基本的にホッと安心感を与えてくれるから落ち着くし、価格もそんなに高いとは思いませんでした。けれど、店舗はそれほど大きくないので、子供で生まれた今、ベビーカーを置く場所はないし、席は狭めだし、子供が騒いで周りに迷惑をかけないか萎縮してしまう…。

こうしてライフスタイルが変わったことで、お店に通うことがなくなっていきました。これは、私がSoup Stock Tokyoのターゲットの外に出てしまったことを意味しています。

でもSoup Stock Tokyoにとっては、それでいいんです。ターゲット外になった顧客を無理に追うことはしません。「秋野つゆ」に来店してもらえればそれで良いのです。

同じ女性でも、同じ30代でも、同じ共働きでも、同じ都会に住んでいても、立場の違いだけでも、価値観や好み、行動は変わります。だからこそ、ステップ2のセグメンテーションで、職業や、家族構成などの各テーマ設定と細分化が非常に大切になります。

ステップ3まで頭を使うし、とても時間が掛かります。しかし、ここまでのステップを丁寧に行うことで、その後のブランド構築や戦略に一貫性を持たせることが出来るため、重要なステップだということがわかります。

さて今回はここまで。続きはまた次回!ありがとうございました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

ピックアップ記事